全校集会で登壇した知らないおばさんのお話のお話

小学5年生の時、全校集会で登壇した知らないおばさんが冒頭でいきなりあなた達の目は汚れを知らない綺麗な目をしてると発言していた
その発言を聞いて僕は憤った、開始3秒で憤った
それはもう今すぐマイクを奪い取ってあなた達は汚れを知らない綺麗な目をしているとおっしゃっていますが僕達の目は既に汚れを知ってる汚い目です!!!と憤りをぶつけたい位には憤った
だけどそんな事をする訳にはいかない事位は子供ながらに分かっていたので我慢をした
憎しみを抑え込むのに目が汚れていくのを自分でも分かった
そんな憎しみの目をおばさんに向けると、おばさんの目はとても綺麗な目をしていた
それはもう慈愛に溢れる目、水晶のように透き通った目、あなた達は汚れを知らない綺麗な目をしているという事を信じて疑わない目
そんなおばさんの綺麗な目を見て僕はおばさんに憤りをぶつけたくなった気持ちを持ってしまった事がなんだか恥ずかしくなってしまった
なんで僕はこんな子供が純粋だと信じているおばさんの夢をぶち壊そうと思ってしまったのだろうと己を恥じた
顔と耳がカアァァと赤くなるのを感じた
そのおばさんはとても優しい声をしていた
ゆったりと聞き取りやすく丁寧な言葉遣いをしていた
この話し方は1日や2日で身に付くものではない、おばさんの育ちの良さを感じられた
きっとおばさんは幸せな家庭に産まれ幸せに育ち幸せな人に囲まれ、人を信じて疑わない汚れ知らずの綺麗なおばさんなんだなと思った
そんなおばさんがようやく話し終え、最後に再び語りかける
あなた達の目は汚れを知らない綺麗な目をしている、と
僕は憤った
先程までの思いはどこかに消え失せ、僕達は汚れを知ってる汚い目ですと今すぐ憤りをぶつけたくなる位には憤った
僕が今非常に憤ってる事をあなたは分かっているのですかと問い詰めたくなる位には憤った

僕は
その言葉だけは
受け入れる事が出来なかった

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