備忘録 22-10-12
衣食足りて礼節を知る
――衣食足則知礼節
『管子』
斉(せい)の宰相管仲(かんちゅう)の名言である。現在はこのように言われることが多いが、『管子』にある元のことばはつぎのようになっている。
「倉稟(そうりん)実(み)ちて則(すなわ)ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱(えいじょく)を知る」。 米倉がいっぱいになると礼節をわきまえるようになり、衣食が十分に足りるようになると栄誉恥辱を知るようになるのだという。つまりは、生活にゆとりができさえすれば、道徳意識はおのずから高まるというのだ。
管仲は、経済政策に力を入れた政治家として知られている。まずなによりも民生の安定をはかることが先決であり、国民の生活さえ安定すれば、おのずから道徳意識が高まり、それにつれて国の基礎も固まる。こういう考えの上に立って、経済優先の政策を推進した。二千数百年まえの当時にあっては、きわめて先見性に富んだ政治家であったと言ってよい。
しかし、せっかくのこの名言も、今の日本の現状からみると、いささか楽観的すぎたかもしれない。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
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