日本でニヤニヤしていると勘違いされる件
新宿ハルク前
まずは新宿。
京王プラザホテル側からハルクを通過して、新宿駅に向かおうとしていたところでした。
平日の午後だったと思います。
「ちょっとよろしいですか?」
本格的なマイクを持った中年の男性が私に近づき、とても通るハキハキした声で、「お米についてのアンケートなのですが」と言いました。
隣りには、大きなカメラを構えた男性も。
そう、街頭インタビューです。
テレビに映るとか、YouTubeに出るとなると、勝手に『面白いことを言わねばならない』というプレッシャーに押しつぶされ、結果的になにも面白いことが言えない性格なので、「あ、す、、すみません、、」と断った。
「大丈夫です!1、2分で済みますから!」
大きな声で言われ、私が右に避けると右側に、左に避けると左側に、ワールドカップの予選勝ちがかかっているのかというくらいのディフェンス。
「私、〇〇テレビの〇〇です!只今、ご通行中の皆様に〇〇米を召し上がっていただき、感想を伺っております!お時間は取らせませんので、ご協力願えませんでしょうか?本当に簡単なアンケートなんです!!」
矢継ぎ早に身分を名乗ると、ものすごい勢いで交渉された。
もう逃げられそうもない。
「ああああ、わかりました」
どうせカナダに住んでいるのだし、テレビに映ったところで誰も観ないだろうと覚悟を決めて、協力することにした。
「ありがとうございます!!それでは、こちらのお米をどうぞ」
小さな団子型に握られたおにぎりが、ラップに包まれて丁寧にトレーに載っていた。
「このお米、北海道産のお米なんです!」
「北海道のお米って、どう思いますか?聞いたことありますか?」
これは、
「聞いたことないです!」
への誘導尋問だ。
ここで間違っても、知ったかぶりをしてはいけない。
「北海道のお米ですか?!聞いたことないです!」
レポーターはご満悦の様子。
まず一問目をクリアし、彼の人選の目に狂いがなかったことを証明した。
「やっぱり~、聞いたことないですよね。珍しいんです、北海道のお米」
「へ~」と、あからさまに驚いた表情をしてみた。
これで合格だろうか。
「それでは、召し上がってください」
恐る恐るラップを開ける。
カメラマンの横には、身なりの整った初老の男性が、私の方を固唾を飲んで見つめている。
きっと、お米屋さんの社長であろう。
一口、食べる。
「いかがでしょうか?」
社長と目が合う。
「えええっと、モチモチしていて、食感がよく、甘くて美味しいです」
今まで言ったこともない単語を並べて、できる限り食レポっぽく具体的に感想を述べた。
これで合格だろうか。
名古屋ユニモール
久しぶりに名古屋駅に行ったら、大規模な再開発が進んでおり、駅前には伊勢丹が間もなくオープンとのことだった。
出張で日本各地に行っても、荷物が増えないよう買い物はできるだけしないようにしているので、デパートやフラッグストアなどは、目印としてしか利用していない。
確か、まだ午前中だったと思う。
ユニモールを名古屋駅方面に向かって歩いていたら、男性二人に囲まれて、
「もうカメラ回ってます!!」と言われた。
芸能人でもなんでもないのに、「もうカメラ回ってます!!」と言われると覚悟を決めるのはなぜなのか。
もう逃げられないと思った。
ダブルのスーツを着て、髪をガッチリと固めた中年の男性は口早に、「私、〇〇テレビ『おはよう○○』の〇〇です」と、私ではなく、カメラに向かって言った。
「いや~、間もなく伊勢丹がオープンしますね~」
呆気に取られている私の代わりにカメラマンが頷いている。
「今、お仕事中ですか?」
スーツを着ている私にそう尋ねてくる。
「あ、、はい、、」
おずおずと答える私に、
「伊勢丹、行ったことありますか?」
これはハイレベルな質問だった。
これから伊勢丹が名古屋にオープンするということは、名古屋には伊勢丹がない可能性が高い。
ここで私が「ない」と言った方が盛り上がるのか、正直に「ある」と言った方が話が続くのか、、
正解が分からなかったので、「ある」と言ってみた。
「おっつ、どちらの伊勢丹ですか?」
「し、、新宿」
「お~、新宿の伊勢丹ですね~。素晴らしい」
失敗した。
「ない」が正解だったに違いない。
「では、どんな時に伊勢丹に行きますか?」
えええええ!!!
どんな時に伊勢丹に行くか?
高島屋でも三越でもなく、いつ伊勢丹に行くか?!
分からない!!!
近くにいた時?
そんなのは回答にならない!!
伊勢丹を持ち上げつつ、且つ説得力があり、お茶の間の笑いも取れる回答、、
「じょ、、女子力を上げたい時ですかね」
「お~!女子力を上げたい時ですか~、さすがですね~」
と、男性はまたカメラに向かって言った。
その後、いくつか回答に困る質問をされ、彼らは立ち去ろうとしたので、念のため「放送はいつですか?」と聞いてみた。
すると、
「撮影したからって、放送されるとは限らないんですよ」
とピシャリと言い放たれた。
翌朝、お取引先の留学エージェントさんからメールがあり、「すみよさん!朝の看板番組で拝見しましたよ~、女子力上げたい時ってなんですか~笑」と言われた。
大阪天満の商店街
お取引先の留学エージェントさんと晩御飯を食べに行き、商店街を通って駅に行こうとしていた時だった。
「ども~、○○テレビの○○です~、ちょっと質問よろしいですか~」
テレビ出演は3回目だ。
もうなにも怖くない。
それに、今日は一人じゃない。
一緒にいた女性は「すみよさん!テレビですよ、テレビ!やだ~」とビビっている。
分かりますよ、その気持ち。
でも、カメラが回っていたら、もう覚悟を決めるしかないんです。
振り返ると、インタビュアーの男性がテロップを持っていた。
「今年の重大ニュースについて聞いてるんですけど、どれが一番印象に残りましたか?」
テロップには、『東京オリンピック・エンブレム問題』『ラグビーW杯』『安全保障関連法案』など、様々なニュースが書かれている。
これはヤバい。
日本のことがまったく分からない。
この段階で、「海外に住んでいる」と言うと、完全にスカしてるやつだと思われる。
分からないとハッキリ言った方が身のためかもしれない。
一緒にいた女性と、もごもごと「どれかな~、分からないな~」と話していたところ、インタビュアーが私に「あ、地元の方じゃないんですね。どちらからですか?」と聞いてきた。
これはヤバい。
一緒にいた女性は関西弁だから、大阪じゃないとバレたのは私の方だ。
選択肢は、『横浜』または『カナダ』だ。
どっちもスカしていると思われる。
結論
これだけ声をかけられる理由はなんなのか考えてみた。
要するに、私はニヤニヤしているのだ。
カナダでは、人と目が合ったらお互いニコッとする。
なんなら、そこから他愛のない会話が始まる。
それが普通になってしまっていた。
人と目が合うことに抵抗がないし、目が合えば感じよくしてしまう。
だから、私は「街頭インタビューされたがり」に見えるのだ。
街頭インタビューされたくないのなら、うつむいて歩くに限る。
続きは次回。ちょっとアピール。こんなことやっています。👆
教育関係の皆さま、コラボにご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください💛
イラストは、みんなのフォトギャラリー、にゃむ@Image Creation LABOさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?