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ベトナムシルバー/Ornithoctoninae sp.Vietnam Silverの飼育方法【タランチュラ】

ベトナムシルバー/Ornithoctoninae sp.Vietnam Silver
成体♀

【種紹介】

今回紹介するのはベトナムシルバー。地中性のアースタイガーです。この種はOrnithoctoninae(オルニソクトニナエ)亜科に含まれ、まだ正式な学名が付いていないため、Ornithoctoninae sp. Vietnam Silverと表記されます。

本種の含まれるOrnithoctoninae 亜科は美麗種が多いことで知られており、Ornithoctoninae sp . hon-sejなどは聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

本種の最大の魅力は、なんと言っても名前どおりのシルバーボディ。磨いた鉛のような独特の金属光沢があり、唯一無二の美しさを感じさせます。また、地の銀色を飾るように、全身にゴージャスな金色の体毛が生えます。この金と銀のコントラストも、本種の大きな魅力です。光の当たり方によっては銀と青が混ざったような色に見えることもあり、何時間でも飽きずに眺めることができます。

幼体の頃は体毛の金が目立ちますが、成長に伴い徐々に体毛の薄い部位が増え、LS3cm程度からは銀色の成体色が出てきます。幼体から飼育する場合には、是非この体色の変化にも注目してみてください。

また、いかにもアースタイガーらしい、私好みなスリムな体型も推しポイントです。参考画像の成体はたくさん餌を食べてころころしていますが…。でもこれはこれで、非常に可愛らしいです。

飼育に関しては、やや蒸れやガスに弱い印象があり、少々難しめです。さらに餌食いも良い方ではなく、土を厚く敷けば潜りがちになります。それに加えて値段も15,000円前後と、タランチュラとしては高価な部類です。

上記のとおり飼育のハードルはやや高めですが、この蜘蛛の美しさは、それ以上の満足感を与えてくれます。少しでも興味が湧いた方は、是非飼育してみてください。絶対に後悔はしないはずです。安定して流通する種ではないため、見かけたら逃さず手に入れましょう。

ベトナムシルバー/Ornithoctoninae sp.Vietnam Silver
幼体


【飼育方法】

[容器]

LS1〜3cm
小さめのプリンカップ

LS3〜5cm
大きめのプリンカップ

LS5cm〜
プラケースなど市販の容器

※蒸れやガスに弱い面があるため、可能な限りLSの5倍程度の容器を用いるようにしてください。

[温度]

許容温度は21〜28℃。現地の環境的にはやや低温を好みます。成長速度を上げたい場合は、28℃程度で管理してあげるとよいでしょう。

[湿度]

60〜80%を維持します。水分量の目安は、床材を固く握った際に「固まるけれども水が染み出さない」程度です。

[床材]

ヤシガラなどの、タランチュラ飼育における一般的な土を用いるとよいでしょう。私はヤシガラをメインに使用しています。

ガスに弱い種類のため、幼体は月に1回、脱皮後のタイミングで交換するとよいでしょう。成体の場合は3ヶ月に1回程度、交換してください。

[最大サイズ]

雌でLS16cm程度、雄で10cm程度です。

[成長速度]

雌なら2〜3年、雄なら1〜2年で性成熟します。

[給餌(パワーフィーディング)]

パワーフィーディングを推奨しています。餌が常に容器内にあり、タランチュラがいつでも食事できる状態に保ちます。ただし、それほど餌食いの良い種ではないため、3日に1匹食べる程度に落ち着くはずです。

餌のサイズは、LS3cm程度のベビーの場合、レッドローチやコオロギの1〜2cmサイズを与えます。体長と比べて大きな餌には、襲い掛からない印象です。

[注意点]

・成長を早めたい場合は、幼体のうちはベビーが食べられるだけ餌を与えましょう。

・アースタイガーは、バードイーターやバブーンと比べて、蒸れやガス溜まりに弱い面があります。突然死を避けるため、通気の良いケースで飼育しましょう。

・足がかなり速いため、脱走に注意しましょう。

威嚇をするベトナムシルバーの幼体

【生息環境】

[分布]

ベトナムの北東部の高山地域に生息しています。広範囲に分布するのではなく、局所的にいくつかの地域に分かれて生息しているようです。

[温度]

生息地はベトナムのなかでも比較的涼しい地域です。現地の月ごとの平均気温は、最も暑い7月で約27℃、最も寒い1月で約12℃です。

[餌]

コオロギ、ゴキブリ、バッタなどを中心に食べています。また、鳥の雛を襲うことも、稀にあるそうです。


【繁殖方法】

この種の繁殖に成功したEUのブリーダーによると、クーリングは必須とのことです。現地の気候に合わせる場合は、まず15℃程度の環境に3か月間置き、その後に交接させます。この方法で多数、産卵させることに成功しているそうです。

文:AZUMA(Bug Bug bugs代表)
校正:KOBAYASHI
写真:BLOOM

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