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BTSのアルバム『BE』のリアクション・テキスト

今回のパクチーは、アルバム『BE』の

リアクション動画ならぬ、リアクション・テキスト

をお送りしたいと思います。
アルバムを最初に聴いた時のフレッシュなインスピレーションを残しておきたいなと思って。

未聴の方は、パクチーのいらん先入観が入ったらいけないので、ぜひ先にアルバムをお聴き下さいね。

パクチーの聴き方と、皆さんの、似てるところや違うところがあるのを、面白く思ってもらえたらなと思います。


『Life Goes On』

MVもすてきだった。そして、歌詞を見て、

『ON』みたいに「痛みを持ってこい」と、
「痛みをもたらす何か」でなく、
『Black Swan』の時みたいに、自分の暗闇面でもなく、

聴いている人。
彼らを好きでいる人だけを見ている。
ファンに正対している曲なんだな、と思った。

シンプルなコード進行が、ずーっとずーっと繰り返され、
シンセサイザーのふわふわした音が、妖精の国みたいな、優しい広がりの中に連れて行ってくれて、
メロディーは同じ音の周りをゆらゆら巡って、
優しい子供の歌のような、子守唄のような、

しかし強い祈りの曲だなあと思った。

音楽が、祈りのために機能してきた歴史は、とてもとても長くあって、音が空間を浄化したり、人の体に影響を与えたりすることは日常的にある、とパクチーは思っている。
その力をBTSが、今積極的に使っているんだなあ、と感じる。
ファンたちに正対した奇をてらってない祈りの曲を、ファンダムがぐんぐん拡大している今、リード曲に持ってきたところに、彼らの持っている「自分たちの役割」意識を感じる。

リピート再生して気づいた、終わりの部分の歌詞

♪ 〜 I remember 〜

の、バックコーラスの加工された声の「I remember」が、イントロで流れているのに気づいたらば、曲中もずっと繰り返し流れていた。
この「I remember」は何を指しているんだろう。赤ちゃんの声のような「I remember」。そしてレコードの曲が終わった後のノイズのような音の中で終わる。パクチーにはあるイメージが浮かぶ。悲しい気持ち。
個人的には、SUGAのラップが、MAXさんの『Blueberry Eyes feat. SUGA』みたいにこれでもかってくらい優しくて、泣けた。


『Fly to My Room』

これまでのジミンくんとVくんの自作の曲の中に感じたテイストが、さらに豊かにさまざなな要素を取り混ぜてパーティのように仕上がってる感じがしました。
個人的にはVくんの声が、多分彼はウィスパーボイスに近い、息がたくさん混じった声が、彼のある感情を表現するのにフィットしていると感じているのだと思うけれど、今回この曲で、その声を使いながら、歯切れよく、テンポに乗って、やや軽いトーンで歌っている。
今までと、違う雰囲気の表現を見つけたように見えて、そのチャレンジも素敵だし、獲得した表現も素敵だと思いました。


『Blue & Grey』

感性を開かせてくれる楽曲じゃないですか…?

外で、密着型のヘッドホンをしてこの曲を聴いたとしたら、
目に見えるあらゆる景色が映画のように美しく見えるのじゃないか。
陽の透ける紅葉も、
子供達が体を目一杯使って遊ぶ様子も、
人々がコンクリートの上を一方向に流れて行くのも、
貴重な一瞬のように、
光の粒が飛び回っているように見えるんじゃないか。

SUGAのラップが始まるところから流れる、高い音のピアノの素朴なメロディー。その後寄り添うように重なってくるアルコのベース音。
ジンくんの声と共に始まる、心臓の鼓動のような音。
1つのチームにラップラインとボーカルラインがいることの意味がここにあったのか、と思える程の、ラップセクションとボーカルラインが歌うメロディの調和。
歌詞は、大人の悲しみだった。
この曲も祈りの曲だなと思いました。ずっとシンプルなコードが繰り返され続ける。身体の不具合をマッサージや整体に行って整えるように、聴き手の精神的のトーンを、調整してくれるような音楽だと思いました。


『Telepathy』

SUGAがめいっぱい、使ってる音源も曲調もラップの声質も、ポップに振った楽曲だな!という印象。後半のジミンくん、ジョングクくんの伸びの良いオブリガートが気持ちいい。
うまく、調度良く、エネルギーが解放されてる曲。楽しんで欲しいという気持ちが詰まってるように聞こえる。ライブでこの曲を楽しもう、この甘々の歌詞を目の前で歌うよ、それまでちょっと(잠시…原題、日本語で「しばらく」の意)待っててよ、って意味なのかな…。
この曲でお掃除機とかかけたらはかどりそうだわ。


『Dis-ease』

あああっ…う、うわあああぁぁぁぁぁ…。
サビのところ、
♪ 〜 Everyday 나를 위로해 〜
のところからのコード進行(C→Cm→A♭→Fm、だと思うんだけど…)、地面がさーーーっと落ちて行くような浮遊感。誰なの!?この曲書いたの!ホビなの?!誰!!出て来なさい!!!

カッコよすぎます!!!!!!!!!

これ、あれじゃないかなあ、クラブの人とかもかけちゃうやつじゃないかなあ…もうPOP枠を、ジャンル枠をこの曲はぶち壊しちゃったのじゃ…。
ボーカルラインがラップ寄りなフレーズを歌ってるのも最高にすてきだった。ライブで見たらパクチーふっとばされてどろどろに原型留めず大変なことになっちゃうかも…。
個人的にはRM氏のリリックに、深い意味があるように感じました。


『Stay』

歌詞は希望を、明るいビジョンを歌っているのに、切なく引き裂かれそうな気持ちになる。すごく強い気持ち、必死に訴えている何か。
「Stay」という単語が、楔のように聞こえる。
「Stay」「Stay」「Stay」…と言う度に、そこにガツン!ガツン!と打ち付けているように。そこにいろ!と。ただ、地面に足をつけて立っていろ!立ち続けられるために、足に楔を打っているように聞こえる。命が滑り落ちないように。落ちそうになっても引きずり留めておけるように。

もともとジンくんとジョングクくんは、地声で高音を出した時の高い倍音が強くて、この曲ではそれがさらに強調されている(高音でギーンって感じの頭を締め付けるような音、聞こえるかな。金属っぽい感じ)。
これがより、「楔」の金属のイメージと、必死で切なくて、でも訴えている感じを出す効果になっているように感じる。

ふと、BTSの元にはファンたちの愛のこもったファンレターが届くのと同様に、違った相の手紙も届くのかな…と思った。何もしなくてもいい。何が出来なくてもいい。『BE』。そこにいるだけでいいと、必死で言わなくちゃと思うような。憶測だけどね。


『Dynamite』

この曲テンポ速めに感じてたけど、『Stay』の後に聞くと、のんびり、ふわっとした感じに聞こえる。知っている曲だからより、この曲までたどり着いてホッとする…。

ちょっと重たい世界に痺れたパクチー、この曲でグラウディングするのか…なるほど…と思いきや。

…あれ?まさかこれ歌収録し直したの?
いやいや、まさかそんなことするはずないし。
と、動揺するほど、もはや単純に楽しいディスコナンバーに、パクチーには聞こえなくなってしまった。

♪ 〜 Dyn-na-na-na, na-na-na-na-na, na-na-na, life is dynamite 〜

の、メロディーの同じ音の連なりが、
オケでホーン隊の順次の下降が、「ド#、シ、ラ、ソ#、ファ#、ミ」と一個つずつ順番で降りてくるだけなのに、それだけでもう、

切ない!切ないよー!

『BE』を聞いてしまった後では、彼らの胸の中に様々なことが起きてさえ、
「ただ楽しんで聞けるものが癒しになると思った」なんて、ただ楽しい楽曲を、わーいポップだなあ、とお気楽に聞いていたパクチー。この曲。

どれだけのことを飲み込んで「ただ楽しい」「シンプルに楽しい」「喜びばくはつ」をこの曲で表現しているのか…。


蛇足

MV、楽しみにしてたし、彼らが制作に関わると知って彼らのクリエイティブ能力を頼もしく感じたよね。そしてパクチーは今の気分に一番寄り添ってくれてる映像に感じられて、今一番好きです。

個人的には、彼らが車で移動しているシーンも、郊外の一軒宿でリラックスした時間を過ごす風のシーンも、これまでのコンテンツでリアルな彼らの絵を見慣れているからか、フルメイクの彼らからは「お仕事行きます!」「お仕事モードです!」という気を感じてしまったので(実際にそれが事実なんだけど)、いつか、ナチュラルな彼らの、毛穴とか産毛とか見えるような(実際に見えなくてもいいんだけど)自然な映像でMVが見てみたいなあ、なんて思いました。


それではまた!






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