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言語発達障害と母国語以外でコミュニケーションすることの共通点のハナシ

こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
友達に借りた「ニューヨークで考え中」を読んでいたら出てきたエピソードを見て、これこれ!これなの!と思ったことを整理してみたいと思いました。

作者の近藤聡乃さんはニューヨーク在住のアーティストで、現地での暮らしをエッセイマンガにしていらっしゃるのですよね。書籍は1~3が販売されています。
その中で、「英語がペラペラになったかどうか」というエピソードがあって
電話だと理解が難しいという話が出てきたのですよ。
この話が、発達障害のある方の言語理解について秋田が理解しているイメージにすごく似ていたのでした。

内容そのものを転載するでもなく、うろ覚え+秋田の解釈を合わせた解説としてお送りいたします。

日常会話

金髪碧眼の男性と話す日本人男性

英語で行う普段の会話は、簡単な単語でやりとりすることが多いのであまり困らないそうです。
「テレビ面白いね(That's Interesting!) 」「このごはんおいしいね(Yummy!)」「あれちょうだい(please take that)」みたいな部分。
海外旅行でちょっと買い物する程度とかなら、なんとか疎通取れるのでイメージしやすいです。
発達障害等の影響で言語表現が苦手な方たちも、普段よく使うやりとりであればスムーズに会話ができることが多いですね。
一方で、たとえば英語で行う講演で、原稿を読み上げることは問題なくても、その後の質疑応答で固まってしまうことがあると描かれていました。
少し込み入った話になると、とっさに言葉が出てこないそうです。(私もそうです!)
これもまた、日ごろ接している皆さんが普段感じている苦労に似ていると思いました。日本語でコミュニケーション取っているけれど母国語じゃない感じなのか......。

電話(音声通話)

携帯電話で話ながら焦っている男性

同じ内容でも電話になると理解が難しいという説明がありました。
これも、わかる……っ。
発達障害の苦手の一つは電話対応ですよね。耳からのみで情報を受け取ることが難しいです。
皆さんも、母国語以外で電話で会話することをイメージしてみてください。静かな場所で、ゆっくり話してもらった上で相当集中しないと理解が難しいと思います。

ビデオ通話

リモートで金髪碧眼の男性と話す日本人男性

Skypeなど、ビデオ通話をすると理解度が上がるそうです。
表情や身振りなど、音声以外の情報が入ってくるからですね。
普段、動画等で漫然と英語で話している姿を見ているときはあまり意識していないですけれど……、類推する材料が増えるのでしょうね。

何かをしながらの会話

台所のコンロを掃除する女性

エッセイでは、料理をしながら「それ何の野菜?」「どうやって食べるの?」と英語で聞かれている場面がありました。その場ではパッと言葉がでてこなくて、食事の場面でさっき聞かれたことについて饒舌に話している描写でした。
これも、納得です。
何かをしながら、母国語ではない言葉で思考して喋るってすごく難しいです。
たぶん、言語表現が苦手な発達障害の皆さんも同じく苦労しているんじゃないかな?と思いました。ちなみに、食べながら喋るのも難しいですよね!

字幕があるとわかりやすい

英語字幕で動画を見ているイメージ画

家族で映画を見ているようなシーンで、「私は字幕が無いと内容を理解するのが難しい」と描いていました。
わかる……。英語+英語字幕で海外ドラマを見ることで英語の勉強をする方法もありますけれど、音声情報より文字情報のほうがはるかに意味がわかりやすいですよね。
つい先日、とある洋画で公開時にカットされたシーンがYouTubeで公開されているものを見ました。英語字幕(YouTubeのデフォルト機能)が無いと意味を理解するのが難しかったです。
テレビ番組を見る時に字幕onにしている当事者の方も多いです。

オマケ:母国語じゃないと頭に残りづらくないですか?

ノートの写真

これは単純に秋田の経験のみです。英語のリスニングは一応それなりにできるほうなのですが、頭の中で瞬時に翻訳ができないせいか長文だと「結局何言ってたっけ?」となりがちです。文章でも覚えておくことが難しく感じます。意味を理解して記憶することに時間がかかるからだと思います。
そしてこれは、普段接している当事者の皆さんとの会話でもよく起きていることだと思います。
早口でたくさん喋ったら「え、えと、なんでしたっけ?もう一度言ってください」ってなるし
難しい文章がたくさん書かれていたら理解が難しくて思考停止してしまいますよね。


この、母国語ではない言語を使ってコミュニケーションしている感じが、言語表現が苦手な発達障害当事者の方、聴覚情報処理障害をお持ちの皆さんの苦労に似ているなという感覚がずっとあったのでした。

基本的には、コミュニケーションそのものの苦手(経験不足)や、耳から情報を受け取ることの苦手からくる語彙力の少なさなどが理由だと思います。

なんか言われた。
言われたことはなんとなく意味がわかる。
それに対して、なんて答えようかな。
この言い方で合ってるのかな。こういう場合、どう言うのが適切だろう。などなど、考えないといけないことがたくさんあります。
とっさに言葉が出てこないときに、ゆっくり待っていただいたり、回答しやすい選択肢を用意していただけると助かります。
ちょっとずつ経験を増やしていくことで慣れていけることもたくさんあるので、ゆっくり付き合ってくださいね。


チューリップに囲まれたチューリップヘアのメガネの女性
チューリップ

今日のヘッダーイラストは、春らしいチューリップのイラスト(作:サトさん|仮名)です。
札幌も一気に雪解けが進み、道端に花が咲き始めました。
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