SAVINELLI / Estella / HAND MADE
レストア前
イタリアを代表するファクトリー、サビネリのエステラです。
サビネリは1876年に小さな喫煙具ショップから始まった、世界有数の大メーカーです。
大規模工場による大量生産で世界中を席巻し、どこにでも置いてあります。
中古市場のロット売りにも良く入ってます。
完全に独断と偏見による個人的なイメージですが、イギリスならBBB、フランスならchacom、デンマークならstanwell、日本なら柘とかが同じカテゴリな感じ。
だいたい最初の2〜3本は上記のどれかを買う人多いんじゃないかな。
ザ・ファクトリーなサビネリですが、少しだけハンドメイドも作ってます。
全体に対してわずか2%ほど。
Autographに代表されるハンドメイドシリーズは、特別に調達されたデカいブライヤーで、全てを3人の職人が作っています。
(2012年当時)
こっちは通常品と比べるとそこそこ高価です。
で、エステラ。
調べてもハッキリとしたことは分からなかったのですが、多分Autographになれなかったセカンドラインとして、1970〜80年代の短い期間だけ生産されていたっぽい。
エステラと、Punto Oroのコーラルは、唯一無二な彫りが好きで、一本は欲しいなあと思っていたのですが、ぶっちゃけ大衆ブランドにあんまりお金かけたくないな〜で踏ん切りがつかず。
ロット売りとかに紛れてるのを待つ日々でしたが、理想的なエステラが結構安めで出されていたので即購入。
値下げ交渉にも応じてくれたので許容範囲。
やったね。
何が理想的だったかというと、まずはステム。
蛇ロゴ。
この蛇ロゴが欲しかった。
だってカッコいいから。
イタリー感あるよね。
アルファロメオ感。
色も綺麗に残っててかなり状態がいい。
最高。
エステラはここが蛇ロゴのタイプと、「E」のロゴが入ったタイプの2種類あります。
蛇ロゴは、"HAND MADE" と "Rock Grain"のラインのみに入れられていたロゴらしい。
対して「E」ロゴはシェイプナンバー付きの通常シェイプ。
当然、中古市場では「E」の方が圧倒的に多いです。
さらに、エステラはほとんどの場合、黄色ぽいマーブルステム。
自分はパイプビッツつける派なので、黄色マーブルとかだとビッツがちょっと浮く。
黄色マーブルには、黄色の熱収縮チューブをつけたりしてるけど、それでもちょっと目立つ。
そんな中、初めて見た黒ステム。
蛇ロゴで黒ステムは本当に珍しいです。
左右にくびれの入った珍しいデザインも良き。
最高。
んで、ゴリゴリ感。
トゲトゲ。
おおざっぱ。
この彫りの感じもバリエーションがあって、大雑把な感じのやつと、少し細かくて静脈みたいな筋が見えるタイプがあります。
製造年の差なのか、職人の差なのか。
自分はおおざっぱなタイプが欲しかった。
こっちの方が唯一無二感強い。
最高。
そしてシェイプ。
やっぱり、どうせ持つならハンドメイドのシェイプが良いよね。
サビネリらしい。
デカい。
個人的な好みとしてベントなのも嬉しい。
最高。
が、実際に届いてみて、ちょっと残念な部分も…
まず、火穴。
サビネリって穴狭いよね…
ラタキアーとしてはちょっと不満。
イタリアは穴デカめのイメージなのに。
20mmくらいだから許容範囲だけど、全体が想像よりデカかったから、穴ももう少し広くてよかった。
その割に深さだけはあって、火穴だけ見たらトッパーな感じ。
どんなタバコ吸う想定なんだろう。
このデカさでバージニア吸ったら死にそう。
んで、ステムのセンター取れてない。
ロゴは右に、テノンの穴は左にズレてる。
ハンドメイドとはいえ、ファクトリーの限界なんかなあ。
そして極め付け、モールがボウルまで通らない。
ちょっと前の記事のCustomBiltと同じ↓のタイプ。
一度ステムの穴を開けた後に、ボウルに向かって別の穴を追加したタイプ。
CustomBiltとは逆で、上に向かって穴が追加されてる。
使い終わった後、ステム外してからじゃないとボウルまでモールが通せない。
このタイプ面倒くて使用頻度下がるんよなあ。
パイプが冷めるの待つ必要があるから、モールで水分取りたいのに染み込みそうだし。
Autographでもよく見る感じのシェイプだけど、全部これなんかなあ。
だとしたらサビネリはベント買えんなあ。
そんなに急な角度には見えないのに…
残念。
まあ、使い勝手以外は理想的で、状態もかなり良い。
金額考えたら全然成功。
気を取り直してレストアしていきます。
ボウルのお掃除
リーマーとナイフでカーボンゴリゴリ。
結構綺麗にリーミングされてる。
やたら火穴が深く、底の方が窄まってるので、底の方はリューターで。
ボウルトップの黒ずみも、ナイフで軽く削り取る。
あらかた取れたらアルコールメソッド。
コットンとモール詰めてエタノールひたひた。
数時間おきに何度かエタノール注ぎ足して一晩放置。
コットン取り除いて軽くリーミング。
シャンクはストローブラシとかでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
キッチンペーパーとモールでボウルに蓋をして、マーフィーのオイルソープで外側洗浄。
原液を歯ブラシでゴシゴシ。
ぬるま湯流水で洗い流す。
乾いたら椿油を歯ブラシでゴシゴシ。
あまり放置せずに拭き取り。
んでワックスがけ。
通常、ブラスト系はルネッサンスワックスとカルナバワックス。
自分はシェラック使いません。
塗りも、その後の使用も、扱いが難しいので。
自分はパイプ熱くしがちなので、ちゃんと乾燥させないと小さい水疱瘡みたいなの出てくる。
が、さすがにここまでトゲトゲしてると、カルナバのバフ掛け無理くさい。
ということで、ちょっと前にAliexpressで試しに買った、香港の会社が作ってるクリーム状のカルナバワックス使ってみる。
8deco dot com。
安くて品質?なパイプ用品を数多く用意してる会社。
経済的に豊かになったことで、中国ではパイプ人口が増えてるらしい。
ルネッサンスワックスかけた後、8deco塗って抜き取り。
靴磨き用ブラシでゴシゴシ。
ピカピカ。
使えるかも?
最後に、少量のハチミツをエタノールで溶いて、ボウル内に薄く塗っておしまい。
余分な蜂蜜を拭き取っておくと、1日2日で乾きます。
ステムのお掃除
まずはエタノールで洗浄。
アクリルなので長時間漬け込まず、洗う感じで。
ストローブラシでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
全体的にかなり綺麗で、深いティースマークも無いので、リップ付近だけ少しヤスリ掛け。
元が大分ピカピカなので、ヤスリかけてない所と差が出ないように、通常2000までのところを3000まで掛けました。
あとは白棒バフとコンパウンドで仕上げ。
あっちゅうま。
ボウルと合体して、全体をつやふきんで磨いておしまいです。
完成
ツヤツヤ、ピカピカ、ゴリゴリです。
かっちょいい。
ステムもピカピカ。
ボウルの粗野なイメージに対して、締まった黒でスタイリッシュ。
蛇ロゴもかっちょいい。
ゴジラみたい。
かっちょいい。
本当、モールさえスッと通れば…
以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。
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