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ダイワボウHD 1Q決算(3107)

強い決算に見える。
この企業は以下3つの事業を行うHD企業で、ITインフラが売り上げの90%以上を稼いでいるので、こちらに絞ってみてみる。

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まず売上について:

以下の通り、1Qは-10.9%である。一見これは弱いんじゃないか?と思えるが、通期売上が約-20%を見込んでいること(会計基準変更込み)、上期目標売上成長率が約-9%であることから健闘しているのではないかとみられる。
去年はギガスクールとウィンドウズ10のサポート終了からくる特需があったことから、今期に売上減があることは明白な中健闘していると思う。

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また、月次で国内のパソコン出荷統計をとっているJEITAのHPを見ると、市場全体ではYoY約-16%の出荷金額となっているので、(もちろんダイワボウはソフトウェアやマウスなど周辺機器も売っているので、かなり粗い比較だが)ざっくり市場全体をアウトパフォームしたと言えよう。

https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/pc/2021/

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出荷台数を見ると、やはりYoY-1.7%とあり、市場全体の-9.3%に勝っている。(注 JEITAはすべてのメーカーの統計をとれている訳ではない)

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引き続きダイワボウはPC販売のシェアを伸ばしている可能性がかなり高いと言えよう(前年度末で法人向けは30%以上のシェア)。この背景としては、やはり過去5年間の間のシステム投資(iKAZUCHIやiDATENなどのEC販売プラットフォーム)と全国6つの物流センター投資が効いているのではないだろうか?
自分が地方にあるIT商社を経営する身だとしたら、在庫は抱えたくはない、ただ売れそうだったら仕入れて客の前に商品を出して利益を取りたい、と思うのが自然な発想だろう。
そこで、上記のようなダイワボウのシステムは、短納期で届けてくれそうで非常に心強い。(実際ダイワボウの在庫回転日数はわずか11日程度であり、文字通り素早く発注が入り次第「右から左へ」ができていると思われる。)

またバランスシートを見ると、売り上げが減った金額以上にすさまじく運転資本を減らして、現金がこの3か月で50%以上増えている。この現金をどのように運用するのか分からないが、個人的には、後述するが、もちろん2Q以降の運転資本の補充に充てられる分もあるだろうが、設備投資はあまり必要ない事業であることと、掲げている高いROE目標からして、株主還元にいくらか充てられても自然だと思っている。
現金の活用法はまだ分からないが、売り上げが減ったけどバランスシートが大きいままとならず、スリム化しているので、とても健全な運用といえるのではないか。

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また、わずかながら、粗利率、営業利益率が改善している。卸業なので、0.1%の改善も全く馬鹿にできない。特に、売上がー11%程度減る中で、利益率を高くできることは非常に強い。これは固定費比率が非常に低いことを示唆していると思われ、極論売上さえ立てば利益が出るビジネスといえる。(固定費比率が高い航空ビジネスなどは、売り上げが10%減ると利益が100%以上減るなどある。)

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つまり売上が10%減ろうが20%減ろうが、基本的にはダイワボウは毎年FCFを100億円以上出せる事業体と思えるかもしれない。例えば平均して、FCF200億円だとして、時価総額が2000億円なら、10年で投資元本を回収できる計算になる。パソコンの台数が長期的に増えるのかは分からないが、少なくともそのものが消えることはないと思うくらい依存している世の中で、このようなポジションを築いているのは美味しい。

今の配当利回りも2.7%と高いが、今後株主還元は増えていく可能性が高いと思っている。下の純資産額を見てほしい。ダイワボウはROE14%以上を目標としており、この純資産が例えば上のFCFの想定を利用して、毎年200億積みあがっていくと仮定する。還元しないとすると、ROEを14%以上に保つには、毎年30億円程度(200x14%)純利益を増やすか、株主に返すかが求められる。少なくとも今後数年は売り上げ成長は特需後ということで、前者は難しいと思われるので、還元を増やす可能性が高いと思われる。今の還元性向は30%程度であり(会社予想)、設備投資がひと段落したと考えると、3年後に50%以上になる可能性は十分にあると思っている。

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