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僕はひどく疲れている。13

僕が前の仕事を辞めるとき、顧客から任される仕事が多くなっていたので、配属当時は上司と僕と2人だったが、5人で仕事をするようになっていた。

けれど、それが逆に上司をさらにいらだたせたようで、3ヶ月経つ頃には状況は更にひどくなっていた。
そして再度、僕はもっと上の上司に相談をした。
なんとかする。そして、顧客が要望しているように、メインは僕にするし、今いる上司は違う部署へ配属するとその上司は言った。
けれど、結局何も変わらなかった。

もうここはダメだ。
給料は安かったけれど、勤務時間は短く、それは僕にとって仕事とプライベートとのバランスが良かったのだけれど、とてもその会社に残り続ける気にはならなかった。
2度目にもっと上の上司に相談し、そのまま食事につれて行ってもらって帰宅した僕は、すぐに求人サイトを見て、その時点で翌日が提出締め切りだった求人に応募することにした。
履歴書以外にもいくつかの書類が必要だったのだけれど、ひとまず手元にあるものを添えて、「足りない分は後から送ります。」と書き、夜中までやっている郵便局に急いで行って、速達で送った。
結果的に、僕はそうして今の職場で働くことになった。

転職が決まったのが夏の終わりだったので、転職先にはすぐにでも来てもらえないか、と言われたのだけれど、その時点で12月まで抱えている仕事があったので、年明けにしてもらった。
雇用契約を交わした翌日、いつもより少しだけ早く出勤し、僕は上司の机の上に退職届を置いた。
予想通り、その日、上司から呼ばれ、「確かに受け取りました。」と彼女は言い、続けて、「理由を聞いても良いですか?」と僕に対して珍しく丁寧な言葉で聞いてきた。僕は「書いてある通りです。」と言った。退職届には、12月いっぱいで辞めることを書き、理由など書かなかった。

「書いてある通り?」
「はい。書いてあるとおりです。」
「理由は書いてないけど?」
「書いてある通りです。理由を書く必要はありませんし、それ以上のことは言えません。」

上司は全く予想していなかったようで、最初話し始めたときは緊張している様子だったが、話の最後にはやはり僕に怒りを感じているようだった。
それだよ、その態度を毎日されていたから、僕は辞めることにしたんだ。
けれど、それが全く分からない人なんだ。だから、僕に対して平気でそんな態度を取れるのだ。

僕が退職届を出した数日後、前から相談していたもっと上の上司もやって来て、話をした。
「理由は?」
「上司の態度です。」
「何回か彼女にも言ったんだけど、変わらなかった?」
「はい。全く。」
「前にも何回か言っていたけれど、僕もお客さんも田中さんをメインにして、彼女を外すつもりだったんだよ。」
「はい。お客さんにも言われていましたから。」
「次の仕事は決まってるの?」
「はい。」
「前の仕事に戻るの?」
「似たようなものですが、ざっくり言えばそんな感じです。」
「続けることは出来ない?」
「はい。もう契約もしてきたので。」
「給料上げたとしても?」
「はい。お金の問題ではないので。」
「分かりました。まだ数ヶ月あるし、田中さんが抜けてもなんとかなるように調整しましょう。」
「よろしくお願いします。」

そう言って部屋を出ると、最後にその上司は「もっと、前から相談してくれてれば良かったのに。」と言った。
いや、何度もあなたに言ったじゃないですか、と思ったが、何も言わなかった。
もう、終わったことなのだ。僕はその上司に何回か相談し、それに対してその上司は「なんとかする。」と言ってきたのだ。だけど、状況は全く変わらなかった。
直属の上司のパワハラは当然のことながら、「なんとかする。」と言っていたにも関わらず全く改善することのなかった、改善させようとすることのない会社でこれ以上働くことは出来なかった。

12月まで抱えている案件はあったが、辞めることも決まり、次の仕事も決まっている。ようやく気持ちをなで下ろしたのだが、それは結局、それで終わりにはならなかった。

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