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備忘録 22-10-18

下の上に事(つか)うるや、その令する所に従わずして、その行なう所に従う

――下之事上也、不従其所令而従其所行

『礼記』

部下というのは、上の者の命令に従うよりは、上の者のやっていることを見習うものだという。つまり、上に立つ者は、みずからの嗜好や行動にはくれぐれも慎重であれ、と語っていることばである。

『韓非子』にこんな話がある

むかし、斉(せい)の桓(かん)公が好んで紫の衣服を愛用したところ、国中の者がそれを真似て、紫の生地の値段が白絹の五倍にもはねあがった。桓公は、宰相の管仲(かんちゅう)を呼んで相談した結果、かれの進言を入れて、その日から紫の衣服の使用をやめ、 同じような衣服をつけている臣下が伺候(しこう)してくるたびに「わしはその紫のにおいが嫌いでな」と言って鼻をつまんだ。すると三日もしないうちに、国中から紫の衣が姿を消したという。

これは、たんなるおとぎ話ではない。現代でも似たようなケースは幾らでも起こっている。だから『礼記』も表題のことばを引いたあとで「故に上の好悪する所は慎まざるべからず」とダメを押している。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日がんばりましょう。

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