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漫画を読んで泣いた話

漫画を読んで泣いた。
良い話だったんだね、と思う方もいるかも知れない。確かにいい話ではあった。でもそれに感動したわけではない。

Twitter(今はXと呼ばれているらしいが、私はもう少しTwitterと呼ぶ。Xと書いてツイッターと読むのだ)でその漫画はさんざん宣伝されていたのでたまたま暇だったときに読んでみた。

32歳で処女ということを気にしている女性の話であった。しかしたまたま出会いがなかっただけで会社には真面目に出勤し、他の社員のお子さんが発熱などでやむなく早退したときは多少の不満を持ちながらも代わりに仕事を引き受け、他の社員やパートの人たちの良いところにはいち早く気づき、機嫌を悪くすることなく仕事をしている。
普通っぽく描かれているがこの主人公は超人である。
先ほど出会いがなかったと書いたが、気立てがよくてすぐに怒ることもなく他の人の立場もすぐ理解できる、こんな才女がそのへんに埋もれるはずがない。絶対にそのフロアを通して評判になるはずである。それがそうならないのはさすがフィクションだ。

そんな主人公(名前を失念)が恋に落ちた。その相手は主人公と同じで相手の気持ちを考えすぎて空回りし、ふたりはなかなかお互いの気持ちを伝えられないが、特に心配はいらない。なぜならその相手も主人公のことが好きだからだ。

何巻か読み進めていくと、とうとうお互いがお互いの気持ちを伝え合い、そして抱きしめ合って喜んでいた。

とうとうそこで私はいたたまれず本を閉じた。電子書籍なので正しくは画面を閉じた。そして泣いた。

初めから嫌われているならいい。
だが、そこそこ打ち解けてきた人に告白をして相手を不快にしてしまった経験を持つ私にはこの展開は辛いのだ。いつまでもいつまでもこの物語に進展がなければ私はもっと先まで読み進められたかもしれないのに。でもそうはいかない。漫画は読者に夢を与えなければならないから。

きっと私は死ぬまで人との距離感がつかめないままなのだろう。この漫画の登場人物たちのように両思いになったりする人たちは気遣いや距離の取り方がうまいから、私のようにフォローしている人をリプ攻めにして不快にしたりしないのだろう。なんでその才能が私にはないのだろう。悲しくてたまらない。


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