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19章 七日間戦争

木村さんに1週間みっちりドラムの練習をお願いした。
木村さんは長い目で見てくれている為に、スティックの握り方を先ずは覚えてと言ってくれたが1週間後にライブを控えている俺はそんな事言ってられなかった。
ライブでスティックを握れた事を喜んでくれる人などいないからだ。

本当は先ずは暇な時スティック握って3ヶ月くらい生活して欲しかったんだけどなぁw
でも1週間後ライブでしょ?w
そりゃヤバいねww

生意気言ってすいません。
そーなんですよ!ライブが終わったらもぅずっとスティック握って生活するんで今回だけ最短で曲、2曲出来る様にお願いします!

初めてで2曲かwww
とりあえず4ビートから教えるね!
ドッチャンドドチャンドッチャドッドチャ!これが4ビートね!

。。。これが4ビートですね。

これが4ビートですねじゃない。
なんでいきなり4なんだ。
1から教えてくれないのかと当時は思った。
言われた通りに4ビートとやらをやってみるが。。。手と足が一緒に動いてしまう。。。
思ってたより数百倍難しい。
ヤバい。。。
1週間後にライブでドラムを叩いてる自分の姿が想像出来ない。ヤバい‼︎!
その日はひたすら4ビートを練習した。

次の日にやりたい曲を木村さんに教えたら知ってる曲だったのでスムーズに練習出来た。

あー!初期のpunkは練習しやすいしいいと思うよ!
大丈夫、大丈夫!ライブまでに間に合うよ!

泣きそうだった。

精神崩壊寸前だった俺は睡眠さえ取れていなかった。
そりゃそーだ。
楽器に触れた事もない人間が1週間でライブに出るのだからむしろメンタルは強い方なんじゃないだろうか。
そんな時に 大丈夫 は精神安定剤の中でもかなりトブ薬である。

気合いが入った。

次の日からはメンバーと音合わせだ。
。。。いや、音を合わせてもらいに行った。
メンバーは西口先輩と、いつも行くライブに出てるバンドの1人てっちゃんだ。
ギターボーカルは西口先輩。
ベースがてっちゃん。
ドラムが俺だ。

とにかく音を合わせると言う過程が入って来ないのだ。
まだドラム3日目。。。いや、スティック3日目なのだ。無理もない。

ドラムにはハイハットと言うシンバルが2枚重なったものがある。
このハイハットが重要なのだ。
ハイハットにはペダルがついており、このペダルを踏むとシンバルがピタッと重なった状態になる。
踏んだ状態でハイハットを叩くと音の広がりが抑えられる仕組みだ。
そして何が重要かと言うと、曲に入る時にこのハイハットを4回 カンカンカンカン と、鳴らすのを合図に曲が始まるのだ。

カンカンカンカン。。。。

ブル〜
だから合図の後に音ちゃんと聴いて入れって!
ブルがズレたら俺らも入れないからな?

わかってはいる。
でも、わかってない。
矛盾しているがこんな感じだ。

とりあえず、ずっと最初の合図で足踏みを喰らわせてしまったので失敗してもとりあえず最後まで完走する事にした。

自分採点は厳しくしないといけない。

心の中で唱えた。

うーん。20点かな。。。

西口先輩が言う。

0点。
もっと曲聴きな!
練習はライブまで付き合うから失敗は減らす事。

はい!

そこからは木村さんも毎日呼んでの猛特訓になった。

とりあえず形にはなった。

てっちゃんが褒めてくれた。

ブル君 凄い凄い!
いや、1週間経ってないのにこれはマジで自信持ちな!
明日、楽しみだね!

めちゃ優しい。。。

とにかく、明日が本番だ。
前日から緊張で吐きそうだった。

当日、昼からスタジオで練習だ。
とにかく覚えた事をずっと繰り返した。

よし、ブル行くぞ!

西口先輩が言う。

え?もうですか?。。。

リハーサルとかもあるし早めに入らないとだから行かなきゃ
びびんなよww
大丈夫 大丈夫!出来てるよ

はぃ。。。

そしてライブ会場に着いた。
いつも来ているライブハウスなのに違う場所に思えた。
リハーサルの番が来た。
意外とうまくいった!

少し手応えを感じる事が出来た!

ライブには当時好きだったミキも呼んでいた。

え?マジで??ブルが出んの??
うけんだけどwww
出来るの?ドラム!

いや、最近練習してて出来るか出来ないかで言えば全く出来んw
でも、ライブまでにはめちゃ頑張って覚える!

マジ?w
行く行く!
楽しみにしてるわww

めちゃくちゃ嬉しかった。
でも、カッコ悪い姿は見せれない。
とにかく覚えた事をぶつけるだけだ!

だいたい皆1バンド6、7曲はやる。
でも、西口先輩が主催者の人に2曲だけで出してってお願いしてくれてたのだ。
そしてなんと、俺らのバンドの前に西口先輩は自分のバンドでもその日出るのだ。

そしてライブが始まった。
ミキも来ていた。
ミキはこのライブにはよく来ている為に仲間も多い。
手だけ振ると女子グループの方へ消えていった。


西口先輩のバンドの番だ!
西口先輩に言われていた。

俺のバンドの時お前1番前で暴れろよ。
暴れなかったらシメっかんな

西口先輩なりの優しさだった。
緊張をほぐせの合図である。

乗るしかない。
暴れ倒した。。。
全然緊張は取れなかった。

そして、西口先輩のバンドの後に何バンドかやった後自分達の番がやってきた。

その時、1日だけ組んだバンド名が

ブルコングだ!

思いつきで何か強そうでポップな名前で考えてて ブルコング ってど〜っすか?って俺が言ったら即採用された。

そしてドラムセットの前にやってきた。
目が慣れないせいか客席が暗い為に見えない。
緊張して手が震えてるのもわかる。
ようやくして目が慣れて来たと思ったら1番前の端にミキが見えた。

ミキを確認してからハイハットを4回。。。

ッカンカンカンカン!

始まった。

。。。出だしを失敗した。

でも演奏は止まらない。

何とか立て直して食らい付いた。

途中もいつも出来てる事が出来ない。

。。。右手が止まってしまった。
動かない。

ベースのてっちゃんがこちらを見て口パクで 大丈夫 大丈夫 って笑顔を見せてくれた。

やっと動きだした時にはいつのまにか終わっていた。

思いの他客はめちゃくちゃ盛り上がっていた。

楽屋へ戻って。。。大号泣をしてしまった。
悔しかった。もっと出来るはずと悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。

ドアがガチャっと開いた音が聞こえた。
目を擦ると西口先輩だった。

おいブタwww
泣いてんじゃねーしwww
ドラムはまぁ。。。25点www
でも、ライブ自体は100点っしょ!
俺も楽しかったし仲間見る余裕お前なかったと思うけど、ブルー!って皆叫びながら喜んでたよ。
俺はやって良かったと思う!マジで。

これからもお前ドラム続けろよな。

ありがとうございます。。。
ドラムは本当にやりたいっす!
うぅ。。。すいませんでした。。。

wwwww
酒呑み行くべ!
お前知らねーと思うけど、この後の酒が1番美味いからマジでww

と、こんな調子でライブは成功??した!

ミキはどう見たかな。。。
不安でいっぱいになった。

でもライブの前から決めていた事がある。
ライブが終わったらミキに告ると!




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