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備忘録 22-11-24

一利を興すは一害を除くに若かず

――興一利不若除一害

『十八史略』

元(げん)代の名宰相耶律楚材(やりつそざい)のことば。亡くなった大平元首相がこれを座右の銘にしたといわれる。

元は騎馬民族モンゴルの建てた王朝で、とかく収奪をこととする傾向が強かった。そのなかにあって耶律楚材は民生の安定を重視し、収奪政策にブレーキをかける役割を果たした。しかも、太宗(フビライ)の信任も厚く、元の廟堂(びょうどう)に重きをなしたといわれる。かれの横顔を『十八史略』はつぎのように伝えている。

「楚材毎(つね)に言う、一利を興すは一害を除くに若かず、一事を生じるは一事を減ずるに若かず、と。平居(へいきょ)妄(みだ)りに言笑(げんしょう)せず。士人に接するに及んでは、温恭(おんきょう)の容、外に溢る。その徳に感せざるなし」

かれの時代は「一利を興す」すなわち新規の事業を始めるのは、ただちに民衆からの収奪を意味することが多かった。このことばも、そういう背景のなかで生まれてきたのである。現代でも、健全経営をはかる指針として参考になるかもしれない。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

「一利を興すは一害を除くに若かず」とは、「一つの利益をあげることを考えるよりは、それまでの一つの害を除くことに専念したほうがよい」という意味。
足元をしっかり見据えて、不備なものを探してみましょう。

今日も一日顔晴りましょう。

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