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実録!?レイアウトを相談してみよう!のハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。

札幌では今、【「富野由悠季の世界」展】が開催されていて、市内のあちこちでポスターを見かけます。

ポスター見ると、イ○オンだ~とか、ガ○ダムだ~とか、載っているキャラクターに目を惹かれますけれど、
これらのキャラをこのバランスで配置している。
このキャラはこの角度なんだ?この大きさで配置するんだ???ということに意識を向けられる人は、どのくらいいるでしょうか?
これだけの質量のオブジェクトをバランス良く配置するということを、「やって」と言われてできるだろうか?などと考えてみたことはありますか?
※ポスターの画像、勝手に貼るのもアレなのでリンク先でご確認ください。

さて今日は、別に富野由悠季の世界展について話したいわけではないのです。(うっかり検索で来てしまった方いらっしゃったらごめんなさい。展示の感想もレポもゼロです)

イラストの構図のハナシ

イラストの構図について話したいと思い、導入に使わせていただきました。
そして、毎回「仕事絵」の話をしているのですが、今回は仕事絵じゃなくてオリジナル。自キャラを描きながらイラストの練習中の利用者さんとのやりとりをもとに、内容をアレンジしてお伝えしていきたいと思います。

ビルドでは利用者さんに、常時お仕事を想定したイラスト制作をしていただいているのですが、「体調を整える」「生活リズムを整える」といった目標で作業に取りくんでいる方もいらっしゃいます。
将来的な目標は「絵の仕事をしたい」という方が大半です。
そのため、今すぐ仕事を想定していないけれど、いつかは就職したい体調管理フェーズの利用者さんについては、仕事想定ではなくある程度自由に絵を描きながらイラストの練習をしていただいています。

今回は、ある日の「配置に悩んでいます」という相談に対して行われたアドバイスをドキュメントでお伝えします。

キャラクターのポーズや全体のバランスを考えていました

ある日の利用者さんからの報告でした。
自キャラの集合絵を描いているところです。普段の作業では、描いている途中で「なんか違う」となりやすいため、描き始める前に完成イメージを固めることが練習課題でした。
今回のイラストでは自キャラ紹介の集合絵で要素が多く、レイアウトを途中で変更することは難しいと事前に説明した上で、ラフ時点で構図をしっかり練って取り組むことを目標にしていました。

登場人物の紹介です。
テキトーシルエット1(グレー)は利用者さん
テキトーシルエット2(ブルー)がスタッフです。

グレーは利用者さん、ブルーはスタッフのシルエット


キャラがおおむね配置されたこの日。利用者さんから報告時に、このような相談がありました。

どんな感じで入れようか迷ってました。

報告で上がってきたラフはこんな感じ(画像自体はシルエットデザインを使用した架空のものです)

1案目。全体に均等にキャラが配置
利用者さんから提出されたラフ

10人のキャラクターが様々なポーズを取って、画面いっぱいに配置されています。

利用者さんは、ラフにキャラを描きながら画面を埋めていくやり方で、この日は右下に最後のキャラを配置したところでした。
ほぼ完成ですが、レイアウトについて悩んでいるようです。

スタッフからの提案1

キャラに高低差をつけたら?少し下げるとかですか?

言葉だけのやりとりでは伝わりづらいですよね。実際にレイアウトを変更して示してみました。

キャラクターの配置や大きさをバラバラにしました
指導員が提案したレイアウト案その1
助言:大きさにメリハリをつけましょう

キャラクターがセンターに集まりすぎているようで画面全体に躍動感が不足しています。
真ん中にキャラを集めているのには理由があれば別案を出すことを伝えたところ…

真ん中に主要キャラクターがいるので、 できるだけ真ん中に集めたいです。 どうしたらいいですか?

利用者さんは、主要キャラを真ん中に配置することで主要キャラであることを表現したかったようです。

スタッフからの提案2

シンメトリーはキープして、大きさのメリハリをつけるとか?
主要キャラはセンターに配置した状態でサブキャラを思いきりサイズ変えて配置
指導員が提案したレイアウト案その2

主要キャラを真ん中に配置した状態のまま、キャラの大きさを大胆に変更して配置した結果、レイアウトがドラマチックになりましたね。

その日の作業はここで終了。利用者さんには、上記2点の提案をもとにレイアウトを考えてみてもらうことになりました。

最終ラフ

やりとりを経て、利用者さんから上がってきた最終ラフは以下のようになりました。

ラフ最終案
最終ラフ

映画のポスターのような仕上がりが期待できるラフが完成しました。

ビフォーアフター

最初のラフと比較してみると変化がよくわかりますね。
イラストはツールと気持ちがあれば一人で完結できる遊びですけれども、このように他者の視点での助言を受けることで完成度を上げることができます。

利用者さんは、はじめ主要キャラを真ん中に配置することで主要なキャラクターであることを伝えようとしていました。
スタッフからの助言から、大きさのメリハリをつけることでもキャラの重要度を変えて伝えることができるという新たな視点を得ることができたと思います。

描いている途中で「なんか違うな?」となる

今回いちばん大事なことは、ラフ時点でもオブジェクトごとにレイヤーを分けておいたことです。
これは、今回のイラストのラフ作成に入る段階で最初に助言したことの一つでした。
仕事絵ならレイヤーを分けて変更可能なデータにしておくことが前提となりますが、自由に遊びで描くときには忘れがちなことかもしれません。
でも、描いている途中で「なんか違うな」と思うことはしばしばあります。
なんとなく嫌な気持ちになって、描くのをやめてしまったり全消ししたり…は、あるあるじゃないでしょうか。
そんなとき、レイヤーを分けておくことで「ここだけ変えよう」がやりやすくなります。
絵の上達のコツは、枚数を描くこと。そのためには途中でやめないことが重要です。
描き続けることで経験値が溜まり、描く前からのイメージも明確にしやすくなりますし、ラフ時点で考えられることがどんどん増えていきます。
結果、「頭の中にあったものと仕上がりのギャップ」はどんどん少なくなってイメージ通りの絵が描けるようになっていくはずです。

構図を考えて描いてみよう

今回のテーマはイラストの構図でした。
デザインでも、最初のラフを複数描いてレイアウトを検討しますが、イラストを描くときにもぜひラフ時点で構図を考えて描くことを意識してみてほしいと思います。
視線誘導や遠近感などなど、考えるヒントはたくさんあるので、質問はどんどんしてくださいね!
相談・質問されると、スタッフからほとんど無限にアイデアが湧いてきます笑。
表現の引き出しを増やしていきましょう。


今回は、仕事絵ではなく自由にイラストを描いている方とのやり取りをご紹介しました。
仕事絵は指定が多いので、自由に絵を描きながら自分で考え、表現力を高めていくことが必要です。
最終的には絵のクオリティも上がっていきますので、日ごろから意識してみてくださいね。

いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。