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バリュー投資の最重要指標ROICとは?

バリュー投資に必要不可欠なROICを学べる本を紹介します。


これから益々重要性を増す経営指標について、理論的背景を含めてわかりやすく解説👇

ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的対話 (日本経済新聞出版)



ROIC (Return On Invested Capital)は投下資本に対する利益率を示す経営指標であり、ROAやROEと同様に経営における収益性分析に利用されます。

近年ソニーやオムロンが採用し、社内管理のみならず社外に向けた情報発信にも活用しており、その説明力の高さ・有用性が認識されつつある一方、世間的な知名度はまだ高くありません。

そんなROICについて、本書は理論的な背景や他の指標との関係性、実務上の注意点など幅広いテーマを論理的かつわかりやすく解説してくれています。

本書で繰り返し述べられていることですが、ROICは別に唯一無二の経営指標ではなく、企業の成長ステージや業界特性によってその効用は変わりますし、営業利益率やネットD/Eレシオなど他の様々な指標と組み合わせて利用されるべきものです。

ただ、それでも本書がこれだけROICの重要性を声高に叫んでいるのは、ROICがその有用性・重要性に比してあまりに軽んじられている、別の言い方をするとROICを取り入れることで改善が見込める日本企業があまりに多いからです。

では、ROICが経営指標として優れている点はと何か?それは次の3つに集約されるでしょう。

(1)営業利益率などフロー(期間損益)に着目した経営指標と違い、ROAやROEと同様にストック(資本)に対する効率性であるため、資本コストとの比較が可能。また、それにより株主との建設的な会話が可能。

(2)事業自体の資本効率性に着目しているため、遊休資産やレバレッジを除外して純粋に事業について評価が可能。

(3)ROEと違いセグメント別に分解可能。

つまり、株主目線で企業全体の資本効率性しか議論できないROEや、遊休資産などのノイズが入りやすいROAと違い、ROICを使えば個別事業の資本効率性について突っ込んだ議論ができるのです。

これまでの日本企業は営業利益率や利益成長率といったフローの経営指標に重きを置いていましたが、社会が成熟し、成長から効率性へと市場の着目点が変わる中で、経営指標も同様に資本効率性を重視したものに変わるべきです。

ROEは既に市民権を得たと言っても過言ではないでしょうが、一歩踏み込んだ議論をする時にはROICのほうが有用性が高いと言えるでしょう。

従業員にも経営者の目線が必要とされる時代、あるいは株式を含む資産運用の重要性が増す時代、「経営とは何か」「株主とは何か」を考えるのに最適な一冊だと思います。

ただし、本書にはROAやROE、DCF、EVAといった言葉が当たり前のように出てくるので、入門書というよりは、財務諸表の読み方・分析の仕方をある程度知っている人向けでしょう。

ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的対話 (日本経済新聞出版)

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