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第4回 一体、何が、輪廻・転生するのか?

 現在の仏教界では、輪廻の存在は認めても、何が輪廻・転生しているのかについて、統一した見解はありません。
 というか、未だに、輪廻の主体は謎のままなのです。
 輪廻の主体を明らかにしないまま、高僧と言われている人々が、頭の中で思い思いの主体像を描き、独自の仏教教理を作り出したために、8万4千もの法門に膨れ上がったのではないでしょうか。

 迷走のきっかけは、パーリ語の「アナッタン」、サンスクリット語の「アナートマン」を、「アートマンは無い(=無我)」と解釈したことにあります。
 「アートマン(=我)」という非物質的存在を、「無い」と否定してしまったために、輪廻の主体が不明になり、釈尊の教え・悟りの正体が全く理解できなくなってしまったのです。

 「アナッタン」・「アナートマン」は、仏教学者中村元氏が主張したように、「アートマンではない(=非我)」と解釈すべきなのです。
 般若心経のサンスクリット原文である、「法隆寺貝葉写本」を現代日本語に翻訳して分かったことは、瞑想修行によりアートマンが肉体から分離・離脱してニルヴァーナ(=涅槃)に赴くこと、それが「悟り」の本質・真実だということです。
 
 アートマンが輪廻・転生の主体だと考えれば、「スッタニパータ」に描かれた釈尊の教えは、明快に理解できます。
 仏教復元プロジェクトは、非物質的存在である、アートマンを肯定することから始めます。

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