サッカー部のお話

「あ、上阪口、あのさ…」

「何?村沖くん」

「いや、この前の試合、見にきてくれてたんだってな…」

「ええ、行ったわ。村沖くん、スーパーセーブ連発で凄かったじゃない。特に前半37分のリフレクションしたシュートに右手一本で反応したのには痺れたわ」

「へへ…なんだか照れるな……」

「で、何か用?私、これから委員会なんだけど」

「あ、いや…じゃあ、手短に言うとさ…」

「うん」

「ええと、その……付き合ってください!」

「……ごめんなさい」

「あ、そう……そうか…ちなみにさ」

「ええ」

「俺、噂では上阪口も結構俺のことよく言ってくれてたみたいだから、いけると思って告白したんだけど…その…敗因はなんだったか教えてくれる…?」

「いいわよ。ええ、たしかに私はあなたのこと良いと思っていたわ。長身に、端正な顔立ち、サッカー部主将としての責任感、それにとびっきり優しい。人として本当に最高だと思っているわ」

「そ、そうかな…」

「ただ、」

「た、ただ…?」

「あなた、ゴールキーパーのくせにミズノのモレリア履いてるでしょ?私、そういう人無理なの。ごめんなさい」

「え…」

「じゃ、私そろそろ行くわね。2回戦も頑張ってね。選手としては応援してるわ」

「………」

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