🍇スタッフ不定期コラム🍇第2回バグ展裏話＆ファイナリスト紹介

2024年10月11日 17:22

BUGのスタッフたちが仕事をするなかで気になった本や、日頃思っていること、仲間がつくった展覧会のピアレビューやレポートなど、つらつらと書き連ねる不定期連載シリーズ。今回は片野可那恵さんの執筆した第2回バグ展裏話＆ファイナリスト紹介です！

2024年9月25日（水）、BUGにて9つ目となる展覧会「第2回BUG Art Award ファイナリスト展」が開催となりました。展覧会の開催に向けては、私が以前noteに投稿したスタッフ不定期コラム”第2回バグ展ファイナリスト決定から展覧会開催まで“をお読みいただければと思いますが、今回は、バグ展準備の裏側をもう少し深掘りした形でお届けします。

ファイナリスト決定後すぐに行われるファイナリスト同士での展示位置決めの話し合いは、バグ展の準備には欠かせないイベントです。単なるグループ展ではなく、審査の一環であるアワードのファイナリスト展であれば、主催者であるBUGが展示位置を決定して割り振るのが、通常のやり方かもしれません。ですが、この先ファイナリストたちが国内外でグループ展に参加する際に、自分の希望の展示位置をプレゼンする機会も訪れるはず。そういった機会でこのアワードでの経験を活かして欲しいという想いを込めて、BUG Art Awardでは、できるだけファイナリスト同士の話し合いで展示の位置を決めていくような場を設定しています。

この日に初めて顔を合わせ、お互いの作品の内容を聞いた6名が、全員が納得する形で位置を決定するのは、少しハードルが高いかもしれない……という不安も若干抱いていました。そのため、事務局でもいくつかレイアウト案を準備しています。6名の展示のサイズ感や素材、特徴（音の有無、暗所希望、壁面利用、床面利用など）を踏まえて検討し、バランスの良い配置をとった案、本人の希望とは異なる場所でも作品の良さが際立つと感じられる案、6名それぞれの希望通りのレイアウトなど、いくつかの案を持って、話し合いに臨みました。実際には、ファイナリストたちは初めから会場全体の見え方を気にして、お互いの作品の幅や高さをヒアリングし、自身の作品の希望場所を提案するというよりも、「〇〇さんはここが一番良いと思う。」という会話の中で6名の展示位置が決まっていきました。

9月22日（日）に行われた設営に向けては、限られた時間の中で展示を完成させるための設営スケジュールを事前に考えてもらっていました。ですが、当日設営が始まると、一斉に各々が設営作業に取り掛かると思っていたスタッフの予想に反して、ほぼ全員がそれぞれの展示位置を気にして、なかなか設営が始まりません。事前に決めていた展示範囲の中で作品を組み立てるだけではなく、空間全体の作品のあり方を相談しながら互いの作品のレイアウトや見え方についてアドバイスをし、お昼前に漸く全員の作品のレイアウトが固まりました。午後からは、大型の作品を全員で運んだり、作品のカットを手伝ったりと、終始協力しながら進んだ設営となりました。お互いをライバルと思いながらも、それぞれの作品をリスペクトし、グループ展としてより良いものにしようという気概が感じられました。

最後に、今回のファイナリスト6名を、運営スタッフの目線からご紹介します。
いつも元気で明るくムードメーカー的な存在の新井毬子さん。ファイナリストからも“お姉ちゃんのよう“と慕われていました。設営時にはそれぞれ他の作品の配置について提案をしながらも、アワードという性質を踏まえて馴れ合いになりすぎないようなバランス感を持って、5名をまとめてくれていた印象がありました。
岩瀬海さんは、二次審査の時からとても気遣い屋で、審査に集まった緊張している仲間たちに「みなさんどこから来たんですか？」と一番に声をかけていた姿が印象的でした。ファイナリスト同士のグループチャットでは、自宅で採れた野菜の写真を共有してくれたりと、展示の準備期間も積極的にコミュニケーションを取っていました。
今回初めて展示という形で自身の作品を発表することになった志村翔太さんは、インストーラーへの相談やシミュレーションの機会などを積極的に使い、前向きに、誰よりもスピード感を持って展示の準備を進めていました。いつも下駄を履いているスタイルが特徴のアーティストです。
城間雄一さんは、本人曰く“とても人見知りだけどお話し好き“な方。ご自身の作品の話について質問すると、とても熱意を持ってお話しをしてくれます。二次審査の時や位置決めの話し合い、トークイベントの際にもいつも絵の具を持ち歩いていて、緊張した時などには匂いを嗅いで落ち着いているそう。
宮林妃奈子さんは、バグ展の準備中も他所での展示の準備などとても忙しい中で、ひとつひとつの機会をとても大切に、楽しんで、自身の制作に臨んでいるように感じました。他のファイナリストにも自分からアドバイスをもらいに行ったりと、いつも笑顔で積極的にコミュニケーションを取っていた姿が印象的です。
展示空間を良くしていこう、とお互いの作品がより良く見える方法を一番に考えていたのが矢野憩啓さん。設営でも、それぞれの作品が立ち上がる様子を見ながら自身の作品の配置を微調整したり、各ファイナリストの作品について色々と質問をしたりと、自身の作品の見え方と、全体の見え方を最後まで模索して取り組んでいました。

そんな個性豊かなファイナリストが揃った第2回バグ展は、10月20日（日）までの開催です。お見逃しのないよう、ぜひBUGへ足をお運びください。ご来場をお待ちしています！

このレポートを執筆したのは・・・

片野可那恵（かたのかなえ）
北海道生。2019年、リクルートアートセンターに配属し、クリエイションギャラリーG8、ガーディアン・ガーデンでの展覧会運営やイベント企画、バックヤード管理業務等を担う。アートセンターBUGでの主な仕事には「BUG Art Award ファイナリスト展」（通称：バグ展）の運営など。3匹のチワワとほのぼの暮らしています🐶