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Caminetto / BUSINESS / 147

レストア前

前記事のCavicchiがパイプ作家になる原因になったCaminetto、の147です。
オールドカミネットといえばこの形っていう、特徴的な卵形のベント。
でかくて手にフィットして良い。
なんでBUSINESS?ってずっと思ってるけど、多分ラスティックのシリーズ名。

カミネットは、カステロで働いていたジュゼッペ・アスコルティが、同じくカステロのパイプ職人ルイジ・ラディチェ、タバコ店経営者ジャンニ・ダヴォリの2人と一緒に始めたメーカーです。

「カステロのクオリティを半額で」を合言葉に、カステロパクリまくって訴えられたりしてます。
元職場のものを堂々とパクるのは時代なのかお国柄なのか。

70年代までイケイケでしたが、もっと売りたい経営者 vs クオリティにこだわりたい職人2人というよくある対立構造で喧嘩別れ。
現在は3人ともバラバラになり、アスコルティはAscorti、ラディチェはRADICEを立ち上げ、それぞれ成功しています。
Caminettoブランドは喧嘩別れの時にアスコルティが買い取ろうとしたけど資金が足りなくて、のちにダヴォリからアスコルティが買い戻すまで一時消滅しました。
現在は孫の代のAscortiによって製作されています。

ステムはアクリルなので、細かい傷はあるけど深いティースマークはなし。
アクリルはレストア楽で好き。

カミネットといえば、なんと言ってもステムのヒゲマーク。
ヒゲは2種類あって、1968年頃 ~ 1975年頃までが、カモメヒゲと言われる薄いヒゲ、1975頃 ~ 19781年頃までは太いコンマが対照に並んだコンマヒゲ。
色が無いので見にくいけど、これはカモメヒゲ。
なので、初期のカミネットです。

カーボンはそれなり。
ボウルは深い。


ボウルのお掃除

まずはボールをリーミング。
カーボンそれなり、と思ったけど、結構強敵だった。
カーボン自体はそんなに厚くはなかったけど、カーボン取り除いてみたら、過去のリーミングのせいで壁が結構削れてる。
底は狭くて上は抉れ。
そして底と上部の境目がボコッと段差。
リーマー届かなかったんかな。
深いし。

段差が大きかったりボコボコしてると焦げつきそうな気がするので、できるだけスムーズになるようにボウル内を研磨。
上が結構抉れてるので、底の方の壁も結構リューターで削った。
ヤスリをピンセットで持って底の方までヤスリ掛け。
なんとか滑らかに。
ボウル容量多っ。

リーミング終わったらアルコールメソッド。
一晩おいてエタノールで掃除。
ボウルは削ってるのでそんなに汚れ出ず、軽くリーマーかけておしまい。
シャンクは結構汚れてる。
ストローブラシやモールで色がつかなくなるまでゴシゴシ掃除。

アルコールメソッドしたら、ダボ穴のところが白く濁る。
シェラックだったんかな。
結構汚れてもいるので、一度エタノールで全体を擦って古いニスを落とします。
色落ちは気にするほどじゃないです。

ニスとったら、ボウルにキッチンペーパー詰めて、マーフィーのオイルソープでこすり洗い。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシの後、温水で洗い流します。

ボウル乾いたら椿油で潤いプラス。
あまり放置せずに拭き取り。
洗って浅くなった色味も戻ります。

椿油を取り除いたら、ルネサンスワックスとカルナバワックスで仕上げ。
ルネサンスワックスを歯ブラシにつけてゴシゴシ。
溝が深いので中までしっかり。
ルネサンスワックスを拭き取ったら、先端が細いパフをリューターにつけて、カルナバワックス塗っていきます。
溝もしっかり。
その後、カルナバ布と歯ブラシと豚毛ブラシで擦りまくって、細かい溝のワックスを掻き出します。
どうしても取れない溶けない細かいカスは、爪楊枝とかでほじくると取れます。

最後にボウル内に蜂蜜塗っておしまいですが、今回はちょっと底が下がってたので、蜂蜜と葉巻の灰を混ぜたものをパテがわりに底に詰め、壁面にも薄く塗ります。
他のパイプ用に用意したものの残り。
これでボウルはひとまずおしまいです。


ステムのお掃除

ステムをエタノールで洗います。
アクリルはエタノールに長時間漬けると溶けそうなのでちょっとだけ漬けます。
んで、エタノールに泳がせてストローブラシで洗い流すを繰り返す。
しゃぶしゃぶみたいな感じ。
モールに色がつかなくなったら完了です。

内部掃除が終わったらヤスリがけ。
ティースマーク軽いので、600〜2000まで。
その後、白棒パフとコンパウンドで磨き上げます。

磨いたのち、ヒゲにアクリルガッシュで色をつけます。
元色が全く残ってなくて色味に迷う。
多分、金か、白か、もともと塗料が入ってないか、の何れかなんだけど、ヒゲマークはほとんど金でたまに白って記載もあるので金に。
以前もカミネットに金入れたし。

爪楊枝で、塗って、削ってを繰り返します。
これ彫り的にもともと塗料入ってなかったかもな〜。
金似合うからいいけど。

最後にボウルと合体して、全体をつやふきんで拭いて完成です。


完成

ピカピカボコボコです。
彫りが深い。
ドリルが通った道が分かる。

ステムもピカピカ。
ヒゲもハッキリ。

一見黒だけど、陽に当てるとほんのり紫を感じる。
そして、角度で表情が随分変わります。
もう一本持ってる同年代のカミネットもそうだから、多分カミネットの特性。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。

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