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ブロック化が加速する新世界で恩恵を受ける4カ国

バフェット太郎です。

習近平新指導部の発足を受けて、中国から投資マネーが逃げ出しています。これは独裁色が一層強まったことで、権力の暴走が懸念されているからです。

共産党大会が閉幕し、習近平総書記は新指導部の陣容を発表しました。

共産党指導部は序列1位の「総書記(1名)」、2位~7位の「政治局常務委員(6名)」、8位~24位の「政治局委員(17名)」の計24名で構成されています。

序列2位の首相には、ゼロコロナ政策による上海のロックダウンを主導し、上海経済を破壊した李強氏が就任しました。

最高指導部の「政治局常務委員」の7人中6人が習派とされていて、唯一、王滬寧(おう・こねい)氏だけが無派閥です。

王滬寧氏は、江沢民、胡錦涛、習近平の三人に仕えたことで「三大帝師」と呼ばれていて、習近平政権では広域経済圏構想「一体一路」を主導しました。

また、王氏の思想はマルクス主義に傾倒しています。マルクス主義を簡単に説明すると「資本家が独占する資本を、社会の共有財産とし、資本を拡大する賃金労働を廃止し、協同、協力によって運営する社会を目指す」というものです。

そのため、習氏の掲げる「共同富裕」は、王氏の思想が大きく影響していると思います。

また、政治局委員の17人中13人は習派で、残りの4人は無派閥とされていますが、彼らもみな習氏を支持しており、礼賛する論文を寄稿するなどしていますから、実質、新指導部24人中24人が習派だと言えます。

このように、習近平新指導部の独裁色が強まったということは、「ゼロコロナ政策」や「ハイテク企業への罰則強化」など、経済的合理性に欠ける判断が繰り返されることへの懸念だけではなく、「台湾侵攻」の可能性も高まったと言えます。

習近平新指導部の陣容を受けて、「iシェアーズ・MSCI・中国大型株ETF(FXI)」は10%安、アリババ(BABA)は12.5%安、JDドットコム(JD)13.0%安、バイドゥ(BIDU)12.6%安と軒並み急落しました。

これは市場参加者が習近平に「NO」を突き付けたことを意味します。

中国経済終わりの始まりとサプライチェーンの再構築

さて、中国経済はこれまで不動産投資主導の成長モデルに頼ってきましたが、不動産バブル崩壊への懸念が強まっていることから、新たな成長モデルに舵を切る必要があります。

しかし、中国当局は新たな成長産業になり得るハイテク企業への締め付けを強化しているほか、米国の半導体輸出規制の強化を受けていることを考えると、成長モデルの転換は失敗に終わる可能性が高いです。

たとえば、バイデン政権はAI(人工知能)やスーパーコンピューターに必要な特定の先端半導体や半導体製造装置を中国に輸出する場合、商務省の許可を取得することが義務付けられたわけですが、これは事実上の輸出禁止を意味します。

この輸出規制によって、中国のハイテク産業の成長は世界から遅れをとることはほぼ確実ですから、一夜にして衰退するとは言えないまでも、ゆっくりと着実に衰退していくことが予想されます。

そしてそれは同時に、世界がサプライチェーンを再構築に向けて新たに動き出すことを意味します。

つまり、世界は「脱チャイナ」を加速させて、グローバル化から逆行するようにブロック化に舵を切るわけですから、「第二の中国」に投資マネーが流入する可能性が高いです。

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