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マンガを描こう!のハナシ(その2)

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
ビルドは札幌市でグラフィックデザインとイラストをメインの作業にしている就労継続支援B型事業所です。

今日は以前書いた「マンガを描こう!」の続報です。

ビルドでは仕事でもマンガ描くし、利用者さんの活動でマンガ(同人誌)描くこともあるのでスタッフもマンガ描く経験しとこうか?という流れで
「桃太郎」の冒頭を4ページのネームにする企画(企画と言ってはいけない、研修テーマです)でした。

使用したのは、青空文庫より

むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
 ある日、おばあさんが、川のそばで、せっせと洗濯をしていますと、川上から、大きな桃が一つ、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」

 と流れて来ました。
「おやおや、これはみごとな桃だこと。おじいさんへのおみやげに、どれどれ、うちへ持って帰りましょう。」
 おばあさんは、そう言いながら、腰をかがめて桃を取ろうとしましたが、遠くって手がとどきません。おばあさんはそこで、

「あっちの水は、かあらいぞ。
こっちの水は、ああまいぞ。
かあらい水は、よけて来い。
ああまい水に、よって来い。

 と歌いながら、手をたたきました。すると桃はまた、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。
ドンブラコッコ、スッコッコ。」

 といいながら、おばあさんの前へ流れて来ました。おばあさんはにこにこしながら、
「早くおじいさんと二人で分けて食べましょう。」
 と言って、桃をひろい上げて、洗濯物といっしょにたらいの中に入れて、えっちら、おっちら、かかえておうちへ帰りました。
 夕方になってやっと、おじいさんは山からしばを背負って帰って来ました。
「おばあさん、今帰ったよ。」
「おや、おじいさん、おかいんなさい。待っていましたよ。さあ、早くお上がんなさい。いいものを上げますから。」
「それはありがたいな。何だね、そのいいものというのは。」
 こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上に上がりました。その間に、おばあさんは戸棚の中からさっきの桃を重そうにかかえて来て、
「ほら、ごらんなさいこの桃を。」
 と言いました。
「ほほう、これはこれは。どこからこんなみごとな桃を買って来た。」
「いいえ、買って来たのではありません。今日川で拾って来たのですよ。」
「え、なに、川で拾って来た。それはいよいよめずらしい。」
 こうおじいさんは言いながら、桃を両手にのせて、ためつ、すがめつ、ながめていますと、だしぬけに、桃はぽんと中から二つに割れて、
「おぎゃあ、おぎゃあ。」
 と勇ましいうぶ声を上げながら、かわいらしい赤さんが元気よくとび出しました。
「おやおや、まあ。」
 おじいさんも、おばあさんも、びっくりして、二人いっしょに声を立てました。
「まあまあ、わたしたちが、へいぜい、どうかして子供が一人ほしい、ほしいと言っていたものだから、きっと神さまがこの子をさずけて下さったにちがいない。」
 おじいさんも、おばあさんも、うれしがって、こう言いました。
 そこであわてておじいさんがお湯をわかすやら、おばあさんがむつきをそろえるやら、大さわぎをして、赤さんを抱き上げて、うぶ湯をつかわせました。するといきなり、
「うん。」
 と言いながら、赤さんは抱いているおばあさんの手をはねのけました。
「おやおや、何という元気のいい子だろう。」
 おじいさんとおばあさんは、こう言って顔を見合わせながら、「あッは、あッは。」とおもしろそうに笑いました。
 そして桃の中から生まれた子だというので、この子に桃太郎という名をつけました。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000329/files/18376_12100.html


完成したのは、それぞれ個性が異なるネームでした。
マンガの答えはないので、どれがいい/悪いという話ではありませんけれどね。

ラストシーン(そして桃の中から生まれた子だというので、この子に桃太郎という名をつけました)だけでもちら見せしちゃおうかな…(ちっちゃい画像で、雰囲気だけ)


右上:命名桃太郎と書かれた命名用紙。左上:泣いている赤ちゃんにナレーションでこの子に桃太郎と名付けました。左下:元気な桃太郎スタイルの赤ちゃんの絵と桃太郎という名をつけました、のナレーション。右下:成長した桃太郎と犬猿雉・鬼の絵。
それぞれのラスト1コマです

ラスト1コマだけでも個性が出ていることがおわかりいただけたでしょうか?

参加した全員、冒頭シーンと結末のコマをどうするか?を決めて取り組んだことは同様でした。
同じような(?)シーンでも、描き方は人それぞれ。一人は「今後につながるコマ」として構成しています。

これは、「冒頭4ページ」を、序章(1話)と捉えるか、話の途中と捉えるか?でも切り取り方や終わり方が違うかな?という気がしました。


実際にネームを切ってみた感想はそれぞれでしたが、なんとなく
どの部分を助言するといいのか?そのためには何をしたらいいのか?が明確になったように思います。

マンガは、他者に情報を伝えるための「手段」です。
実際にお仕事で受注している、いわゆる"実用マンガ"は、事業内容の説明やコミュニケーション方法をわかりやすく伝えるツールである、ということが、より強く実感できました。

このような「支援スキル向上」の社内研修も、楽しくできていいですね。
いつかは利用者さんも一緒にやってみたいと思います。


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