映画備忘録/2023年8月編
あの、なんか、気づいたら9月でした。
わたしのエックスを見ているひとにはおわかりの通り、色々あったので、映画をあまり観ていません。また、メモを残していなかったので、拙い記憶を辿りながら感想を書き連ねていきます。ゆえに、いつも以上に内容が薄いです。
それでは8月です。
『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』
【総評:☆4.53】
ストーリー:☆4.3
演出:☆4.5
リピート:☆4.8
ほん呪シリーズ、記念すべき100作目。
さすが100作続くだけはあり、王道を手堅く仕上げる地肩の強さ。これぞホラーモキュメンタリーの「正解」です。
1本の投稿動画(というテイだが)だけで作り上げている潔さ。オチのぞわぞわする不快感と、「その後」を観客に想像させる余地を残す作りはまさにモキュメンタリーの良さを存分に生かしている。あくまでこれは「ノンフィクション」だからその先が色々あるんだよ、というのが前提としてあり、それゆえに鑑賞後にじわじわと私たちの想像力が私たちを厭な気分にさせてくる作り。非常に手堅く素晴らしい。
カテゴリーとしては正統派のホラーというよりは「人怖」に近いと思うが、それでいてここまで正統派な幽霊譚としてホラーを演出できているのが単純に凄いと思った。古来より、そして今も、生きていようが死んでいようが怪奇の根本は強い「思念」である。そのことを再認識させられる、100作目に相応しい作品。
廃屋での幽霊の映り方についても、姿が透けているわけでもないし明らかに人間が演じているのにとにかく不気味で、死んでいるのに生々しさがあり、しかも一度目の鑑賞のときにはその映り込みに気づかなかったので心底ゾッとした。ホラー演出のさじ加減がとにかく上手い。
とにかく、ホラーモキュメンタリーは最高。ほん呪よ永遠なれ。
『アウシュヴィッツの生還者』
【総評:☆3.6】
ストーリー:☆3.5
演出:☆3.8
リピート:☆3.5
ナチス映画が好きなのでなんの前知識もなく「ホロコーストものか~」と観に行ったら全然思っていたのとは違った映画。実話であることすら知らなかったのだが、それゆえにエンタメ気分で見に来た私の呑気な首元をじわじわ締め上げるような映画だった。
アウシュヴィッツを生き残ったボクサーがいかにして収容所で生き延びることができたのか?その過去が断片的に紐解かれていくさまは、見ているこちらも息苦しく、彼の選択も彼を非難する人々の気持ちも両方理解できるだけにやるせない。
特に大きくドラマチックな展開があるわけではないが、それがまさにドキュメンタリーらしく、これが現実に起こった出来事であると考えるとやはりなんとも言いがたい気持ちになる。
『イビルアイ』
【総評:☆4.03】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4
ずっと不穏でずっと奇妙で最後まで底知れない映画。おもしれ!
大体「ババアがヤバいホラー映画」って面白いけれど(主語デカ)、そこに果たしてホラーなのか人怖なのか分からない不安定さが相まってずっと生理2日目みたいなきもちわるさが続いていて最高。この比喩表現は女にしか伝わらないだろうけど。
明らかに示唆的な言葉を残して終わるけれど、本当に深い意味ってあるんだろうか。案外あんまり無い気もしている。
『ミンナのウタ』
【総評:☆4.03】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4
ほら、清水崇、やればできんだよ!!!!
私はかねてより清水崇はやりゃあできるんだよ、ただなんか色んなことがかみ合ってないだけなんだよ、と主張してnoteでだらだら書き連ねていた女ですが、やはり本作を観て「満点ではないが忌怪島を見た後だとかなり良い、良い方向に向かっているぞ!!」という気持ちになりました。やればできんだよ。色んなことがかみ合ってないだけで。
個人的にはマキタスポーツが良い味を出していたと思った。もし彼がいなかったならばもっとGENERATIONのファンムービーのようになってしまってホラーファンはとっつきにくくなってしまっていたかもしれないが、マキタスポーツがちょうどうざくない塩梅で橋渡しのような役目を果たしていて、いわゆるアイドル映画に対して斜に構えているホラーファンや映画好きをうまく惹き付けることができていたんじゃないだろうか。
ジャパニーズエディションと冒頭で記載があったので海外版ではもっとエグい絵面が見られるんだろうか。噂では韓国版は結構色々見せていると聞くけれど。ずるいな。韓国ってバイオレンスに恵まれてていいな。
あとこれ何度目になるか分からないんですけど、マジで清水崇にゾンビ映画作ってほしいです。絶対に向いているので。
『ブギーマン』
【総評:☆4.1】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4.3
ロブ・サヴェッジ監督の未来は明るい。明るいぞ。
『zoom 見えない参加者』や『ダッシュカム』といった低予算B級(でも結構面白い)野郎として名を馳せたロブ・サヴェッジがとうとうスティーブンキング原作の監督に。脚本が「あいつら」ということもあり私はめちゃくちゃに不安がっていたのですが、やはりロブ・サヴェッジは裏切らなかった。
ものすげ~~傑作というわけではないがきちんと手堅く仕上げていて、しかも今までPOVでしか観たことがなかったので(当たり前だけど)普通の撮り方でもちゃんと上手に撮れるんじゃん……という謎の感動を覚えてしまった。変な映画を面白く撮れるひとは普通の映画も撮れる。当たり前だけど再認識をした。
妹がベッド下をのぞき込むときに勢いよくカメラが反転するシーンや、主人公が帰宅してドアを閉めたらバケモンに襲われて目が覚めるシーンのスピード感は、非常に「ホラー畑のひとのカメラワークだ!!」と嬉しくなった。伝わってほしい。
あと主人公がYouTubeで観ていた交霊術の動画が『zoom』と同じだったように思ったのだが、セルフオマージュなんだろうか?気のせいかな。
ロブ・サヴェッジとジュリアス・エイバリーはいまいちばん新作が観たい若手監督2トップ(洋画編)です。
『MEG ザ・モンスターズ2』
【総評:☆4.5】
ストーリー:☆3.5
演出:☆5
リピート:☆5
すっげ~~~~~~~~~~~馬鹿の味!!!(褒めてる)
大味という言葉で表してもいいんだろうか?そんな言葉じゃ足りないくらいとにかく馬鹿の味。ハイカロリー。観た1週間後には内容は忘れてる。でもいいんだ。2000円払ってコッテコテの家系ラーメン食うみたいな映画体験だから。いや~ほんとに馬鹿の味がしたな。一瞬「なるほど」と思わされるものの観終わるころには「いやそんなわけないな」と正気に戻る感じの理論が展開されているのもたまらない。
いいんだよな、こういうので。こういうのが観たかったわけだし。
もう内容は忘れてます。味だけ覚えてます。
というわけで8月終了。雑。ではまた9月に会いましょう。もう9月も終わりそうだけど。
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