アイデア出しと連想ゲームのハナシ
こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
クリエイティブ系新人あるある、連想ゲームのハナシ。
最初にこの連想ゲームというワードを、この文脈で認識したのはNASU-MEDIAの記事で出てきたからです。
とてもわかりやすい内容なので、たまに利用者さんにご紹介しています。
ビルドの利用者さんでもたびたび起こるのですが、自分は「良いものを作ろう!」と努力しているのに、いつのまにかテーマやオーダーからズレていってしまう現象をどう解説したものか…と思っていたんですよね。
今日、イイ感じに言語化できた気がするのでnoteにまとめてみようと思います。
マグロのお寿司を頼んだら鯛の炙りが出てきた
お寿司屋さんでマグロを頼んで…
おいしいお寿司出してくれそうな寿司職人さんが…
鯛(あぶり)のお寿司出してきたらびっくりしますよね。
寿司職人は、お客様に喜んでもらおうと思ってしたことなのですが、結果的に全然お客様のためになっていないという悲しい結果になってしまいました。
どうしてこのようなことが起こったのでしょうか?
順を追っていきます。
マグロのお寿司が注文された
いきなりお寿司の話が出てきてびっくりしていますね。
ここでは、イラストやロゴ・デザインなどを頼まれた=お寿司の注文が入った。と考えてください。
たとえば「学校見学会のチラシ」「ハロウィンテーマのイラスト」など具体的な内容=マグロです。
お客さんに喜んでほしい
デザイナーやイラストレーターは、アイデア出しをするために依頼内容を精査します。
せっかく自分に頼まれたのだから
自分らしさを出したい
お客さんを満足させたい
より良いものを提供したい
と考えます。
寿司職人も同じです。おいしいお寿司を提供するために様々な工夫をします。
くま職人は、オーダーされたマグロのお寿司について、お客さんが何を思ってマグロのお寿司を注文したのか?を分析し、より喜ばれるようにしたいと考えました。
🐻
うんうん。マグロのお寿司おいしいよね。注文したい気持ちわかる。
でも、せっかくウチのお店に来てくれたんだもの。お客様にもっと喜んでもらいたい。さすがウチのお店!って思われたい。
ちょっと、ウチのお店らしさを加えてみたいな…
たとえば人気のすしネタと言えば…ランキングにもよるけれど
サーモンやマグロがテッパンであることが多いようだな。
あ~。サーモンもおいしい。脂がのっているところはマグロとも共通点ありそうだ。
自分だったらどんなネタが好きかな…
【くま職人の好きな寿司ネタランキング】
鯛
エビ
たまごやき
・・・なんてことを考えていました。
なんとなくこの時点で、マグロのお寿司という前提から離れて
「おいしいお寿司」とは?というところを考え始めているようです。
くま職人が考えたお客さんが喜んでくれる至高のお寿司
くま職人は考えました。
🐻マグロのお寿司は、いろんなお店で提供している。
マグロのお寿司の良さは脂がのっていておいしいことと、お寿司としてのバランスがいいことだ。
でも、だったらくま職人が好きな鯛のお寿司も同じくらいおいしいぞ。ウチの鯛はこだわりを持って選んだ自信の品だ。きっとお客様もお喜びになるに違いない。
マグロに匹敵する風味を足すために、鯛を炙りにしてみよう!
このようにして、冒頭のシーンに戻ります。
くま職人的には、お客さんに喜んでもらいたいと頑張ったのですが、結果としてはオーダーと全く違うお寿司を提供してしまうことになりました。
いつのまにか脱線してる
デザインやイラストを考えてリサーチをしているときに、いつのまにか脱線するときにも同様のことがありませんか?
たとえばハロウィンのことをリサーチしていたら、
ハロウィンといえばジャックオランタンやミイラ、フランケンシュタイン、オオカミ男などのモンスター…オオカミ男ってモンスターなのか?いや、UMA的な?UMAといえばイエティとかネッシーとかツチノコとか…なんか都市伝説的だな。フライングフィッシュとかスレンダーマンとか口裂け女とか…。あ、なんか口裂け女描いてみようかな?
ハロウィン→いろいろあって口裂け女
あれ?
学校説明会(カッチリ真面目系)のチラシを作ろうと思ってリサーチしていたら、「あ、これもかわいい」「こんなデザイン素敵」と気持ちが引っ張られて、妙にファンシーなデザインに仕上がる……。
アイデア出ししているつもりが連想ゲームになっていて、オーダーから逸れてしまうということは、実によく起こるんですよね。
本当のアイデア出しとは?
ブレストなどでもしばしば起こる現象かと思います。
リサーチやアイデア出しのとき、それがなんのためのものなのか?を明確にしておかないと道を逸れていってしまう。しかも連想ゲームはすらすら出てくるので、やっている方は楽しくて気づかない。
そして、気が付いたときには迷走しているということが起こります。
ビルドに通われている利用者のみなさんの場合だと、これに加えて「一度思いついたアイデアを手放すことが難しい」という特徴がありまして。
最初に思いついたものがどんなに脱線していても「はい、これはやめ!次いこう」ができないことがあるのです。
というわけで、原点に戻りましょう。
マグロのお寿司をよりおいしく提供するために必要なことは?
マグロのお寿司そのもの=お客さんからのオーダーの範囲内で、より良くするためにどうしたらいいのか?できる工夫を考えてみましょう。
マグロそのものがおいしい。
シャリがおいしい。
にぎりの技術。
あくまでもマグロのお寿司を提供するという前提で他店と差別化を図るために「自分らしさ」を出せる工夫ポイントが、いろいろ見つかりますね。
デザインやイラストでも同様です。
まずは「クライアントがどうしてほしいのか?」を明確にした上で、自分にできる工夫を考えていけばいいのです。
たとえばハロウィンのイラスト素材を描く。となったときに
イラスト素材は会場の飾りつけやカード、お知らせ文書などに使われるだろうなということが予想されます。
定番のジャックオランタン・キャンディ・ゴースト・魔女・コウモリなどを自分の絵のタッチで描けばいいのです。
その際に必要なリサーチは、「ジャックオランタンってどんな形で要素(目や口の形)はどんなものだっけ?」「一目で魔女とわかるモチーフは何かなあ?」という部分。
決して、「ジャックオランタンは他の人がたくさん描いてるから自分は描かなくてもいいや。ちょっと珍しいモチーフ無いかな…」とはならないのです。
ここまで(利用者さんと一緒に)整理したところで
オーダーやテーマの範囲内であるという前提を忘れないようにするのはどうしたらいいだろう?というのが、ここ最近の課題です。
(発達障害の特徴が影響して、直前まで考えていたことをすっかり忘れて目の前のことに夢中になってしまうことがあります)
もしなにか「こんな工夫しているよ」ということがあればコメントなどいただけるとうれしいです。
いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。