ぼーずのメモ帳(平和な世界についての記事)

「平和な世界について」

現在の世の中は、政治・経済・精神面など、あらゆる方面が動乱している時代です。

この状況の中で、今一度「平和な世界」という事について考えてみましょう。

仏教では「内的な心」と「外的な環境」が、お互いに複雑に作用し合う事で世界を成り立たせていると説きます。

例えば、何かのきっかけでイライラとした気持ちになると、普段は気に留めていない周囲の事に対しても嫌悪感が増し、自分の心も周りも、より殺伐とした状態になってしまう場合もあります。

心が荒んでいれば、たとえ外的な環境が恵まれていても、平和で幸福な状態とは言えません。

そのため真の「平和・幸福」な状態を目指すには、まず自分の「心の動き」に注意する事が、修行の第一歩であると仏教では説きます。

◇日蓮聖人の実例◇
日蓮聖人は「心の動き」について信徒の方へ、どう語られているのか一例を挙げてみます。

武士で在家の熱心な信徒である四条金吾氏が、主君江馬氏との間で領地に関わる問題が生じた際、日蓮聖人が書かれた手紙にはこう記されています。

「賢人は『八風』と申して八のかぜにをかされぬを賢人と申すなり。」

この「八風」とは、人生に振りかかってくる、利(うるおい)・衰(おとろい)・毀(やぶれ)・誉(ほまれ)・称(たたえ)・譏(そしり)・苦(くるしみ)・楽(たのしみ)の八つの出来事を言います。

このお手紙で日蓮聖人は四条金吾氏に対して、古来賢人と呼ばれる者はこの八風に左右されず、自らの精神を研鑽し修行に勤めており、この様な人を諸天は守護するが、むしろ八風に犯されて主人である江馬氏や周りの人を「恨む心」に陥れば、守護は得られないと諭されています。

このお手紙を含め、日蓮聖人から長年に渡ってアドバイスを受けた四条金吾氏は、自らの心身を律し給仕に勤めた結果、江馬氏からの信用を取り戻し、より良好な関係を築く事となりました。

仏教において「恨む心・怒りの心」は佛の境界から遠のく行為であると説かれます。

日蓮聖人は更に一歩立ち入って、様々な問題に遭い、この様な感情に陥りやすい時こそが、最も自らの修行となる重要な時期である捉えます。

何故ならば、追い込まれた時こそ、お釈迦様の教えが自分に深く身に付いているのかを確認し、更に改善できるからです。

◇法華経・大乗仏教の肝要‥一切衆生はブッダの過去世◇
法華経の教え・大乗仏教の肝要は、全ての人がブッダの過去世であり、本質的にブッダを目指す菩薩同志である、と捉える所にあります。

この視点に立つと、すべての存在は皆佛道を共に歩んでいる善き友と捉えられ、すべての出来事がブッダに向けて精神を研鑽する修行の機会として受け止められます。

そのため日蓮聖人は、四条金吾氏も周囲の方々も、皆共に仏道を歩んでいるという視点に立った上で、一時的な事で恨みの心を懐かない様にと諭されたのです。

日蓮聖人自身も、幕府の要人については「遺恨は無く、佛道修行を前進させてくれる善知識そのものである」という旨を語っています。

つまり、困難の中にいる時こそ、恨みや嫌悪感を離れ、自分の心を調える事は、大切な佛道修行に成るという事です。

人間誰しも至らない面、苦しい環境は常にありますが、その中でも先程の法華経の視点に立ち、各々がブッダを目指して、日々心を調え磨いていく事そのものが「平和な世界」の基盤となるのではないでしょうか。

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