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Peterson's / DELUXE / 8S

レストア前

ピーターソンシステムの上位ライン、デラックスです。

ピーターソンは、シャンクの中がちょっと特殊な形状になっている、ピーターソンシステムで有名なメーカーです。
通常、パイプの煙道は、ボウルの穴から吸い口まで一直線につながっているのですが、ピーターソンシステムの場合、吸い口までの道と、吸い口の真下へ向かう行き止まりの道に枝分かれしています。
これによって、タバコ燃焼時に発生する水分(ジュース)が下に溜まり、乾いた煙が楽しめるとのこと。
このことから、パイプ初心者の方にもお勧めされることが多いです。

でも、自分はジュースに悩まされたこと無いんですよね..。
まわりにパイプ吸ってる人がいないから分からないけど、そんなにジュースって出る?
口に入ってくると苦いとかネットでよく目にするけど、そんな経験一度もない。
自分の吸い方おかしいのかしら…。

まあ、そういうわけで、自分はピーターソンは経験したことないですが、初心者からベテランまで、一定のファンがいるメーカーです。
デザインが良いしね。
パイプっぽい。
これも面白くて、年配の方はビリヤードの方がパイプっぽく思うらしい。
自分はこういうベントな方がパイプっぽく思うけど。
時代の差っぽい。

このシェイプは8S。
スタンダードの313とかと同じシェイプらしい。
少しコンパクトな煙突型のボウルを持つベントです。

ステムの先っちょはアルミフィルターが付いてます。
ねじ式で取り外せる。
なんか細部の精度高いな。
木工品てより機械感がある。

デラックスは、シャンクが銀とか金で巻かれています。
これは銀。
銀だからしゃーないけど、結構汚れて見える。

銀巻きの場合、ホールマークと呼ばれる刻印の種類で製造年がわかります。
銀に刻印されてる3つ並んでる印。
左はアイルランドのシンボルであるヒベルニア。アイルランドで銀を識別するダブリン分析局のマークらしい。
真ん中はハープクラウン。王冠の乗ったハープのマーク。銀の純度を表すマークらしい。
んで、右のマークが製造年を表すらしく、四隅がカットされた四角(八角形)の中に小文字のhのように見える。
これは1975年に刻印されたってことみたいです。
銀が刻印されてから販売されるまで少しズレがある場合もあるみたいだけど、たぶん75年生まれ。

カーボンはそれなり。
ボウルトップはそこそこな使用感。
ボウル内壁面はそんなに厚くないけど底が汚い。

ステムは使用感あるけど綺麗め。
深いティースマークは無い。

ピーターソンはステムも特殊で、上に向いて小さな穴がぽちっと開いてる形状です。
こうすることで煙が直接舌にあたらずに、舌焼けを防いで口内に煙が広がるらしい。
これもピーターソンの特許で、ピーターソンリップ(Pリップ)と呼ばれています。

ただこれ、モールが使いにくいなあ。
枝分かれの煙道もあるし。
まず、吸い口から普通のモールが入らん。
ファルコン用の細いやつじゃないとダメっぽい。

ボウルも狭めだし、舌焼けとか気にしてるし、ヴァージニア吸う感じなんかな、ピーターソン。
使わないかなあ…
モールめんどいし…
そのためのアーミープッシュなのかもしれんけど。


ボウルのお掃除

ボウル内をロケットリーマーでゴリゴリ。
底の方は牡蠣向きナイフ。
でも結局取りきれなくてリューターかける。

ある程度カーボン取れたらコットン詰めてアルコールメソッド。
シャンクがかなり広いので、煙道にモール通したらその周りにもコットン詰める。
ジッポの芯みたいな感じで。

数時間おきにエタノールを注ぎ足して一晩放置。
汚れが浮いてくるので、コットンとか取り除いて掃除します。

ボウルは軽くリーマーかけておしまい。
シャンクはここで綺麗にします。
シャンク広いので、ストローブラシだけじゃなくて、コットンにエタノールをつけてゴシゴシ。

内部が終わったら、ボウルとシャンクにキッチンペーパー詰めて、マーフィーのオイルソープで洗います。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
ボウルトップは真鍮ブラシでカーボンを取り除きます。
最後にぬるま湯の流水でオイルソープを洗い流して終了。
内部は底の方までは濡れなくて、すぐ乾きます。

乾いたら、ボウルを磨き上げます。
少し気になるところは1000、全体を1500、2000の紙やすりで。
その後白棒パフをかけてピカピカに。

銀巻き部分も綺麗にします。
Amazonで売ってた銀磨きの汚れ取りワックスを布につけて磨きます。
研磨剤入ってないやつ。
曇りはすぐに取れるんだけど、黒い汚れが残ったり、黒い汚れだった部分の輝きがムラになっちゃってたんで、結局白棒パフかけて黒い汚れを落とし、100均で売ってた銀磨き布(研磨剤が含まれてる)に銀磨きワックスをつけて磨きました。

磨きが終わったら椿油を塗りこんで、あまり放置せずに拭き取り。
長時間放置すると、使用時に少量の油が滲み出てきます。
2〜3回使えば出てこなくなるけど。
洗いで薄くなった色味が戻って木目もハッキリします。

椿油拭き取ったら、ワックス掛け。
銀部分はルネサンスワックスかけて、ボウルはカルナバワックス。

仕上げに、ボウル内にエタノールで薄めた蜂蜜を塗っておしまいです。


ステムのお掃除

溜まってたステムと一緒にオキシ漬け。
60度くらいのお湯に10gちょっとオキシクリーンを入れて30分くらい放置。
ホットスタンプの白とかは消えちゃうので注意。

泡が出なくなったらメラミンスポンジで表面のヌルヌルをこすり洗い。
内部もストローブラシとかで。
Pリップが洗いにくい。

オキシ漬けが終わったらエタノールにドボン。
ヤニがもわ〜っと出てきます。
アクリルステムだったり、アクリルが嵌め込まれていたりする場合、長時間漬けると溶けちゃうので注意。

ストローブラシで中もエタノール洗い。
吸い口とかにヤニが溜まりやすい。
Pリップが洗いにくい。

洗浄が終わったらヤスリ掛け。
ティースマークも変色も軽いので600から。
2000までかけたら、白棒パフして、コンパウンド。
最後に全体をつやふきんで拭いておしまいです。


完成

ピカピカ。
銀もキラキラです。
デラックスとスタンダードとの一番の違いはブライヤーだそうです。
グレインの綺麗さ。
クロスグレインで左右にバードアイが出てます。

そしてドーン。
なぜ急にピーターソンだったかというと、3本まとめて売ってたの。
すごく安く。
似たようなフォルムでグレード違い。
レストア内容は同じ感じなので省略したけど、同時進行。

一番右が銀巻きのデラックス。
真ん中がクローム巻きのスタンダード。
左がダンモアという銀巻きの代わりに彫りがあるシリーズ。
全部ピーターソンシステム。
ピーターソン好きだったんだろうなあ。

システムの違いも興味深い。
デラックスが一番ステム太い。
スタンダードはアルミフィルターなし。
ダンモアはアルミフィルター細めでボウルはシッター。
みんな揃ってピカピカ。
よかったね。
口径的に全部自分は使わなそうだけども。
ごめんよ。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。



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