150cm未満の恋

2
 夜、お父さんの弟で、おれのおじさんの真人さんが家に来た。
「ともやー、飲みに行くぞー」
「はーい」
おれはもう晩ご飯を済ませてて、宿題ももちろん終わらせてたから、ちょっと星を見に散歩に行く感じだけど、そりゃ親は心配だよな。
「真人くん、智也はまだ子供なんだから、あんまり遅くならないようにね。あと、飲みすぎないように」
「了解です!お任せください、お義姉さん!」
「智也がどうしてもって言うから、許してるんだぞ。本当なら、俺がついてってやるとこだけど」
「大丈夫だよ、来なくて。心配すんなって。俺しっかりしてるし、智也もしっかりしてるし。アイス食ったら、すぐ帰るよ」
両親のため息が聞こえた気がした玄関に、出る準備ができたおれが合流した。
「お待たせ。行こう」
「おう、智也。あ!チケット先に渡しとく」
「ありがとう」
 おじさんは、社会人ジャズバンドのメンバーで、トロンボーンを吹いている。おじさんの影響で、おれもこの歳でジャズを聴いてて、来月あるおじさんたちのコンサートも楽しみにしてる。そのチケットだ。
 鞄から出されたチケットを受け取って、一旦部屋に戻ろうとしたら、お母さんに止められた。
「勉強机に置いとくから、早く行きなさい」
「うん。…じゃあ、いってきます」
「お願いします」と言って、お母さんにチケットを渡したら、その後ろからおじさんも「お願いしまーす」と続けてきた。
「はいはい。こちらこそ、息子をお願いね。いってらっしゃい」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?