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備忘録 22-12-29

徳に順う者は昌え、徳に逆らう者は亡ぶ

――順徳者昌、逆徳者亡

『漢書』

漢の劉邦が項羽の覇権に挑戦し、洛陽のあたりまで軍を進めたときのことである。そのあたりの董公(とうこう)と呼ばれる長老が面会を求め、このことばを引いて、大義名分を明らかにし道義の上でも優位に立つことを進言したといわれる。「徳」はこの場合、道義あるいは道理と理解すると、わかりやすい。

董公はこのとき「臣(しん)聞く」と言ってこのことばを引用している。それを見ると、このことばもまた諺のように流布していたのかもしれない。それは社会の実態であったというよりは、人々の願いのようなものであったろう。

現代がそうであるように、いつの時代でも良からぬ輩が幅を利かし、悪が栄えているように見える。まっとうに生きている者は、それを見て、このようなことばを心の中でつぶやきながら、自分を納得させてきたに違いない。しかしそれは長い眼でみると、単なる願望ではなく、歴史的な事実であったのである。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日顔晴りましょう。

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