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忘れたい夏の恋


初めて会って相手の第一声を聞いた時
「多分、私はこの人を好きになる」
と直感でわかってしまった。


企画書・レビュー・納期の設定など
仕事仲間として話していた内容が
いつの間にか
どこ出身・好きな物・タイプの人など
恋する二人として話す内容に
変わっていった。


梅雨が明けるころに
彼と私が関わった仕事は終わり、
彼と私の恋が始まった。



夏の恋、生まれて初めての経験だった。



生まれて初めての経験といえば
遠距離という形も初めてだった。

連絡はマメに取ろうね。と
曖昧な約束だったのが、
今になっては後悔の1つ。


でもその時は浮かれていて
何もわかっていなかった。



「今年、淀川で花火大会やるらしいよ。」


7月になり、東京の彼がそんなこと言う。
彼は月一でわたしの住んでる大阪に来るたびに
私が知らない”大阪情報”を仕入れてくる。


「花火かぁ、、、暑いやろ。」

「暑いなか花火を見るのが、
 思い出になるんだよ」



彼はインスタグラマーをやっているせいか
言葉がたまに独特だ。


この間は、ちょっとしたお礼を言われた時も
「ありまとう」
と、ふにゃふにゃした、でも頭に残る
言葉を言ってきた。


「浴衣着るのじゃんくさい」

「彼女にきて欲しい夏服ベスト3は
 ノースリーブ・ホットパンツ・浴衣だよ」


こんなことを笑顔で言ってくる彼は
きっとこれまでの歴代の彼女にも
同じことを言ってきたのだろうと
想像がついた。

「気が向いたらね」



ぶっきらぼうに言ったけど
本当は
めんどくさいなと思う気持ちより
浴衣を着て彼に見せたい気持ちが
勝っていた。




忘れられない夏の恋になる予感がした。




だが残念なことに
結局、浴衣は着なかった。





彼の浮気が分かり、私から別れを告げた。
彼は私の大阪へ行く途中に名古屋で
途中下車して遊んでいたのだ。


浮気野郎と会った最後、
梅田の駅で
特大の蹴りを入れて
大声で「浮気野郎」呼ばわりしてあげて
二度と大阪の地を踏めないようにしてやった。




その日の夜は、泣いた。



久々に人を好きになれたのに。

夏の恋は初めてだったのに。

あっけなく終わってしまった。



淀川の花火は、
私の家のベランダから
Tシャツ寝巻き姿で眺めた。


花火が上がるたびに涙が出た。


さんざん懲らしめたのに
思い出すのは
浴衣着てとお願いした時の彼の笑顔と
その時に嬉しいと感じた私の想い。


大切にしたかった夏の恋。



自分の気持ちにフタをして
秋に変わるのを待とうと思っている。



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みなさんは2022年の夏、
どんな恋だったでしょうか?
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教えてくださった方には
「線香花火ぶるちゃん」を差し上げます。

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