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京都で会ったひとたちのこと 5

杜撰な計画といわれた所以は、そのあとの計画を全くしていないからだ。ホテルやレストランで会食だとか大広間で宴会とかいうふうなことを普通は用意すべきものなのだ。

そうはいっても呼びかけ人となったわたしと友人が一応ここで会食をっと算段していたホテルがあったのだが、そこが思いがけず廃業していて、ご破算になってしまったのだ。

そこで「無常ということ」をなんとなく感じてしまったわたしと友人は、計画しないでその場で決めようという結論に達したのだ。そこが杜撰といえば杜撰なのだが、そのことを思案したのが猛烈に暑い夏の盛りで、もうもうなんでもええわ!の気分だったのだ。

それでまあ、申し訳ないことだが、校門を出た10人の元女子大生はさて、どうしましょ?ということになった。大人なのだから自分たちで決めてもらおうというつもりだったのだが、これがなかなかきまらない。

どうしましょ?と言いながらもそれぞれは、「いつまでも暑いわねえ」なんていいながら日傘を差して、なんとなく二人組みになってなにかしらぺちゃくちゃとしゃべくりながら女坂を降りていったのだった。

女坂の途中に正に「坂」というレストランがある。これはもう28年前から「坂」なのだ。この学校に通ったひとなら誰もが「あ、坂だわ!」と懐かしがる店の名前なのだ。

で、まあ、ここで、ということになり、吸い込まれるようにドアをあけ、10人のおばさんたちは店内のひととなっていた。そして「坂弁当」と「えび弁当」と頼んだ。

その坂弁当620円 えび弁当980円(960円だったかな?)である。なんとまあ安上がりな!

坂弁当にはハンバーグがえび弁当にはエビフライが三つに仕切られた弁当の真ん中に入っており、片側にご飯、もう片側に細ぎりキャベツとポテトサラダとケチャップ味のスパゲティ。

そうだねえ、こういうのを食べていたんだったね。学食でカレーやおうどんの日もあったし、神社そばのお好み焼きやへも行ったよね。在学中に校舎が建て変わって、新しい学食でグラタンも食べたんだったね。

「おうたとたんにしゃべりだして、飯食うてしゃべって、コーヒー飲んでしゃべって、また場所変えてしゃべるんですなあ。昔のことやら今のことやら、あざいあらいしゃべるんやろねえ」

そう、そのあと京阪七条近くの喫茶店に入って350円のコーヒーでまたひとしきりだった。タクシーの運転手の予言通りのにぎやかさだった。

それにしてもリーズナブルなクラス会だったなあ。

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