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ヒプステ感想_【舞台】『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -Renegades of Female-:一匹の亡霊が蘇生された話-

 【舞台】『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage
-Renegades of Female-
をみてきました
とっても楽しかったです!最高でした!

いち個人の感想兼思い出を振り返るように書いております
「そう思ったひともいるのかぁ~」って心持ちでお読みください。

感想なので、とてもネタバレがあります

結論:とってもよかった

ストーリーとキャラクターの心情

ストーリーがとても好き。
ヒプノシスマイクは「武力は根絶された」世界に「ヒプノシスマイク」がある話だけど、すごく単純化すると「殴る道具が変わっただけ」で、「力を持ったものが、力で弱きものを支配する構図が変わっていないこと」と「力による支配で、弱きものが傷つくことは変わらない」ということは「Track.1」ではカズが「-Renegades of Female-」では、いのりちゃんが、はっきり言っていることではありますけれども・・・・そこに合歓が一石投じるところがとてもよかった。
ヒプステの合歓の「手が出るようじゃ劣等」が「拳だろうが、言葉だろうが【暴力】では解決できないことがある」という表現でみられたのとてもよかった。


今回、合歓ちゃんは最終的には、乙統女様と無花果様たちのキャンセラーとマイクの力をかりて場をおさめることにはなったけれど、
『「復讐の連鎖を止める」ために「マイクを置いて闘う」という他のヒプノシスマイクのキャラクターはとってこなかった選択』を選んだのは、すごくかっこよかった。
(※厳密にいうと、マイクをとらない選択は他のキャラクターはとりたくても取れなかった選択)
「Buster Bros!!! VS どついたれ本舗」のときの簓VS盧笙のときも思ったけど、本当に相手に伝えたいことがあるとき「ヒプノシスマイクは必要ない」というヒプステの演出(というか真理)とてもよい。
簓VS盧笙は最後のほう、ただただ喧嘩していて、喧嘩しながら、自分の伝えたかったことを伝えていく演出がすごく好きでして、マイクも力もスピーカーの力も、本当に相手のことを想っているときはいらないっていう1つの解釈が好きなので・・・

二郎が一郎の横に並び立ちたいと伝えたときも、一郎が二郎の成長を喜ぶときも、ヒプノシスマイクはおそらく起動していない。(と解釈している)

乙統女様は「言葉の力で、言の葉党が支配する」という宣言を高らかにして、演出上は凄くかっこいいけど、手段が武力であれ、暴力であれ、ヒプノシスマイクという兵器であれ、「力で支配する」という部分が変わらない以上、復讐の連鎖は止まらない・・ここまでは今までのヒプステでも描かれていたことだった。

というか、ヒプステはずっとそういうテーマだったし、ヒプステ全員卒業で心が置いてかれてしまって、(私のように)亡霊と化した人の多くは、そのテーマをヒプステが扱ってくれるヒプステが好きだったと思う。(主語でかくてごめんなさい)
今回のヒプステでそのテーマに合歓ちゃんが、どのように向き合うかというところが描かれたのがとてもよかった。

碧棺合歓ちゃん♡をとりまく脚本が良い


ストーリーで、すごく心に響いたのが合歓ちゃんが「中王区を襲撃しても、月の音の人たちの心の傷は癒えない」と「心の傷」に触れた点だった。

クライマックスで合歓ちゃんは一愛が中王区を襲撃するのを止めようと必死で理由が「一愛は大切な人で、これ以上傷つかないで欲しいから」だった。
ヒプノシスマイクを握った人間は傷つけあうのが当たり前の世界で、合歓ちゃんはマイクを置き、相手に「心の傷」を重ねないことを選んだ。

ここからは、だいぶ妄想も入るけど、一郎や左馬刻や乱数や寂雷たちは、かなり自分のことに精一杯で、ぶっちゃけ一郎や左馬刻は下のきょうだいを守りながら生きるので精いっぱいで「相手の傷」なんて気にかけてられなかったし、乱数は「マイクで人を傷つけること前提で生まれてきてる」し(書いていて悲しい)、寂雷先生も生死をかけた戦場にいたわけで、相手を気にかけていたら、一郎がカズにいったように「大事なもん」を失ってしまう。
(コミカライズ深められてなくて、簓や空却に触れられなくて申し訳ないです)

左馬刻たちに余裕があって、合歓ちゃんに余裕があるといいたいわけではなく、「左馬刻が合歓ちゃんを愛して守ったから、合歓ちゃんは人の『心の傷み』を気にかけられる人になることができて、合歓ちゃんの『心で闘う』=『ヒプノシスマイクを必要としない強さ』になったのかもな」と個人的に思いました。

少なくともマイクを置いた合歓の強さは、確実に一愛には届いているように私にはみえた。

ツクヨミは「怒り」を中王区に伝えようとしていたけど、合歓ちゃんは「月の音」が大切な人を奪われた悲しみで「心の傷」を追っていることに気付いて、これ以上重ねないようにしたし、仄々が2人を連れていこうとしたときも「これ以上傷つけないで」とお願いしていた。

「ヒプノシスマイクで支配されたことで、怒りや憎しみを抱えた人間と、ヒプノシスマイクを通してぶつかって、わかりあう」という一郎たちのやり方もあれば、合歓ちゃんのように「ヒプノシスマイクを置いて、相手の傷みに寄り添う」形もあると、ヒプステを通して知れてよかった。

自分のことでいっぱいいっぱいのヒプノシスMCたちが多い世界の中で「他人の傷み」に気付ける合歓ちゃんの強さを味わうことのできるとてもいい脚本だった。

妹を喪った無花果さんが、「他人の傷み」に気付けるやさしい合歓ちゃんの存在に癒されたり、希望を見出したりしているのも、本当によかった。
「他人の傷の傷みをわかろうと努力する強さを持つ者」が、「ヒプノシスマイクを使った言葉の暴力に傷ついた人」の多い世界をどう歩むのかというヒプステの物語としての前進をみせてもらえたので、今後も続きが気になる展開と思いました。

キャスティング

キャストの魅力がすごい

菜々香さん

堂々たる乙統女様の菜々香さんが歌がとてもお上手で、「言葉の力」とかは置いておいて「この人についていこう」と思える力強さを舞台の真ん中からぶつけてくれる女優さんで、とてもかっこいい。
うろ覚えだけど、序盤に「誰が戦争を止めたか」みたいなことを、圧マシマシで歌うところが、乙統女様の説得力が炸裂してて、ただかっこよくて圧倒された。
クラブexの真っ赤な会場が「中王区で党議会とかしてそう」な雰囲気だし、『ホテルのホールを貸し切って、乙統様のありがたい御言葉をいただける』ことが、オタクの私にささりました。
一番最初のイラストの中から、乙統様が出てきて「日本国民の皆様」と両手を広げて呼びかけるシーンはヒプステシリーズの中で、ずーっと待っていた。みられて嬉しい。中王区をお待ちしている旨、アンケートに書いてよかった。

「男は排除~」という歌詞の曲で、乙統女様のかっこいいビブラートを菜々香さんの歌声できけるの、最高だった。
ヒプノシスMCたちは基本的にラップメインで、メロディアスな歌はバラードであることが多いので、メイン曲でがっつり鳥肌ビブラートを浴びれて最高だった。
私はFlingPosseのファンなので、7/6・7/7で観に行った際に、帝統が確かに「愛されていた」し、「愛されている」ということを、厚みのある菜々香さんの歌声できけてよかった。また乙統女様のソロ曲のあとに、無花果さんが入ってくるけど、正面の客席側を向いて「母の顔」を消して「首相」の顔になるときの僅かな狼狽えと冷静な切替のシーンに「逃げも隠れもしない」乙統女様の「小さなわがままと秘密」を感じて、菜々香さんの表現力~鬼高~!!となる。
母を諦めたことを割り切れないでいるところも、中王区に圧倒的に君臨する姿も「中途半端な表現力」だと白けてしまう「重い役」だと思うのですが、歌も演技もすごく素敵なので、没入感がっつり恐れ慄けるし、泣ける。
歌がうまい~
ヒプステで最恐格の歌声を、豪華なクラブexで贅沢にきけて、幸せだった。
そしてInstagramめっちゃかわいい。みて。


白峰ゆりさん

ソロ曲では、叫ぶように悲しみを歌う傷ついた姉で、合歓ちゃんの前で厳しさとやさしさを兼ね備えた上司で、乙統女様の前では責任感のある部下で、仄々さんにはガチでお怒りして・・・いろいろな無花果様がたくさんみれてとても贅沢な舞台だった。ありがとうございます白峰さん。

お芝居が上手でとても没入できるので、ソロ曲前で、合歓ちゃんを特別扱いしていると仄々に煽られて、怒っているシーンは、仄々さんも無花果さんも本当に怖いので、みていてハラハラする。
ソロ曲で、悲しみを歌うシーンも無花果さんの後悔が伝わってくるし、ライブパートで歌うときは、合歓ちゃんがいて、無花果さんにみつめられた合歓ちゃんが下手に移動しながら少しだけ微笑むのが、よいんだ~。

クライマックスの「月の音」を制圧するシーンでは、マイク起動した(受け取った)あと、階段下りながら鎖を構えて歌うところで蹴りを繰り出しながら歌うけど、めちゃくちゃかっこいいけど、あれ絶対こわい。
無花果様のピンヒールって、舞台化できるんだ・・・絶対無理だと思っておりました。
後悔や怒りやさしさ、出で立ちすべてに厚みを感じて、白峰さんの積み上げてきたもので表現される無花果さんが観られて贅沢だった。
やっぱりInstagramがかわいい。みて。



高橋桃子さん

かわいい。言いたいことはたくさんあるけど、とにかくかわいい。
物語の後半で、一愛との掛け合いの中で「うん」とか「ううん」とかいうだけで、「か、かわいいい~」っとなる。
ほとんどのシーンでがっつり没入してみて観ているけど合歓ちゃんが「うん」とか「ううん」とかいうところ「かわいいな・・・!」って我に返る。

原作の左馬刻さんに対して、19歳の女の子に過保護すぎると思っていたが、いざ目の前に、あのかわいさの合歓ちゃんを出されると「これは過保護になる」と思う。
こんなかわいい合歓ちゃんが行方不明になっても正気を保てるの左馬刻様、精神力強いと思いました。

ここからは、オタクが半分妄言でしゃべりますが
2.5次元舞台って
キャリアが長かったり、経験があったりするキャストの中に、あえて「舞台経験の浅いキャストの方」を「物語の中で成長するキャラクター」の役で投入することがあって、「舞台期間中の役者としての成長」と「キャラクターが作品の中でする成長」をシンクロさせる手法をとることがあるなと思っております。

他の作品でも結構見かけますし、ヒプステの二郎や三郎や十四くんとかも、そういうキャスティングだったのかなと思っております。
スポーツものの2.5次元などで、作中で成長する「後輩役」とかの子を舞台経験がほぼない子をキャスティングしたりして、役と本人を同時に成長させるのを何度か見たことあります。

というか今思い出しましたが、『刀剣乱舞』~江水散花雪~の石川凌雅くんの肥前忠広がまさにそれなのかと思いました。(私円盤視聴なので、劇場に行っていないのですが)個人的に江水のバクステの石川君のドキュメンタリー、私が人生で観てきたバクステ特典の中で一番おもしろかったです。

今回合歓ちゃんの高橋桃子さんは回を重ねるごとに、合歓として成長して「守られるだけじゃダメ、自分が守る」という気持ちが力強さになって現れていくように見えて、それが他のキャストの人たちにも伝わって、作品全体が熱くなっていくようにみえて、本当に良かった。

この「2.5次元キャリア浅いキャストとキャラの成長シンクロ手法」ってみかけるたびに「すごいなー!!!!」って思います。

一方で、舞台の上に立つだけで応援したくなるような高橋桃子さんの天性の愛らしさは、左馬刻や、無花果さんから愛される合歓そのものだなと思いました。
太田さんの役者としての成長と天性の魅力を味わえて贅沢な舞台です。
序盤でのツクヨミと最初に遭遇して物理で殴られるシーンや
クライマックスの一愛や、ツクヨミをボロボロになって止めるシーンは、みていて辛いけど、必死だけど全然怖気づかないところに「碧棺」をとても感じる。
今作で一番好きなのは合歓がクライマックスでマイクを置くシーンなのですが、本当にかっこいい。
ヒプノシスマイクの世界では、大切なものを守るために誰もが「マイク握ってきた」。
「相手を想って、マイクを置ける強さ」を持つ合歓ちゃんがヒプステはもちろん原作でも、どう活躍するかと、これからが楽しみになりました。

ラストシーンでは「副局長」に昇進した合歓ちゃんが、荘厳な音楽とともに照明で強く照らされれるところに、ヒプステの「未来」や「試練」を感じて、「これよこれ!ヒプステでこれがみたいんよ」って感じがして最高でした。
こちらは天使のInstagram。


太田夢莉さん

私が観にいったのが、6日でしたが、5日の段階でバズっててタイムラインを占拠しててネタバレ踏まないようにするのが大変なくらい、すでにヒプステを流行らせていた。すごい。

ヒプステを全く知らない人から「あのバチバチに踊るバクイケお姉さんは誰か」と問い合わせを受けたのは、私だけではないはず。
瞬きせずに合歓ちゃんに詰め寄るの、怖くて泣きそうになる。

合歓ちゃんが人の「心の傷み」を気にかけるやさしさが、今作の見どころと勝手に思っているけれど、そこに「心ぶっこわしてなんぼ」みたいな仄々様を全力で強調してくるところが、とても面白いと思った。
ヒプノシスマイクは原作も本当にキャラデザが立っていて、キャッチなーキャラクターを創るのが上手だけど、2.5次元に最高の形で太田さんを呼んでくれて、大感謝。

今回のストーリーは単純化すると、仄々様いなくても成立するシナリオだけれど、「心で闘う」合歓ちゃんにとって、「心を壊す」の大好きそうな邪答院仄々は天敵だと思うので、ラストシーン含め「盤石そうで危ういバランスの中王区の不穏さ」スパイスとして楽しめて最高だった。
私は、原作のファイルーズあいさんの仄々さんもとても好きで、世に魅力的な仄々さんが2人もいて嬉しい。
バズってるから言及するまでもないけど、圧倒的な表現力とダンスと歌で見せるツヨツヨの太田さんで観られる贅沢よ。

仄々様は、まばたきすらろくにしない、隙のなーい役なので
ゆるいスローモーションポテト食(は)みが楽しめるギャップのかわいいYoutubeをご覧になって欲しい。



田野優花さん

ヒプステ前に、BLEACHも観に行ったのですが
歌がうまぁぁぁああぁぁぁぁい
ダンスもうまぁぁぁああぁぁぁぁい
目力もすごぉおおおおい


今回ヒールとして、君臨するわけですけど、圧倒的な存在感というか
ソロ曲の月をバックに歌うシーンとか劇場を一色にするその役者力が、本当にすごいですよね。
お友だちが、身長があまり高くないといっていて実際そうなのですがどやってあの存在感は出すんだ。
合歓と一愛が町中を奔走する「Run」って感じの曲で、炎の燃え盛る(マッピングの映された)布の中に沈んでいくシーンがあるけどあのゆっくり下がって、布にしずんでいく姿、超強そうだし、そのあと笑いながら「やれるもんならやってみろ!!」って叫ぶのかっこよすぎる~。

「天照らす」乙統女様へ対抗する「ツクヨミ」というのは舞台のビジュアルでたときからなんとなくわかっていたことなので、「弱そう」とか「たいした事なさそう」っと思われたら、その時点で作品自体へのわくわくが下がっちゃうと思うのですが、オープニングで踊り出した時の「これぞ!!ヒプステOriginal!!!」って感じでもう期待しかない、ダンスと「ヒール感」が出ていて「今回のヒプステも絶対におもしろいぞ」と思わせてくれた。

台詞も好きで「やれるもんならやってみろ」とか「見逃してやろうと思ったが」とか、合歓ちゃんを「雑魚」呼ばわりしたりとか、徹底的に振る舞いに「憎しみ」と「悪意」をにじませているところがよい。
終盤で合歓がマイクを置いたことにも懐疑的で「対話でもしようってのか」というセリフも合歓は合歓でかっこいいが、ツクヨミの「復讐の連鎖を生んでいるのはお前たち中王区ではないか」も「ごもっとも」って感じで、ツクヨミの復讐にとらわれている姿の説得力がすごい。

クライマックスで乙統女様と対峙するところでは、月の音の活動を「無意味」と言われて激昂するところ、心は苦しいですがとても良いシーンだと思います。
「お前が私たちの戦いの意味を決めるな!」というのは本当に共感できるし、「マイクなどなくても戦える」って背中から武器取り出すところもかっこよくて、一方叶わないであろうことは本人たちにも、観客にもわかってしまっている部分で、やるせない気持ちになるシーンです。
その後に、一愛が「私たちはもう止まれない」と叫んだり、合歓の仄々に対する「この人たちをもう傷つけないで」という言葉がより刺さたり、次のシーンに繋がる良い凄みだなと思っております。
はっきりしたお顔立ちが「美」なInstagram


涼邑芹さん

舞台観る前に一愛はどんなキャラクターなのか、一番想像がつかなくて観ている最中も、観た通りの純粋なキャラクターなのか、それとも裏切りものなのか、中盤までわからずドキドキしてみておりました。

自己紹介を兼ねたソロ曲は、1回目みると「やる気爆発している溌溂キャラクター」なのかなと思いますが、2回目以降みると「ここですべて燃やす」と言っていて、すべてをかけて乗り込んできた一愛の覚悟が見える曲で、切ない・・・!となりました。

ヒプステでも、ヒプステじゃなくてもそうなのですが
「裏切り続けているうちに、自分の本当の気持ちがどこにあるのかわからなくなってきたり、少しずつぶれてくるキャラクター」が大好きでして・・・
同じ理由で原作でもヒプステでも信条に変化がある飴村乱数が大好きでして・・・
一愛は「合歓のまっすぐな姿」やセリフにもある「男とか女とか関係ない」・「あなたが大事だからだ」という言葉に少しずつ心を動かされていて、ツクヨミが命じる月の音からの一斉攻撃も止めてくれる。
私が、一番苦しくて、心動かされるシーンはツクヨミに命じられて「わかりました」って応えて、両脇を押さえられた合歓に一愛がマイクで攻撃するシーンです。
左右を押さえられて動けない合歓に対して、一愛がマイクで一方的に攻撃するわけですが、ヒプノシスマイクを使って、言うセリフが(うろ覚えですけれども)「力のある者が弱いものを傷つける(ので私たちは抵抗する)」という趣旨の言葉をぶつけている。

このシーン「一愛たちが一月を、力で奪われた被害者側だ」という趣旨のことをラップでは言っておりますが一愛の攻撃モーションによって「ヒプノシスマイクによる言葉の暴力で一方的に殴られているのは合歓」なので「一愛たちが憎んできた行為」を一愛がやってしまっている。結構わかりやすい演出で作られいて「力による支配」に対して「力による復讐」をすることの不毛さがとても強調して作られているシーンで、すごくよい。
一愛自体も合歓を傷つけることに、傷ついているのが伝わってくる涼邑さんの演技がとてもよくて、合歓は合歓で一愛を行かせたくないので必死で、2人が傷ついているのがとてもつらいシーン。その二人が辛い想いをしていることが「こんなことはもうやめよう」と観客に思わせてくれるシーンだなと思います。
その後に、合歓の言葉を受け取ったうえで「ごめんなさい」と合歓に謝ってそれでも「私たちは、もう止まれない」と乙統女様と無花果さんに向かっていくシーンとてもつらい。一愛は、合歓が自分を想ってくれることをちゃんと理解した上で、姉や仲間を裏切れないとナイフを持ったんだと思うと、本当に泣けてくる。一愛ちゃんが、仄々様に連れていかれて拷問されなくて本当に良かった。合歓ちゃんよくやったという気持ちになる。
今回のヒプステたくさん泣けて、良いお話だと思えたのは「合歓ちゃんにとって一愛が大事な存在になり、一愛にとっても合歓は心動かされるような素敵な人間だった」こと・そのことが観ている私たちに舞台上でビシバシ伝わったことだったと思っているので、本当に高橋さん涼邑さんに感謝しております。ありがとうございました。

舞台上でもそうだったけどCoolな姿と、Cuteな姿が両方楽しめるInstagram


D.C.B

DCB はダンスが本当に素晴らしいのですが、今回全員歌いますよね。
実はそこが好きでして、「中王区」の党員としても、「月の音」としても、DCBの皆さんが一緒に歌ってくれるのですが、これは演出上「女性たち一人一人が『中王区』や『月の音』であること」を表現していると勝手に解釈しておりまして、勝手に観劇している自分も、「中王区」でもあるし、「月の音」であると思っております。
群衆であり、観客である私たちも、中王区や、月の音と同じように毎日を闘う人間であるっていう作品からのメッセージだったら嬉しいなって思っております。
観劇は、能動的な娯楽だと思っているので、そう解釈するのも許されるかと。
また、私は舞台の「進撃の巨人」で、松本ユキ子さんが好きになりまして今回もガッツリ、美しいダンスが観れて大満足でした。特に好きなのは、無花果さんのソロ曲で、無花果さんの悲しみや後悔を美しくて、繊細でそれでいて力強い松本ユキ子さんのダンスで観られて大満足でした。
また、ヒプステといえばナカサチさんの衣装チームなわけですが、DDBとはガラっとかわった腕回りに膨らみ?というか余裕のあるシアー感のある生地のお衣装がとてもかわいい。レースの向こうに透けているインナーも、脇まわりが開いていて、踊りやすそうです。それでいて、従来のヒプステのダンサーといえばといった「かっこいいベルト」も随所に残っていて素敵な衣装だなと思いました。


亡霊生き返る

以下は「隙あらば自分語り」です。
楽しいお話だけでもないので、「何でも許せる人向け」の内容です。

自我丸出しで申し訳ないが、2023年のヒプステの全員卒業以来、心が追い付かなくて、作品の応援の仕方が分からなくなってしまったオタクだった。
いわゆる『亡霊』だった。

Track.1から劇場で観劇して、いつも楽しみにしていたけど「全員卒業」発表で、ヒプステを作っている人にとって、もしかして「自分みたいな(当時のヒプステ)オタクは(今後の)ヒプステの客層としていらないオタクで、New Encounterの表現をかりると、「スクラップ」されたほうがよいオタクなのか・・・という迷いが、最近まであった。

今後のヒプステのお客さんとして、自分はふさわしくないから「全員卒業」とともに自分はヒプステから「Not For You」宣言されてしまったのかもと思っていた。
正直、2.5次元に卒業はつきものなので、遅かれ早かれみたいな部分はあると思っていて、覚悟はしていたつもりだったが、結構いきなり「全とっかえ」で、キャストが変わることよりも、「ヒプステを作っているカンパニー自体ではなくて、それを仕切っている大元の人たちの経営とかいろいろな方針とかで『自分みたいな今まで観てきた客』は切る対称なのかな・・・」と思ってしまったのが辛かった。
(そんなことないかもしれないが)ヒプステから「いらねー客認定された」(と感じてしまって)それがとてもショックだった。

制作会社が大きな会社にグループ化されたタイミングもあって、「経営的な判断などなどで、今までのお客さんが切られるということは、舞台以外でもよくあることなのかも」とも思った。
一方で、ヒップホップというのは「誰も置いていかない・見捨てない音楽だと私は勝手に思っていたけど、私はヒプステに置いて行かれちゃうのかな・・」と悲しい気持ちにもなっていた。
「まぁ、それくらい好きなコンテンツに出会えて4年も楽しく過ごせたことが幸運だったか・・・」と思って、ものわかりがいいフリだけして、実際は完全にふてくされていた。
時間や他のコンテンツが解決してくれると思って、イデタクがかっこいいラップ歌うゲーム
に癒されたりしていた。


新しいキャストによる新作も決まっている中で、自分がふてくされていることをどこかに書くと、私の知らないところで、誰かが傷つく可能性も大いにあったので、友だちに居酒屋で「さびしいよぉ」と愚痴るぐらいしか自分にはできなかった。
ヒプステのオタクの矜持(?)のつもりで、言葉の力で人を傷つける重さをわきまえたオタクでありたかった・・・

New Encounter

以下には、ヒプステの「New Encounter」のネタバレが含まれます

シンプルに新しいヒプステに興味があったので、実際にNew Encounterをみてみると、新しいキャストの皆さんが、あえて「ディビジョンのマーク」を外している状態でお客さんの前に登場して、全チームが「私たち(お客さん)の前で、チームが結成されるエピソードを行い」、2部のライブパートではじめてディビジョンマークを「まとう」という演出だった。
新しいキャストが「お客さんの前で各チームを結成していく」ことで、「各チーム結成の証人」にお客さんがなるような演出で、『今』を応援するお客さんはいつでも「ヒプステヘッズになれる」と思えたので、とても救いだった。
いろいろあるけれど、豪さんの演出やナカサチさんチームの衣装ギミックはいつでも「信じていいんだ」と思わせてくれると思った。

また新しいキャストの皆さんも歌う歌詞は「ビルド&スクラップ」だけど、私には「ビルド&リスペクト」にみえるシーンがいくつもあって、彼らも役者なので「スクラップ」とうたうかもしれないが、先人たちがビルドしたものの上にビルドしていく覚悟を芝居から感じられてよかった。

私はFlingPosse推しなので、3人を注視していたけれど、乱数と、幻太郎と帝統の戦闘シーンでは「乱数のラップアビリティ(攻撃)のくらい方」とかから「リスペクト」を感じて「役者の表現」って最高だと思えた。ヒプステの舞台で『言葉よりも強い三井くんたちの役者としての表現』で「リスペクト」を感じることができたのは、本当に救いで、どのFlingPosseもいつでも私に応援させてくれる素敵な役者さんたちだと思えた。ありがとう・・・

話は横にそれるが、New Encounterの役者さんたちは、本編中は、一番最後の「フィナーレ」の曲まで、チームマークをつけることはなく、チームを名乗るのもライブパートの部分だけで、「1公演1公演を通して、お客さんにみてもらって、はじめて各チームに成っていく」という厳しい演出と脚本だと思った。(そうみえた)

チームも名乗らず、マークもないなら彼らを「キャラクター」にするのは、自分の身体と演技だけだから「覚悟のある舞台」だなと思えた。
つまるところ「New Encounter」のカンパニーはできることを全力で全部やってくれていたと思えたけれど、一方で、自分が『2023年に切られたオタク』であることには変りないから、「これからも応援していいのかな?」と思っていた。
本当に、2023年当時の自分が「切られたオタク」だったのかは考えても仕方がないことだし、今後もその答えは出ないと思う。
「自分オタクとして切られたのか?」と思ってしまったことが、あの時の全部だった。


またヒプステがみたい

「そもそもなこと」を言うと、私は「ラップバトル」するヒプノシスマイクMCたちを楽しんでいたので、原作ではしばらくラップバトルをやってないし、「【ファッション(形の上だけ)】で、女性が強い設定の中途半端な世界観」に、個人的にどう原作のヒプノシスマイクを楽しめばよいかわからなくなってきてしまって、ドラマCDも買うだけ買ってきかなくなってしまった。
「ヒプノシスマイクは、ストーリーではなくてキャラデザと音楽を楽しむコンテンツだから、ストーリーに心を砕いちゃだめだと思う」と言われて、「そうかも・・・」と思ってしまったこともあり「自分は(ヒプステもそうだし)ヒプマイのお客さんでいられるのかな」と不安があった。

ただ原作の9th LIVEがすごくかっこよかったことや今回、「-Renegades of Female-」をみて「『今のヒプステ』を『今の私』が楽しむことができて、ストーリーもとてもよかったので、今はそれがすべてだな!と思って、ヒプステをみて、また原作が気になったら、CDきけばいいし、コミックもまたよめばいいと思った。ヒプステにまた行きたいと思えたことが嬉しかった。

そして、まわりにもそういうお友だちがいる。
「劇場にまた行きたい」と思わせてくれたヒプステカンパニーの皆さんに心から感謝している。
いろいろあるかもしれないが、これからも作品観にいって、また応援したいなと思いました。
また観たいと思える作品にあえて、本当に良かったと思います。



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