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🪲スタッフ䞍定期コラム🪲展芧䌚レビュヌ「遠距離珟圚 Universal / Remote」

BUGのスタッフたちが仕事をするなかで気になった本や、日頃思っおいるこず、仲間が぀くった展芧䌚のピアレビュヌやレポヌトなど、぀ら぀らず曞き連ねる䞍定期連茉シリヌズ。初回は片野可那恵さんの執筆した展芧䌚レビュヌ「遠距離珟圚 Universal / Remote」です


囜立新矎術通で2024幎3月6日氎〜6月3日月たで「遠距離珟圚 Universal / Remote」が開催された。本展芧䌚は、日に日に忘华の圌方ぞ遠ざかる3幎間のパンデミックの時期を珟代矎術を通しお振り返り、「Pan- の芏暡で拡倧し続ける瀟䌚」、「リモヌト化する個人」ずいう2぀のテヌマで構成されおいる。

参加アヌティストは井田倧介、埐冰シュ・ビン、トレノァヌ・パグレン、ヒト・シュタむ゚ルゞョルゞ・ガゎ・ガゎシツェミロス・トラキロノィチ、地䞻麻衣子、ティナ・゚ングホフ、チャ・ゞェミン、゚ノァン・ロス、朚浊奈接子の名ず組。

ここでは、私が特に印象に残った展瀺䜜品の䞀郚を玹介したい。

「遠距離珟圚 Universal / Remote」 《誰が為に鐘は鳎る》 展瀺颚景

入堎しお最初に目に入るのは井田倧介の䜜品。井田は、2021幎に制䜜された3぀の映像䜜品を展瀺。䌚堎の展瀺壁面に倧きくプロゞェクションされた《誰が為に鐘は鳎る》(2021)は、玙飛行機がガスバヌナヌで暖められた空気䞊を飛び続ける䜜品である。新型コロナず共に生きおいくこずに慣れ぀぀ある今の暮らしを思い浮かべながら、安定ずも䞍安定ずも芋える映像の様子をい぀たでも眺めおしたう。


「遠距離珟圚 Universal / Remote」 《ずんがの県》 展瀺颚景

埐冰の初の映像䜜品《ずんがの県》2017は、むンタヌネット䞊に公開されおいる監芖カメラの映像玄11,000時間分を繋ぎ合わせお、81分間の男女のラブストヌリヌに線集した䜜品になっおいる。個人や民間䌁業が管理しおいる監芖カメラの映像を、䞀個人が自由にアクセスしお線集し、別の物語に仕䞊げたずいう制䜜手法は、私たちが意図しおいない様々な堎所やシステムで監芖され続け、時には手を加えられる可胜性も秘めおいるずいう状況を瀺唆しおいるように感じた。


「遠距離珟圚 Universal / Remote」 〈海底ケヌブル〉シリヌズ 展瀺颚景

トレノァヌ・パグレンは、倧陞間を海底で぀なぐ通信ケヌブルの䞊陞地点の颚景を撮圱した〈䞊陞地点〉シリヌズ (2014-2015)、䜜家自身が海に朜り、海底に敷蚭されおいるケヌブルを撮圱した〈海底ケヌブル〉シリヌズ (2015-2016)、パグレンが蚭蚈したAI゚ンゞンが生成したむメヌゞによる〈幻芚〉シリヌズ (2017-2018)の3シリヌズを展開しおいる。〈䞊陞地点〉ず〈海底ケヌブル〉は、普段は意識せずに利甚しおいるむンタヌネットを支える回線やケヌブルの存圚が、䞀芋のどかな海岞や氎䞭の颚景の䞭であらわになる。この䜜品も埐冰の䜜品同様、監芖技術やむンタヌネットずいったむンフラに支配されおいる珟代を照らし出しおいるように芋えた。


「遠距離珟圚 Universal / Remote」 〈心圓たりあるご芪族ぞ〉シリヌズ 展瀺颚景

日本で初めおの展瀺ずなるデンマヌクのアヌティスト、ティナ・゚ングホフは、〈心圓たりあるご芪族ぞ〉ずいうシリヌズ (2004)の、孀独死した人々の自宅を撮圱した写真䜜品を27点展瀺しおいる。北欧らしい色鮮やかな壁玙や家具の眮かれた郚屋の䞭に脱ぎ捚おた掋服が散らばっおいたり、空き瓶がテヌブルに眮かれおいたりする写真は、䞀芋䜕の倉哲もない郚屋のように芋える。しかし、その䞭に残された血痕のような染みや䞀郚䞍自然に撀去された家具に気付いた時にそこに䜏んでいた人々の最期の姿が浮かんでくるようで、ひず぀ひず぀の䜜品ずじっず察峙しおしたった。


「遠距離珟圚 Universal / Remote」 《あなたが生たれおから》 展瀺颚景

゚ノァン・ロスの《あなたが生たれおから》(2023)は、圌の次女が誕生した2016幎6月以降の画像のキャッシュを無䜜為に床から壁面たで敷き詰めたものだ。自身が芋た蚘憶のない情報たでもがコンピュヌタに保存され蓄積されおいる様は、私たちの生掻がいかに情報に溢れおいるのかを考えさせられる。自宅に居ながら党䞖界の情報を簡単に埗るこずができるが、逆に埗る぀もりのなかった情報たでもがスマホやPCに保存されおいるこずもあるのだず少し恐ろしくなる。

タむトル「遠距離珟圚 Universal / Remote」は、垞に遠くあり続ける珟圚を忘れないために造語された。本来は䞇胜リモコンを意味するUniversal Remoteを、スラッシュで分断するこずで、その「䞇胜性」にくさびを打ち、ナニバヌサル䞖界ずリモヌト遠隔、非察面を露呈させる。コロナ犍を経お私たちが認識した「遠さ」の感芚、たた、今なお遠くにそれぞれが生きおいるこずを認識するのは重芁なのではないかずいう思いが、この題名に蟌められおいる。

囜立新矎術通りェブサむトより

䞻催者のりェブサむトにも曞かれおいるずおり、コロナ犍以降、䞖界的に゜ヌシャルディスタンスの培底や移動の制限などによっお生掻においお物理的な距離を感じるこずずなった䞀方、リモヌトによる䌚議や授業、飲み䌚など遠隔・非察面で物事を進められる日垞がやっおきお、本来存圚しおいる遠さを感じるこずなく人々ずコミュニケヌションを取るこずが圓たり前になっおいる。
本展出品䜜品の倚くは、パンデミックが起こる前に制䜜されたものである。しかし、どんな情報も距離を介さず手に入れられ、奜きな時にリモヌトで人ず䌚える時代でありながら、物理的には孀独に過ごすこずを匷いられるこずになったコロナ犍の生掻を䜓隓した今の時代だからこそ、䜜品を通しお「遠さ」や「距離」に぀いお考えるこずのできる展芧䌚だったず感じた。


このコラムを執筆したのは・・・・

片野可那恵かたの かなえ
1989幎北海道生。2019幎、リクルヌトアヌトセンタヌに配属し、クリ゚むションギャラリヌG8、ガヌディアン・ガヌデンでの展芧䌚運営やむベント䌁画、バックダヌド管理業務等を担う。アヌトセンタヌBUGでの䞻な仕事には「BUG Art Award ファむナリスト展」通称バグ展の運営など。3匹のチワワずほのがの暮らしおいたす🐶