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技術士二次試験対策「合格率10%の勝負」独自テクニックの公開

割引あり

前回「先を見越した出願編」と題しまして、
申込書の作成についてお伝えしてきました。
そこから、かなりの期間を経てしまいましたが、今回は「合格率10%の勝負」と題しまして
技術士二次試験・筆記試験のテクニックについてご紹介したいと思います。

今回、筆記試験対策について書かしていただくまでに2年ほどの期間が空いてしまったのですが、実はその間、私自身が技術士の総監を受験するための勉強に充てていました。

前回でもお伝えした通り、自身にも最短・効果的な勉強法を試しまして・・・1回目はひと月ほどでなんとか受からないか?と思っていたのですが、流石に、選択問題(知識問題)があり、そちらで不合格になりました。(でもしっかり論文の方は点数が取れていました!)
ということで、これから紹介するテクニックは私自身で実行した、健在で使える技術であることは間違いありません。(不合格ながらに証明されました!)そして現在は2回目の受験を終え、合否を待っているところです。きっと皆さまにも有用な技術として技術士受験に使えると思います。


5.筆記試験対策

この章では技術士二次試験のうち筆記試験の対策を記述します。
3章で難関資格に臨むために必要な心の持ちようや勉強方法について紹介しました。覚えられていますでしょうか?
3章に書いていることは、皆さまが行う今後数カ月の勉強を、いかに有効にできるかがかかっていますので忘れていた方は絶対に再度読み返してください。≪リンクはコチラ
これから筆記試験の準備に臨むわけですが、筆記試験がどれほど難しいものなのかをイメージしておく必要があると思います。
(不用意に脅すわけではありません)

技術士二次試験の最終合格者は部門ごとに異なりはするものの、
おおよそ例年10%程度となっています。
最終合格となる口頭試験は筆記試験合格者のうち9割程度が合格しています。
よって、筆記試験の結果がほぼ技術士二次試験の結果と言えるのです。
(口頭試験も明らかな準備不足や、言ってはいけないNGワードを発する方、筆記試験で見極められなかった非適任者に対しての判断は行われています)この高い難易度を誇る筆記試験が技術士という資格を権威あるものとしている所以であります。

さて、そんなわかりきったことを伝えるために私はこの資料を作ったのではありません!

むやみやたらに勉強時間を確保し、勉強していていも世間一般的な合格率でいう大半(9割の不合格)に飲み込まれます。
私は、受験初年に、たった4カ月・1日0.5~1時間程度の勉強時間で合格を勝ち得ました。

後から考えると自分の勉強方法のここがハマっていた。
という部分を大量に見つけることができました。
まずは、
『難関資格という心のハードル』
『膨大な時間が必要』
『本当に私が合格できるのか・・・』という無駄な思い込みを捨ててください。
心配しなくても「明確なビジョン」を持って「戦略的な勉強」をすれば合格できます。
ただ真面目に、ひたむきに知識だけを得る勉強をしても受からないのが技術士です。

5-0 過去問の傾向を掴もう

とても大事な項目であるに関わらず、前回掲載した記事の目次で抜けていたので、5-0章として追加させていただきます。
ここで全ての部門・科目を書くことはできませんので、ぜひご自身の部門・科目の過去問を準備してください。
私は私が合格した部門・科目である
<部門:建設部門>
<科目:施工計画、施工設備及び積算>
にてご説明させていただきます。

まずは手始めに4年分(2019年~2022年)を集めてみます。
そして出題傾向をジャンルごとに分けてみます。

同じような表がsukiyaki塾様の資料にも記載されておりますし、たいていの参考書には記載されていますのでご自身で調べてみても良いですし、色々な参考書を見比べていただければと思います。

施工計画、施工設備及び積算は問題ⅠとⅢに大きな違いがないので、勉強の範囲が狭くて済むというメリットがあります。
(その点、受験者・ライバルが多いという問題もありますが)

話を戻しまして、この表からわかるのは、無限にも思われる出題内容も、ジャンルでまとめると意外にそれほど種類がないということです。
これだけジャンルが絞られていれば、勉強する範囲を特定することも可能になります。
つまり、建設と名の付く本を片っ端から読んだり、最初から国土交通白書を読みあさり細やかな知識を得たり、何十年もの経験値が必要であったり…は不要で、どのような出題がされているかを理解してそれに対して知識を得ていく方がより効果的であるということがわかります。

【5-0章 過去問の傾向を掴もう のポイント】
★出題傾向をジャンル分けし、どんな問題が出るのかを理解した上で勉強しよう!

5-1 出題意図を掴もう

まずこの章に入る前に、しつこくて申し訳ありませんが
前回の内容、特に3-2章までをご確認いただいた上で読み進めてくださいね。3-2章までは無料範囲なので、まだお読みになられていない方はぜひ読んでみてください。≪リンクはコチラ

改めて重要な考えを整理しますと
技術士は文部科学省の認定資格である(2-1章)
・技術士とは『技術の高等応用能力』『豊富な実務経験』『高い技術者倫理』を有する者(2-2章)
技術士(を含む難関資格の)勉強法は過去問を集め、対策を検討することから(3-1章)
ここまでが非常に重要な部分になります。
本章ではこれらを改めて意識していただく内容になります。
技術士試験は文部科学省の認定資格であり、皆様の受験項目に関連性の高い、省庁が発行する『白書』があることは既にお伝えしました。

国土交通省HP:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004.htmlより

白書とは、「日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、
政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの(wikipediaより)」と記載されている通り、
現状の問題点・課題・解決方法が記載されているものです。

国土交通省HP:https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/pdf/np101100.pdf より

ここで、過去問を見たことがある方はピンとくる方も多いと思いますが、『問題点』『課題』『解決策』これらは技術士二次試験の筆記試験の問題文に記載されるものです。

つまり技術士二次試験の試験問題は問題文に対して、答えを『自身の考えを記載せよ!』ではなく、
このような場合には(ここが問題文)、どうするのが良いか『(白書に書いている解決策から適正なものを選んで)記載せよ!』が近い考えになります。

考えてみればそりゃそうですよね。
国として、優秀な国家公務員があらゆる過去の知見を踏まえて、
今後解決すべき課題に対しての方向性を示しているわけですから、
技術士試験中に
「え~っとえ~っと」と、
数時間考えて出てきた答えを求めているわけがありませんよね。

さて、白書がどれほど有用なものなのかについて書きましたが、
それ以上にお伝えしたいことが他にあります。
実は5-0章で紹介した出題傾向をジャンル分けした表の上行に生産性向上・担い手確保・災害防災…等のジャンルを分けておりますが、
実はこちら、白書の中でジャンル分けしている項目と同じなのです。

つまり、出題されている問題は全て白書内に記載されており、回答は白書を踏まえて記載すべきである。ということです。

【5-1章 出題意図を掴もう のポイント】
★出題内容は白書に記されているといっても過言ではない
★白書に書かれている国・行政としての取り組みを技術士論文では記載する必要がある

5-2 方眼用紙を見てみよう

技術士二次試験は2019年(令和1年)を機に、問題Ⅰが択一問題から論文となり、問題Ⅰ~Ⅲまで全てが方眼用紙を用いた論文記述問題になりました。
方眼用紙は24×25字の1枚600文字となっており、
問題Ⅰは答案用紙3枚 
問題Ⅱは答案用紙2枚 
問題Ⅲは答案用紙3枚 計8枚
つまり『8枚×600字=4800字』もの
大量の文字を書く必要があるのです!!!!

・・
・・・とは言いません。

技術士2次試験には後ほど詳しく説明しますが、技術士として求められるコンピテンシーが受験者に備わっているかを答案用紙からも見られています(と私は考えています)
コンピテンシーのうち一つに『コミュニケーション』というものがあります。

一般的には『コミュニケーション力がある・高い』とは、
『会話力が高い』ことを指すことが多いですが、
技術士でいうコミュニケーション力は
『業務遂行上、口頭や文章等の方法を通じて、関係者との間で明確かつ効果的な意思疎通を行うこと』
と記載されてます。

また別の観点から言いますと、
本技術試験は問題分に対して答案用紙〇枚を用いてまとめよ。と記載されていますが、
〇文字以内でとか、600字詰用紙〇枚で、、、
などのように文字を指定するような表現は一切されていません。
記載されているのはあくまで答案用紙の枚数になります。

これら2点を踏まえますと、
答案用紙〇枚で、関係者(今回でいう採点者)に明確かつ効果的な表現で意思疎通(回答)せよ。ということになります。

技術士試験を受ける殆どの方が、過去に技術論文や報文を見たことがあると思います。
それらは理解しやすいように、わかりやすく図表や写真などを用いて伝えるべき内容を記載しています。
我々技術者はそれらのフォーマットを見慣れています。
ということは(技術論文や報文と)同じように記載する方が見やすく・理解しやすくなります。

ですから相手方の気持ちになれば、ただ文字が連なっているより、標題があり、時に箇条書きがあり、必要に応じて図表があるものが最も理解しやすい形であると言えます。

それらを踏まえ、問題Ⅰを方眼用紙に記載するとどうなるのか考えてみましょう。

(例:2022年 令和4年 建設部門 問題Ⅰ-1 生産性向上について)
(1)DXを推進するための課題 ―➊
 ①~~~(抽出した課題1)  ―➋
  ~(課題1の内容)~
 ②~~~(抽出した課題2)  ―➌
  ~(課題2の内容)~
 ③~~~(抽出した課題3)  ―➍
  ~(課題3の内容)~
(2)最も重要な課題の解決策  ―➎
 ①~~~(解決策1)     ―➏
  ~(解決策1の内容)~
 ②~~~(解決策2)  ―❼
  ~(解決策2の内容)~
(3)波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策―➑
 ①波及効果       ―➒
 ②懸念事項への対応策  ―➓
(4)業務を遂行するに当たり必要な要点と留意点   ―⓫
 ①技術者倫理      ―⓬
 ②社会持続可能性    ―⓭
 ※この2項目はほぼお決まり文句です

黒文字は各1行ずつ用いて記載するので実は勝手に13行もの文字数分を何も考えずに、言い方を変えれば
他の受験者と全く同じことを記載する行・文字数として使用しなければならないのです。

方眼用紙が25行ですから3枚でも75行、そのうち13行を使うとすれば残り62行。
どれだけ文字を埋めても残り1488文字。
答案用紙が600字×3枚という響きに圧倒されがちですが、
実はそれほど文字数を書くことはできないのです。

大量の文字数を書くことを意識すると、文字はだらしなく、不要な記載までしてしまいがちです。
しかし限られた文字・範囲内で相手に伝えるためには端的に・わかりやすく伝える必要があります。
この認識を予め持っておくと、記載すべき内容をいかに吟味する必要があるかを理解することができます。
知識をより濃く・深く・端的に伝えれるように勉強に励みましょう!

【5-2 方眼用紙を見てみよう のポイント】
★方眼用紙は意外に書ける内容・文字数・範囲が少ない
★周りの受験者との差を生むためには端的でわかりやすく、濃い表現が必要

Apec-semi様の回答用紙をお借りしました。

5-3 使える時間を想定しよう

技術士二次試験対策本の多くは時間配分についての紹介されていることが多いのですがここでも簡単に説明します。

私はこれまで部門受験と総監受験をしてきましたが、600字詰め答案用紙は、比較的、文字を書くのが早い私でも最低25分程度かかります。つまり3枚であれば75分です。

問題Ⅰが2時間で問題Ⅱ・問題Ⅲが3時間30分であることから
問題Ⅰで120分-75分=45分、
問題Ⅱ・Ⅲで210分-125分=85分の余裕時間があります。

それぞれ問題ごとに15分ほどの誤字脱字を含めた見直し時間が必要なので
問題Ⅰでは30分、問題Ⅱ・Ⅲでは55分の余裕時間があることになります。
問題Ⅱ・Ⅲは2題なので、1題あたりは25~30分程度になりますね。

この時間でいざ回答用紙に何をどのように書いていくかを考えなければなりません。
この時間で行うことが次章5-4にてご説明する、骨子を作成する(何を書くのか考える)時間になります。

その中には問題文をしっかり読み解き理解する時間や、
答案用紙の記載バランス(どこでどれくらいのスペースを使用するのか)や
話の流れを熟考する時間、
もしくは書き直しに要する時間(使いたくない消しゴムを使う時間)まで
含まれます。

よって、骨子を作成する時間をいかに早くするか、そしていざ書き始めてからは手戻りしないようにするか、が重要になってきます。
どうしても問題文と回答用紙を目の前にすると早く書き出したくなる気持ちがあると思いますが、そこは焦ってはいけません。
しっかり頭の中が整理され、方針が定まらない中で進み続けると、ゴールを見失い、どこに進んでいるのかわからなくなります。

そして早くスタートしたはずが何度も行っては帰って、最終的にはゴールに到着できないか、想定外の遠いところに到着してしまいます。

受験室は40名ほどの受験生がいますが、
少なからず、試験開始と同時に文字を書きだす人がいます。

その人たちは必ずと言っていいと思いますが、合格は難しいでしょう。
そんなことにならないために骨子法が重要なのです。

【5-3 使える時間を想定しよう のポイント】
★何にどれだけ時間を使うか頭の中でイメージしておく。
★何を書くのか決める、最初の時間が最重要!

5-4 骨子法

これまでは技術士試験に臨むまでの意気込みや思想の話が主でしたが、ここからは具体的な勉強方法になります。

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