生物がコンピューターを凌駕する!?【粘菌コンピューター】
みなさんお久しぶりです!バグプログラミングです!前回の投稿からおよそ2週間経過しました。本当に申し訳ありません。勉強と学校と他の作業が積み重なり、こちらの投稿が疎かになっておりました。もっと作業効率化を見直すべきでしたね。反省します・・・。
そして約2週間ぶりの投稿になりますが、今回はコンピューターとバイオに関わる研究についてお話ししようと思います。テーマは「粘菌コンピュータ」。いきなり言われてピンと来ない方がほとんどかと思われます。これは一言で言うと粘菌の生態を模倣した仕組みのコンピュータのこと。すごい点は、コンピュータが最も苦手とする「条件が不確定で、常に変動する」計算を短時間で計算できること!そもそも粘菌とは?コンピュータが苦手な計算とは?そこのところを1つ1つ説明していこうと思います。
まずは「粘菌とはなんぞや?」についてです。粘菌とは「決まった形を取らない菌類の総称」のこと。アメーバといえば分かり易いでしょうか?
粘菌は森林の土壌や木の表面に生息しています。これも立派な生物です。脳はなく、何らかの刺激(光・振動・匂い成分)に反応するだけです。しかし、この粘菌はなぜか学習機能を持っています。例えば、光の刺激を与え続けるとその光を回避します。ランダムに当て続けると、当てた箇所の傾向を学習して、照射した頻度が多い箇所のみを回避するようになります。つまり、刻々と変化する刺激の方向を粘菌が学習し、最も刺激リスクが少ないルートやパターンを粘菌自身が効率よく選べることができるのです。
さらに匂い成分にも敏感です。迷路の中央(ゴール)に餌を置くと、最短ルートで餌まで一発で伸長することができます。
引用元:https://gigazine.net/news/20161226-slime-molds/
そしてこの粘菌の性質をコンピュータの電子回路に取り入れようとする研究が盛んに行われいるのをご存知でしょうか?これこそが粘菌コンピュータです。これを「アメーバ計算機」と呼びます。具体的には、「巡回セールスマン問題」を解く実験に用いられました。
「巡回セールスマン問題」とは、セールスマンがいくつかの都市を1度ずつ訪問して出発点に戻ってくるときに、移動距離が最短になる経路を求める問題です。例えばA、B、C、Dの4つの都市を設定します。粘菌がD1・C2・B3・A4の道に足を伸ばしきったら「D→C→B→A」の順番が答えというわけです。巡回セールスマン問題は、理論的には都市数が増えると経路の候補が爆発的に増加していきます(10都市では約18万通り、15都市では約400億通り)が、電子アメーバはすべての経路候補を参照しなくても短い経路を見つけ出すことが可能です。つまり、「複数の条件を一度に満たす」問題が得意なのです。コンピュータの場合、計算量が増えすぎて解決困難になりパンクするため、最も苦手な領域です。
引用元:https://www.thinktheearth.net/think/2017/08/004mouldy/
実際にこちらが8都市を最短で巡回できるルートを粘菌が計算したものです。順番は「C→H→D→E→G→F→A→B→C」です。これを利用して、物流の配送スケジューリングや移動費の削減、職場における勤務シフト作成など、社会のさまざまな課題を解決できると言われています。また、正確な答を一つしか出せない現在のコンピュータとは違い、一つの問題に複数の答えを出せるような「柔軟な発想」のできるコンピュータの開発に活かせるのではと言う期待の声も上がっています。まさに、よりリアルなAIです。
とはいえ、未だ発展途上の研究なので(粘菌なので伸長するスピードがやや遅いのが弱点)、実用化はもう少し先の話になりそうです。しかし今後、IoTデバイスなどにも組み込み可能な小型で省電力の組み合わせ最適化チップとして応用が期待されています。