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懐かしいひと

毎月10日は平安神宮そばの岡崎公園で、いろんな骨董が集まる平安蚤の市がある。

インスタで知り合ったかたが出展されているので、時々お邪魔する。

今日も今日とて、出かけていった。

洋の東西を問わず時を経た古いものには心惹かれる。今にいたる時間の堆積に思いを寄せる。

遠い時代の見も知らぬひとが暮らしの中で愛用したものが、ずらりと並ぶ。それを選んでそこに並べたひとのセンスが問われる。平安蚤の市はそこらへんかいい感じなのだ。

マンションから一軒家に移り住み、スペースができたので、断捨離をしなくなった。まあ、引っ越す際にかなり捨てたこともあるが。

というわけで、古いものによばれるままに会場をウロウロして、ブースの店主さんとお話ししたりしていたのだが、

ひとりの店主さんの声に聞き覚えがあった。その方言が懐かしい。

と、急に記憶が立ち戻ってきて、思わず「さとうさん!」と言っていた。

ああ、さとうさんだ。

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東京にいたおり、谷中の原っぱで「ペケ市」というイベントに参加していた。そこへ会津から骨董を車に積んでやってきたのが、さとうさん親子だった。

むこうは覚えていなかったが、ペケ市の話をすると、もう何年前になるかな、懐かしいなと笑いながら言った。

今回の蚤の市は息子さんもきているのだ、と呼んでくれた。ブースも車も別々なのだとか。

息子さんはイケメンでかっこよかったが、あまりよく覚えていない。むこうもそんな感じだったが、やはりペケ市を懐かしんでいた。

東京を離れ、なお遠い会津のひとと京都で会うなんて、偶然とはいえ、不思議だなと思う。

ふるいものばかりの骨董市は時空をすこしばかり捻じ曲げたりするのかもしれないな。ひととひとが出会い、わかれ、また出会う。古びて持ち主の手を離れたものが、また新しい出会いを得るこの場所で。

読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️