備忘録 22-12-03

小吏(しょうり)に接するにもまた礼を以ってす

――接小吏亦以

『宋名臣言行録』

宋の太祖に仕えた将軍に曹彬(そうひん)という人物がいた。ここぞというときには 必ずこの人が総司令官に起用され、天下統一後は軍事面の最高責任者に任命されている。太祖の厚い信頼を得ていたのだ。それはむろん能力がすぐれていたからではあるが、たんにそれだけではない。かれの執務ぶりを見ると、その理由がよくわかるのである。

たとえば、朝廷で執務するときは、最高責任者の地位にありながらいつも謙虚な姿勢をとり、「小吏に接するにもまた礼を以ってし、いまだかつて名を以って呼ばず」であったという。現代風に言えば、どんな相手でも呼び捨てにしなかったというのだ。また、夜が明けるやいなや、皇居にかけつけて朝見(ちょうけん)の時刻を待ち、一日として怠らなかったといわれる。

つまり、この人が太祖の信頼をかちとったのは、①謙虚、②精励、この二つの理由によるところが大きかった。これはいつの時代でも同じなのかもしれない。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日顔晴りましょう。

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