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映画備忘録/2023年8月編

あの、なんか、気づいたら9月でした。
わたしのエックスを見ているひとにはおわかりの通り、色々あったので、映画をあまり観ていません。また、メモを残していなかったので、拙い記憶を辿りながら感想を書き連ねていきます。ゆえに、いつも以上に内容が薄いです。
それでは8月です。


『劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100』

視聴者からの投稿映像を紹介する心霊ドキュメンタリーの長寿シリーズ「ほんとにあった!呪いのビデオ」。1999年の誕生以降、ビデオ作品としてリリースを重ねてきた同シリーズの記念すべき100巻目を劇場公開。

2022年4月、とあるスタジオで「ほんとにあった!呪いのビデオ96」のナレーション収録が行われていた。シリーズ1~7巻の構成・演出を担当し、その後もシリーズを通してナレーションを務めてきた中村義洋は、収録予定だった投稿映像のうちの1本を24年前にも見たことがあった。その映像は、理由があって当時は採用はされなかったのだが……。

構成・演出・ナレーションは、「ゴールデンスランバー」「白ゆき姫殺人事件」「決算!忠臣蔵」などの作品で知られる映画監督の中村義洋。「ほんとにあった!呪いのビデオ」初期の1~7巻で構成・演出を担当してシリーズの基礎を築き、その後もナレーションを務めてきた中村が、100巻を記念して再び自ら演出も担当。中村をはじめ制作スタッフたちが呪いに巻き込まれていく様子を収めた。

劇場版 ほんとにあった!呪いのビデオ100 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://honnoro100.broadway-web.com/

【総評:☆4.53】
ストーリー:☆4.3
演出:☆4.5
リピート:☆4.8

ほん呪シリーズ、記念すべき100作目。
さすが100作続くだけはあり、王道を手堅く仕上げる地肩の強さ。これぞホラーモキュメンタリーの「正解」です。
1本の投稿動画(というテイだが)だけで作り上げている潔さ。オチのぞわぞわする不快感と、「その後」を観客に想像させる余地を残す作りはまさにモキュメンタリーの良さを存分に生かしている。あくまでこれは「ノンフィクション」だからその先が色々あるんだよ、というのが前提としてあり、それゆえに鑑賞後にじわじわと私たちの想像力が私たちを厭な気分にさせてくる作り。非常に手堅く素晴らしい。
カテゴリーとしては正統派のホラーというよりは「人怖」に近いと思うが、それでいてここまで正統派な幽霊譚としてホラーを演出できているのが単純に凄いと思った。古来より、そして今も、生きていようが死んでいようが怪奇の根本は強い「思念」である。そのことを再認識させられる、100作目に相応しい作品。
廃屋での幽霊の映り方についても、姿が透けているわけでもないし明らかに人間が演じているのにとにかく不気味で、死んでいるのに生々しさがあり、しかも一度目の鑑賞のときにはその映り込みに気づかなかったので心底ゾッとした。ホラー演出のさじ加減がとにかく上手い。
とにかく、ホラーモキュメンタリーは最高。ほん呪よ永遠なれ。

『アウシュヴィッツの生還者』

「レインマン」の名匠バリー・レビンソンが、アウシュビッツからの生還者ハリー・ハフトの半生を息子アラン・スコット・ハフトがつづった実話をもとに映画化。

1949年、ナチスドイツの強制収容所アウシュビッツから生還したハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため取材を受けたハリーは、自分が生き残ることができたのはナチス主催の賭けボクシングで同胞のユダヤ人たちに勝ち続けたからだと告白し、世間の注目を集める。しかしレアが見つかることはなく、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年の歳月が流れ、別の女性と新たな人生を送るハリーのもとに、レアが生きているという報せが届く。

2021年製作/129分/G/カナダ・ハンガリー・アメリカ合作
原題:The Survivor
配給:キノフィルムズ

アウシュヴィッツの生還者 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://sv-movie.jp/

【総評:☆3.6】
ストーリー:☆3.5
演出:☆3.8
リピート:☆3.5

ナチス映画が好きなのでなんの前知識もなく「ホロコーストものか~」と観に行ったら全然思っていたのとは違った映画。実話であることすら知らなかったのだが、それゆえにエンタメ気分で見に来た私の呑気な首元をじわじわ締め上げるような映画だった。
アウシュヴィッツを生き残ったボクサーがいかにして収容所で生き延びることができたのか?その過去が断片的に紐解かれていくさまは、見ているこちらも息苦しく、彼の選択も彼を非難する人々の気持ちも両方理解できるだけにやるせない。
特に大きくドラマチックな展開があるわけではないが、それがまさにドキュメンタリーらしく、これが現実に起こった出来事であると考えるとやはりなんとも言いがたい気持ちになる。

『イビルアイ』

「パラドクス」「ダークレイン」が世界各国の映画祭で上映されて注目されたメキシコのアイザック・エスバン監督が手がけたスリラー。祖母が人間でない何者かであることに気づいた少女が、恐怖におびえながらも隠された秘密を暴いていく姿を描く。

都会に住む13歳の少女ナラは、奇妙な病気にかかった妹の療養のため、家族とともに母の田舎であるラスアニマスという村にやってくる。そこには年老いた祖母がひとりで暮らしていた。祖母と過ごすうちに次第に不穏な空気が漂い始め、ナラは祖母の不可解な行動から、彼女が人間ではない何者かであると疑い始める。妹の容体はさらに悪くなっていき、家政婦の突然死など不吉なことが続き、村と祖母に隠された秘密が徐々に明らかになっていく。

2022年製作/100分/PG12/メキシコ
原題:Mal de ojo
配給:AMGエンタテインメント

イビルアイ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://evileye-movie.jp/

【総評:☆4.03】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4

ずっと不穏でずっと奇妙で最後まで底知れない映画。おもしれ!
大体「ババアがヤバいホラー映画」って面白いけれど(主語デカ)、そこに果たしてホラーなのか人怖なのか分からない不安定さが相まってずっと生理2日目みたいなきもちわるさが続いていて最高。この比喩表現は女にしか伝わらないだろうけど。
明らかに示唆的な言葉を残して終わるけれど、本当に深い意味ってあるんだろうか。案外あんまり無い気もしている。

『ミンナのウタ』

人気ラジオ番組のパーソナリティを務める「GENERATIONS」の小森隼は、ラジオ局の倉庫で「ミンナノウタ」と書かれた古いカセットテープを発見する。その後、小森は収録中に不気味なノイズと少女の声を聞き、行方不明となってしまう。事態の解決を急ぐマネージャーの凛は、元刑事の探偵・権田に捜査を依頼。メンバーたちに話を聞くと、彼らもリハーサル中に少女の霊を見たという。やがて霊の正体は「さな」という女子中学生であることが判明するが、彼女が奏でる呪いのメロディによって恐怖の連鎖が引き起こされていく。

2023年製作/102分/G/日本
配給:松竹

ミンナのウタ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://movies.shochiku.co.jp/minnanouta/

 【総評:☆4.03】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4

ほら、清水崇、やればできんだよ!!!!

私はかねてより清水崇はやりゃあできるんだよ、ただなんか色んなことがかみ合ってないだけなんだよ、と主張してnoteでだらだら書き連ねていた女ですが、やはり本作を観て「満点ではないが忌怪島を見た後だとかなり良い、良い方向に向かっているぞ!!」という気持ちになりました。やればできんだよ。色んなことがかみ合ってないだけで。

個人的にはマキタスポーツが良い味を出していたと思った。もし彼がいなかったならばもっとGENERATIONのファンムービーのようになってしまってホラーファンはとっつきにくくなってしまっていたかもしれないが、マキタスポーツがちょうどうざくない塩梅で橋渡しのような役目を果たしていて、いわゆるアイドル映画に対して斜に構えているホラーファンや映画好きをうまく惹き付けることができていたんじゃないだろうか。

ジャパニーズエディションと冒頭で記載があったので海外版ではもっとエグい絵面が見られるんだろうか。噂では韓国版は結構色々見せていると聞くけれど。ずるいな。韓国ってバイオレンスに恵まれてていいな。

あとこれ何度目になるか分からないんですけど、マジで清水崇にゾンビ映画作ってほしいです。絶対に向いているので。

『ブギーマン』

母の死から立ち直れずにいる女子高生セイディと幼い妹ソーヤー。セラピストである父ウィルもまた、妻を亡くした悲しみにとらわれ娘たちと向きあえずにいた。そんなある日、ソーヤーが家の中で怪しい何かを目撃するが、セイディはまともに取りあおうとしない。一方、ウィルは謎の患者レスターから怪しげなメモを渡される。娘たちの異変に気づいたウィルは解決を図ろうとするが……。

2023年製作/98分/PG12/アメリカ
原題:The Boogeyman
配給:ディズニー

ブギーマン : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/boogeyman

【総評:☆4.1】
ストーリー:☆3.8
演出:☆4.3
リピート:☆4.3

ロブ・サヴェッジ監督の未来は明るい。明るいぞ。
『zoom 見えない参加者』や『ダッシュカム』といった低予算B級(でも結構面白い)野郎として名を馳せたロブ・サヴェッジがとうとうスティーブンキング原作の監督に。脚本が「あいつら」ということもあり私はめちゃくちゃに不安がっていたのですが、やはりロブ・サヴェッジは裏切らなかった。
ものすげ~~傑作というわけではないがきちんと手堅く仕上げていて、しかも今までPOVでしか観たことがなかったので(当たり前だけど)普通の撮り方でもちゃんと上手に撮れるんじゃん……という謎の感動を覚えてしまった。変な映画を面白く撮れるひとは普通の映画も撮れる。当たり前だけど再認識をした。
妹がベッド下をのぞき込むときに勢いよくカメラが反転するシーンや、主人公が帰宅してドアを閉めたらバケモンに襲われて目が覚めるシーンのスピード感は、非常に「ホラー畑のひとのカメラワークだ!!」と嬉しくなった。伝わってほしい。
あと主人公がYouTubeで観ていた交霊術の動画が『zoom』と同じだったように思ったのだが、セルフオマージュなんだろうか?気のせいかな。

ロブ・サヴェッジとジュリアス・エイバリーはいまいちばん新作が観たい若手監督2トップ(洋画編)です。

『MEG ザ・モンスターズ2』

潜水レスキューのプロ、ジョナス・テイラーは、海洋調査チームとともに地球でもっとも深いとされるマリアナ海溝へと潜り、人類未踏の約10キロの深海へと向かう。そこで彼らは謎の生命反応を探知し、触れてはならない恐怖を目覚めさせてしまう。それは見たこともない大きさとどう猛さで生態系の頂点に君臨する巨大ザメ=MEG(メグ)の群れと、さらなる巨大生物たちだった。それらはやがて深海からビーチにまで襲来し、テイラーたちは絶体絶命の危機に陥る。

2023年製作/116分/G/アメリカ
原題:Meg 2: The Trench
配給:ワーナー・ブラザース映画

MEG ザ・モンスターズ2 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
https://wwws.warnerbros.co.jp/megthemonsters/

【総評:☆4.5】
ストーリー:☆3.5
演出:☆5
リピート:☆5

すっげ~~~~~~~~~~~馬鹿の味!!!(褒めてる)
大味という言葉で表してもいいんだろうか?そんな言葉じゃ足りないくらいとにかく馬鹿の味。ハイカロリー。観た1週間後には内容は忘れてる。でもいいんだ。2000円払ってコッテコテの家系ラーメン食うみたいな映画体験だから。いや~ほんとに馬鹿の味がしたな。一瞬「なるほど」と思わされるものの観終わるころには「いやそんなわけないな」と正気に戻る感じの理論が展開されているのもたまらない。
いいんだよな、こういうので。こういうのが観たかったわけだし。
もう内容は忘れてます。味だけ覚えてます。


というわけで8月終了。雑。ではまた9月に会いましょう。もう9月も終わりそうだけど。

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