見出し画像

ジョングクくんにとっての‘street ’

パクチーA(以下A):こんにちは、パクチーです。
パクチーB(以下B):ひさしぶり!
パクチーC(以下C):久しぶり!
A:今日はジョングクくんについてなんですけど。こちら。FIFAワールドカップの、ステージ舞台裏。

B:ワールドカップ自体は11月だったけど、この動画は公開されてまだ1ヶ月なんだ。
C:月日が経つのが早すぎる…!
A:こんなに時間が経つのが早くちゃ、早く老いてしまう…!
B:最近白髪の増え方がすごくてね。
A:この間小学校の保護者の集まりで、他のお母さんに、「ど、どしたん!その白髪ーーーーー!!!!」と叫ばれたんだけども。
B:どしたんって言われてもな。
C:白髪は白髪だよ。
B:さっさとグレイヘアーになったらいいと思っていたけど、いざなってくると、正直動揺するね。
A:そう言ったら、「ほうよーーーーー!!!!!」。
B:叫ばれた。
C:再び。
B:自分の中にある老いを見せつけられて、動揺するんじゃないか?相手も。わたしより若干年上のお母さんだけど。
A:この話ジョングクくん関係ないな…。
C:関係ない…。

A:そう!それでジョングクくんです。わたしはこのエピソード見て、ジョングクくんの現場を牽引する力に、感動したんですよ、かなり。ディレクションの能力。演出能力。すごいある方なんだな、と。

A:行く前は、かなり不安を感じていることを話してくれてたけど、いざ現地に着いたら、全然違うモードに切り替わってた。
B:現地行って、リハーサル見て、振り付けを受け取って、以降のジョングクくんは、ステージに関してどんどんインスピレーションを湧かせて、積極的に発言してましたね。
C:「成立しているかどうか」「どこが不足か」「どんな要素で強度が上がるか」、が、見えちゃう人なんだ。
A:そっちのスイッチが入ったら、どんどんそっちの方に頭が使われ出す。そういう雰囲気。

A:かつ、わたしが驚いたのは、ステージの見え方だけじゃなくて、映像のディレクション(カメラワーク)まで見えてるんですよ…。
B:映像が重要な世界の人でもあるからね!
C:ステージだけじゃない!
A:わたしが、舞台の演出志望だったから、若い時。自分が一時期全てをそういう視点で、作品やリハーサルを見てたじゃないですか。ジョングクくんも頭がそうなってるんだなあと思って。演出家の視点。
B:寝ててもまぶたに映像がばしばし浮かんでくる。
C:特に音楽のエネルギーの起伏と、ステージ上の構成が、ちゃんと意図されていないと、不自然な感じがするんだよね。不完全燃焼みたいな。
A:多分ほぼほぼフィックスしてたステージ構成を、振り付け含めて変えさせたわけでしょ?この発言力、実行力、現場を納得させるクオリティ、行動力、現場の牽引力。
C:どこをとっても「可愛いマンネ」と違う。
B:黄金マンネ、末っ子で可愛がられてるかと思いきや、全然能動的にシーンを見てました。
B:GOLDEN CLOSET FILMの監督ですから。
C:【Life Gose On】のMVの監督でもありますし。
A:そうそう!!
B:あのステージ完成させたのは、ジョングクさんだったね…。
A:わたしも自信満々だったけど。
B:「わたし、どうしてこんなに物事のあるべき姿が見えるんだろう」
A:でもある時自信がなくなるんだよ。
C:自分の叡智に酔いしれてたのにね。
A:この感覚って根拠がないじゃん。センスじゃん。
B:「Aの方が絶対いいけど、全員Bを良いと思っているのでは?」
A:「もしかしたらBを良いと感じるセンスがわたしに無いだけなのかも…」
C:今考えると、根拠のないことに自信を減らす必要なんてなかったね。
A:そう。根拠がなかろうと、直感でしかなかろうと、とにかくやれば良かったんだよ。
B:目に見える形にしたら、他者の反応があるから。
C:それでまた、他人の感覚を取り入れるなり、入れないなりして。そうやって「その人のスタイル」になるんだよね。

A:ところでこれ。リハーサルルームなんですけど。

B:後ろにファドさんと思しき方が。
C:我関せず…。
A:ファドさんの関係者かな?と思われる女性が壇上に腰掛けてるんですけど、この方の着ているグレーの服の生地が、相〜…当〜…、むっちゃ良い生地に見える。
B:ファドさん、ものすごい権力者でしょうね…。
A:思い通りにならない女はいない!という感じの…。
C:こらこら…。
A:イメージ。
B:イメージよ。
C:偏見?
A:「ちっ、余計なことを…」
B:「今更変更なんて…」
C:こらこら。アテレコしない。
A:それに比べたらジョングクくんは完全に庶民だね!泣けてくる。
B:多分分かってないんじゃないか?アラブ圏で泣く子も黙る権力者が(イメージ)、どれだけの泣く子を黙らす権力(イメージ)を持っているか。
C:分かってて対等に接しているなら天晴だね!
B:天は人の上に人をつくらず。人の下に人をつくらず。
C:腰の低い勤労青年。泣ける。
A:うん。そうなんだけど。違うの。わたしが言いたかったのはここ。

A:全く物怖じしてない。ファドさんが何者だろうが。「ステージを成立させる」。それが現状成立してないと感じられるなら、現時点でそのことに自分しか気づいていないなら、思ったことは全部やる。全 員 巻 き 込 ん で 、や る 。
B:目が確信に満ちてる。
A:それでね。これこれ。見てくださいよ。本番前。
B:スタンバイに向かうところでしょうか。
C:おそらく。

B:落ち着いている。
A:落ち着いている。
C:安定している。
A:緊張しすぎてない、興奮しすぎてない、ナーバスになりすぎてない。すごく良い、ハイバイブレーションで巡っている状態に見えるでしょ。それからこれも。直前。

C:コンセントレーション…!
B:すごい目だね。
C:集中してる。
A:ステージに完全フォーカスしていて、何にも阻害されてないでしょ。そんでこれ。ステージ終わった後です。

C:普通だ。
A:そうなのよ!
B:普通に見えるね。
A:そう!彼は、「これからステージに上がるぞ」「ステージをやり遂げたぞ」と、凡人が一番精神的にテンションがかかるシュチュエーションで、最も「その状態の自分が普通」の人に見える。
B:…はあーん!スナイパーが、引き金を引く瞬間、前後、最も負荷をかけないノーマルな呼吸をしているみたいな?
C:その例えでいいのかな。
A:その例えでいいか分かんないけど。彼が最も普通な状態は、ステージの前後。準備している時。脳内でイメージがばちばち弾けている時。彼は最もナチュラルな状態なんじゃないか、と。
B:普通の人にとっての「非日常」な状態が、彼にとっては「ノーマル」だと。
C:そういう特殊な状態に最適化されてる人なわけね。
A:わたしが舞台のスタッフをしていた時、故蜷川幸雄さんの現場がありましたが。他の方が、「(彼は)現場が好きなんだよ」と言ってたけど、本当に、朝行ったら必ずいるし、どんなに遅く稽古場を出る時も、まだいる。ずっといる。
B:公演にもほとんど毎日見に来てるって聞いたね。
A:本当に、心底現場が好きなんだなあ…と思って。
C:そういう、家にいるより、稽古場にいる方が自然体の人ってのがいるね。
A:いつもたむろってる部室みたいなね。
B:生徒会室ってなんか、そういう感じあったよね。仲間しかいなくて。プレハブの二階。暗くて。
C:夏は暑くて。冬は寒くて。
B:妙な居心地の良さとというか。家よりくつろいでいるというか。
A:行けば必ず誰かに会えて。
C:人によっては、稽古場ってプレッシャーでトラウマ的な体験する人だっていると思うんだよ。
A:もちろんいるね。でも水を得た魚みたいなタイプもいるんだよな。
B:あとさ、歌舞伎の仕事で、夜に金髪の子供がいたじゃん。
C:劇場の楽屋通路にね。
A:夜10時とか過ぎてたかな。
B:見た目的には「小学6年生かな…?」くらいのちっこい子。ガキ。
C:ひとりでうろうろして。
A:えっ、幽霊…?錯覚…?
B:で、口悪くてな。
A:あれ、ママはどこに…?
B:そしたらその子、中学卒業したばっかりで、中卒で働き始めた、専門職のスタッフだったんだよね。
C:床山さん(カツラを扱う)の、お孫さんだって言ってたね。
A:わたしなんかより全然歌舞伎、めちゃめちゃ詳しいんの。
B:もう、プロ。金髪で。ガキで。
A:それで、なんて言うんだろ。「俺の庭」って感じなんだよね。その、劇場の裏、楽屋と楽屋をつなぐ通路、その全体の、ちょっとした迷路の様な構造の。雑多で、狭いところに大量のモノが、完全に秩序立てて積まれてあって。
B:「俺に聞いて」って感じでな。
C:そこが彼のHOMEだったのかな。ゆりかご。育った場所。
B:それで、かつ「好き」だったんだろうね、あの空気感が。それで仕事として選んだ。高校よりもそこが自分の居場所はそこだと思ったんだろう。選ぶべくして。

A:先日、ジョングクくんがWeverse live(2023.3.4)内で、「初視聴」だと言うj-hopeくんの【on the street(with J. Cole)】を見ていたんですよ。その、じっと見ている横顔が。
B:すごくじーんときた。
C:なんかぶっといチューブをお腹にぶっさして、直接ごくごく栄養を摂ってるみたいに見えたね。MVから。
A:この方、音楽の、特にボーカルに含まれるパワーを生命エネルギーにして生きている人なんじゃないか。そのくらい切なな気配があった。
C:アルバム『BE』で、ジョングクくんがキュレートした部屋を思い出しました。
B:あまりの暗さに、noteまで書いてしまった。

A:同じなんだよ…。
B:根底で変わってない!
A:もちろん、宿舎を出て、それぞれがそれぞれの場所に一人暮らしを始めて、「なんて楽だ」と思ってると思うんだよ。開放されて、一人で好きに使える空間で、のびのびして。
B:深夜にカラオケしても誰も文句を言う人はいないし。
A:自由で、全部を采配できる一人の暮らしを、心から謳歌している。
C:「自分はこうでなくっちゃ」
A:でもその意識の、最底辺に、吐きそうなくらいの孤独が。叫んでいるのが聞こえるような。
A:フォローさせて頂いてnoterさんを見ると、やっぱりジョングクくんのliveから寂しさを感じるみたいで。
B:同じよ…。わたしもよ…。

A:だけどさ、寂しくて、当たり前なんだよ…!彼は、今25歳で、2度HOMEを失っている。
B:1度目は家族と、育った家と、故郷を。中学生の時だね。彼にとっていつでも帰れる場所じゃなくなった。
C:2度目は去年。
A:否が応でも誰かの気配に守られ続けたメンバーと暮らす家、2番目に得たHOMEも失った。
B:この「メンバーと暮らす家」は、おそらく不可逆だろう…。
C:多分、この先再現されることはない。
B:釜山の実際の家族だって、そこを自分のHOMEと呼ぶには、時間も距離も置きすぎてしまっているんだろう。
A:今、深夜にカラオケしても苦情が出ないくらいに、日中も、夜も、他人の気配から遮断された空間。そのひとりで住むソウルの高級マンションの一室だけが、この世で唯一の彼のHOMEになってしまった。
B:これまでと対極の空間。
C:拠り所として、いつでも帰れて、いつでも受け入れてくれて、そんな場所がいつでもあり続けるべきなのに、彼はまだ長く生きていないにも関わらず、二度失ってる。
A:メンバーたちは当初、歳が上なだけで、決して大人ではなかったじゃない。それでも必死になって、思春期のジョングクくんを必死で、何かから守ってきた。その情熱を全身に受け取って、彼は成人していった。
C:不可分だった、好むと好まざると自分の一部だった「家族」にさ、アポがないと会えないくらい、完全にセパレートされてしまったんだもんな。
B:寂しくて、しょうがなくて、そんなの当たり前だよなあ!

A:わたしはさ、ジョングクくんが、【on the street】を観て、彼は何を思っているのかな?と思った。ジョングクくんはj-hopeくんと違って、ストリートを経ていない。
B:幼いうちに故郷を出てるからね。
A:育った街の、路上の、道脇で、自分が獲得した居場所を持っていない。
C:バックグラウンドを持っていない。
A:だから、j-hopeくんが「自分はまだ路上にいる」と、アイデンティティを表明するのを聞いて、ジョングクくんに無いものをj-hopeくんが「自分の居場所だ」と言うのを聞いて、彼は何を思っただろうか、と思った。
B:最近、グラウンディングをテーマにnoteを書いていたからね。
A:メンバーたちそれぞれ、「地に足のついた感覚」を手に入れるのが、今後の人生において、精神的な死活問題になりつつあると思うんだよ。どこが心のフィールドか。精神の住所。
C:メンバーそれぞれ、「どうやらここ」という位置情報があって、それはアイドル以外の場所に持っている場合もある。自我が生まれた場所。
A:ジョングクくんだけがない。
B:幼かったから。
A:でもね、FIFAのバックステージ見てたら、「あ、ここだ」と。ジョングクくんにとってのグラウディング、地に足つけるの「地」、フィールドはここなんだ。
B:リハーサルルーム。
A:そ う な ん だ よ !
B:現場がHOME。
A:そういう浮世の感覚から別のところで自我形成した人って、芸術家とかもそうだけど、「他人」に対して独特の感じ…。
B:結局、ムラ社会とか、「地域」「集落」を経験していないから、人間関係が全部「契約」か「愛憎」なんだと思う。
C:PTAみたいに「個人的な好きとか嫌いとか、全く関係なく、ただ集まってる」っていう関係を、知らない世界で育ってる。
B:たまにコメントにある「恋人になってください」「結婚してください」に、「僕は簡単じゃないですよ」と応えてたけど、
C:その通りだと思う…
A:本当にその通りだと思う…
A:ある種の芸術家の人って…例えば…食器棚にTVが入ってたり、下駄箱にビールを入れていたり…本人にとっては合理的なんだけど、本人以外の人には思いつきもしない、という世界に生きているじゃない。
B:家の中がカオスに見える。
A:でも本人にとっては自然なんだよね。
C:そう。それで、そこに妙な美しさがあるんだよね。代替のない。
A:その意識の阻害されていなさ、感覚のフレキシビリティは、同時に「孤独」を、染み染みと発している。普通の人の感覚を共有する世界から離れている。望むと望まざると。
C:そのセンスは、財産でもあり、美しく、掛け替えのない感性であり、個性であり、そして、孤独。
A:ジョングクくんを見て、不安が掻き立てられるような気がするのは、自分の中にある孤独を刺激されてるんだよ。
B:そうね。自分の中にもある、例えば鬱っぽい気質を、刺激されるから、「わたしはどうなっちゃうんだろう」という、自分の不安に対して動揺する。
C:「心配」は相手のためにポジティブな行為の様に見えるけれど、「心配」という名の下に、自分の「不安」をごしごし刷り込んでる場合があるからね。
B:よくある。
C:相手の姿の中に、自分の可視化されない不安を見るんだな。
A:ほーーーーーらーーーーーーー!!ここで!白髪の話が!効いてくるわけだな!はん!!!
B:しかし、心配したって物理的に何も関わりようがないからな。
C:自分にとって心地よい感情、それが相手にとっても気持ちよく感じる、そういう状態の「気」を持つしかない。
A:想っただけで届いちゃうからね。
C:わたしはね、彼が芸術家として生きていくために、ここと正体するのはどーーーーーーーしたって必要なことだと思う。この孤独は彼を成長させますよ。
B:芸術家には、孤独は栄養ですか。
A:孤独は友達。
C:そこにあるものが分からなかったら、自分が何で安心する人か、何でクリエイションするのか、分からないもの。だから、彼を信頼して、彼は必ず孤独を自分の養分にすると、信頼して、
B:見守るしかできない。
A:見守るしかできないねー!
B:結局この孤独って万人に共通だから。
C:これをごまかしごまかし、感じない様に生きるのが現代社会で。
B:見えないからまるで、そこに無いかのように思えるけど。
A:普通の人が普通に正体するには、怖すぎるんだと思う。
B:孤独で。だから何をするか。
C:深まったら深まった分、彼がリハーサルルームで取る行動に還元されるんだと思うよ。
A:地に足つけて。
B:彼にとってのHOME。彼の全部を育んだstreet。安心する場所。力の湧く場所。アイデアの、ポジティビティの発揮される場所。
B:あれだけ能動的に構成も進行も仕切れるなら。まだまだやってみてないことが、どれだけあるかっちゅう。
A:見守るしかできない。信頼して。これは必要な孤独だ。糧になる孤独だ。
C:その方がポジティブな態度じゃない?

A:ということで。黄金マンネがさらなる成長期を迎えていることを見守りたいと思います。
B:ざわわ…っと不安を刺激される時は、「そうだよなあ。寂しくてそんなの当たり前だよなあ」と。
C:じたばたして。
B:じたばたして、逃げて。でも逃げられなくて。
A:それでなんとか消化しようとして。
C:それはすごい力になるんだよ。
A:信じよう。
B:それではまた!
C:ばいばい!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?