ベンジル保護基切り雀

あるところに相対的に優しい天然物化学者と欲張りで意地悪な構造有機化学者がいた。

天然物化学者が学会へ行くと、1molのアミンが怪我をしていた。さっそくラボに連れて帰ってベンジル保護をしてあげ、おちょんという名前もつけて可愛がった。しかし、構造有機化学者は天然物化学者がアミンを可愛がるのを面白く思っていなかった。

天然物化学者が出かけている時、おちょんが構造有機化学者の蒸留した無水溶媒を汚してしまったので、構造有機化学者は激怒しておちょんのベンジル保護を高圧水素化、酸化白金で切ってしまった。帰ってきてそのことを聞いたπ電子化学者は、逃げていったおちょんを探しに学会に行った。

天然物化学者がアミンのお宿を探し当てると、おちょんがでてきて歓迎してくれた。帰りにお土産として二つの任期付きのポストが出てきて、どちらか好きな方を持っていくように言われた天然物化学者は、短い任期のポストを選んで帰っていった。

家に帰って契約書類を見ると中にはたくさんの福利厚生と使用可能な設備と研究費が書いてあった。しかし欲張りな構造有機化学者は、天然物化学者が短い方の任期を選んだと知って激怒。長い方にはもっとたくさんの契約メリットがあったに違いないと言い、アミンのお宿に行く。

そして帰りに長い任期の契約を選んで帰る。おちょんはラボに着くまで決して契約書類を見ないようにと言うが、ラボに着くまで待ちきれなかった構造有機化学者が契約書類を見てしまうと、中にはとてつもないブラック労働条件が書いてあった。びっくりした構造有機化学者はあわてて逃げるようにラボに帰った。

参考文献


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