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ラ米カリブはパレスチナと固く連帯する(3)――ラ米・カリブ全域で

ラ米・カリブの大半の国はイスラエルのガザ虐殺を非難
 本シリーズ「ラ米カリブはパレスチナと固く連帯する」の(1)でコロンビアを、(2)でニカラグアをとりあげてきましたが、もちろんパレスチナ連帯・イスラエル非難はこの2か国だけではありません。昨年12月12日、国連総会はガザの停戦を決議しました。ラ米・カリブでは、グアテマラとパラグアイだけが「反対」に票を投じて米国とイスラエルに加わり、ウルグアイ、アルゼンチン、パナマは棄権しましたが、それ以外は、決議案を支持する153カ国という世界の圧倒的多数の側に立ちました。ラ米カリブは33ヵ国ですから28ヵ国が賛成したことになります。
 また6月21日、キューバ政府は、ラ米・カリブのニカラグア、コロンビア、メキシコ、チリとともに、そしてリビア、モルディブ、エジプト、アイルランド、ベルギー、トルコ、スペインとともに、ガザでの大量虐殺を理由に南アフリカがイスラエルに対して国際司法裁判所(ICJ)に起こした訴訟に正式に参加することを発表しました。「私たちはパレスチナの人々に対する虐殺に終止符を打たなければならない」と。
 もう少し歴史をさかのぼれば、社会主義キューバは1973年に、社会主義指向ベネズエラは2009年に、イスラエルと断交しています。チリのガブリエル・ボリッチ大統領は、イスラエルによるガザのパレスチナ人への攻撃を糾弾しました。中東以外では、最も多くのパレスチナ人がチリに住んでいるのです。ベリーズとペルーも同様に、イスラエルの糾弾に加わりました。ボリビアはイスラエルと国交を断絶し、ホンジュラスとコロンビアは大使を召還しました。パナマを除けば、この地域のほぼすべての国がパレスチナを承認しています。ブラジル、コロンビア、ボリビア、チリ、ベネズエラは、ガザに援助を送っています。

人民抑圧のための軍をイスラエルが支援してきた歴史がある
 いったい、なぜなのでしょうか? そこには、日本を含む西側メディアが語らない、しかし現地の誰もが経験してきた歴史的事実があるのです。米国とイスラエルのやりたい放題、侵略と虐殺、略奪と支配、クーデターや政権転覆の、一言で言い尽くせない過酷で残忍な歴史があるのです。
 イスラエルは、何十年もの間ワシントンの手先として血塗られた「死の部隊」を訓練し、この地域全体に抑圧的な軍隊を供給してきました。コロンビアとニカラグアに加え、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、パナマ、パラグアイ、ペルー、ベネズエラの軍隊を訓練し、供給し、助言してきました。
 29年間続いたハイチのデュバリエ独裁とも同様の関係にあり、独裁者の弾圧勢力に武器を売っていました。パラグアイのストロエスナーによる35年間の独裁政権、チリのピノチェトによる17年間の独裁政権、アルゼンチンとブラジルの軍事独裁政権も同様です。また、イスラエルはグアテマラとエルサルバドルの「汚い戦争」において、武器の供給者であり、「死の部隊」の訓練者でもありました。ラ米・カリブがイスラエルのガザ虐殺を非難するのは当然なのです。
 ただ、その一方で、ラ米・カリブの反イスラエル・親パレスチナに逆行する動きも、少数ですが、根強くあることを忘れてはなりません。昨年12月にアルゼンチンの大統領に就任した極右のハビエル・ミレイはその典型です。彼は、アルゼンチンを米・イスラエルと結びつけ、最大の貿易相手国であるブラジルと中国から引き離すことを公約に掲げて選挙で勝利しました。その後初の海外旅行で、ミレイは米国に行き、超正統派ユダヤ教ラビの墓を巡礼し、カトリックからユダヤ教に改宗する意向を表明しています。

写真は、チリの首都サンティアゴのデモ隊
Chileans March in the Streets Demanding a Free Palestine - teleSUR English (2024年6月8日)

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