沢木さんの本

沢木耕太郎さん、すきやったな。

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ブックオフで買った
沢木耕太郎さんの「彼らの流儀」を読む。
これは新聞連載をリアルタイムに読んで
そのあとも本を買って読んだのに
ほとんど覚えていない。

わたしの活字の記憶はとてもはかない。

「胡桃のような」まで読み進み、
ラインを引きたくなって立ち止まる。
それは63ページにある一節だ。

「胡桃のように堅牢な人生を送れるのは
そんなふうに生きることが
何か特別なことだなんて思わない人だけなのだよ」

立ち止まってみて、63ページまで
そういう言葉に出会わなかったことに気づく。

それでもじわじわとそれぞれのひとの流儀が
染みてきていた。

うたわないこと。
事実に語らせること。
普通の言葉の力を信じること。
自分の目線を信じること。
それが沢木さんの流儀かもしれない。

沢木さんの文章を読むと
いつもそういうことを
静かに教えられているような気がする。

読み続けていると
ほとんど覚えていないと思ったがこれは、っと思い出す話もあった。

アメリカの大学を卒業したふたりの若者が
就職せずにレスリングでオリンピックを目指すという話は記憶の淵にぶら下がっていた。

記事を切り抜いた覚えがあった。
彼らが淡々としかしひたむきに練習する、その姿の描写に感動したのだった。

暮れに古い手帳の男名前を新しい手帳に書き写す女性の話も誰かに言われて思い出したことがあった。

都会にひとりくらす女性のこころの襞が手帳を通して伝わってくる話だった。

そんなふうに、さりげない出来事、なにげない動き、しぐさ、こともなげな言葉、それぞれの一瞬がさっくりと切り取るもののなかに、ひとのありかたが浮かんでくる。

人生とでも呼びたくなるものが垣間見えてくる。

そういう筆の運びが沢木さんなんだろうな。

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読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️