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番外編 父親

高校生活もアルバイトも仲間と一緒にいるのも本当に当時は楽しかった。

唯一引っかかっていたのは父親だ。

ただの愚痴になってしまうがたまには言わせて頂きたい。

正直、父親の事が心底嫌いだった。
親子とは言えこちら側がこんなに嫌いなんだから父親も自分の事は好きではないはずだ。

高校の仲間と遊ぶと親の話になりがちで、皆親がマジダルいやら、親なんて死ねばいいやら、ウザいキモいと言いたい放題だ。
でも、仲間の前では親の悪口は言わなかった。何か凄くかっこ悪いと言う認識が強かった。
それに、皆そうなのかもしれないが自分の父親に対する怒りや腹立たしさは何か他の子よりも根深い物と思っていた。

でも父親の事は尊敬している。
周りからの評価が高いのも知っている。仕事熱心でユーモアがあり部下からの信頼も厚い。
ギャンブルもしないし外でお酒を呑んで帰ってくる事も、よっぽどな事がない限り無い。
家族想い。
暴力も振われた記憶もない。
言えば言葉の暴力と言うか精神的ダメージに近い所で悩んだのかもしれない。
そんな事もあり、甘えなのかもしれないが大嫌いだ。
迷惑も山程かけたし意見なんて言えた義理じゃないのも承知だが嫌いなのだ。

今考えればそうさせていたのは自分なのかもしれない。それでも何をしても否定され、挙げ句の果てには高校の時に仲間を家にあげて遊んで仲間が帰った後に 俺だったらお前よりあの子達とうまい事やるよ と言われた事もある。唐突にだ。

小学生の頃、いじめられていた事を父親に告白した時にお前が悪い部分を見直せと何をされたかを聞きもせずに突っぱねられたと言う想いがある為に、許せなかった。

少なくともイジメから這い上がった中に父親の存在はない。
そんな中で自分が築き上げた仲間との関係を何も見てないのに否定された事に腹しか立たなかった。

ニ度殺された気分だ。

ただその分迷惑もかけた。
特に中学と高校時代はやりたい放題で心配ばかりかけた。

自分が悪いと分かっていても、それでも同じ空気を吸うのが嫌なくらい憎かった。

父親と何かある度に母親が仲裁に入り母親には本当に申し訳なくおもう。

だいたいこのパターンが多かった。
母親に色々自分との関わりの事で言われたであろう父親が、無理な笑顔を作って話かけてくるのだ。当然嫌いだから無視をすればため息をされて子供扱いされる。
自分のテンションでこっち側がそれに乗らなければ全てこっち側に非があるかの様な振る舞いは余計拗らせる事をお分かり頂きたい。

とにかく仲がわるいのだ。
同じ屋根の下に暮らしながら大袈裟ではなく何年単位で一言も口を聞かない時期もあった。

本当に一度も褒められた事がない。
妹は出来るのに何でお前は出来ないんだ?と、妹の前で言われて妹に笑われた事もある。
家で仲間と話せている時に仲間にふざけんなよ〜と高校生らしい返しをしただけで、お前の方が出来ないんだからそんな言い方するなと割り込んで周りをドン引きさせた事もある。
多分本人は自覚はないのだと思う。

書けばこっち側の意見だけで言いたい事は山程あって書ききれない程だ。
でも、父親からすれば同じくらいのテンションで俺の事には色々な想いがあるのも理解は出来る。
完璧主義な父親と、俺とではそもそも親子と言う形が無ければ合わないのだ。

お互い疲れる存在だ。

とは言っても今は仲良くとはかけ離れてはいるがそれなりに親子っぽい事はできる様にもなった。

ただ、恥ずかしい話今だに会うとなると3日前からソワソワしてしまう。
たまに母親に甘えて風邪を引いた事にしてもらって行かない事もあるくらいだ。

それでも進歩したと思う。
全く関わりを持ちたくなかった俺が関わっていないといけないと言う考えに今なっているからだ。
結局自分の為だが、親もずっと生きている訳ではない。
後悔したくないのだ。
少しでもできる事ならいい関係でいたいと今では思う。

父親とは本当に色々あったが、少しずつ距離を縮めて行けたらなと思う今日この頃である。


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