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黄金マンネ、ジョングクくんの部屋が深海のように暗い理由

2020年BTSのアルバム「BE」。
そのコンセプトフォトは、メンバーそれぞれが空間と自分自身をコーディネート(キュレート)する、というものでした。

次々に公開されるメンバーの作る空間のレベルの高さと、メンバー自身の美しさに皆がため息をついた頃。

「黄金マンネ」(なんでも出来る末っ子)と呼ばれるジョングクくん、ことグクの番になった時、そのあまりの暗さに驚いたのは、きっとパクチーだけではあるまい…!

じゃーん!

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グク………!!

ちなみに、11月5日にこのグクの部屋が公開される数日前、10月29日に、グクからの手紙が公開される。

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From. Jung Kook  I realized once again during our concert that singing and dancing in front of ARMY is the reason I exist. Dear ARMY, what would BTS be remembered as in your life?  - ジョングクより、この間のコンサートの時、僕は改めてARMYたちの前で歌ったり踊ったりすることが、自分の存在する理由だと気づきました。ARMYたち、BTSはあなたの人生でどのような存在だと思いますか?(注:パクチー訳)

パクチーはなんと、このお手紙にお返事を送りました。自分の、2年前くらいの自分の日記を元に、しかして日本語で。

『深いところで、海の底、比重の重い水だけが下の方に溜まっていて、もっと溜まって純度が濃くなって、取り出せるくらい、それが何なのか?わたしが知りたいのです。その海の底に向かって、光を、言葉を、栄養を与えて、その刺激で再構築されるのを、じたばたしながら進行させているのです。人とつながりたい、そんな深いところにもっている何か重たい水のようなところで、あなたも、あなたも持っているそんな、あの世に持って行ける荷物、そこであなたと、あなたとお話出来るのを待っているのです、
わたしは、あなた方7人が、そんな部分でコミュニケーションをとり合っているように見える時があります。そしてしばしば涙が出ることがあります。それは、「人はこんなにも深く他人と信頼関係を結ぶことが可能で、それはわたしの人生にも誰かとの間に起こりえるんだ」ということを知って感動するからです。』

ここでパクチーが書いた、2年前のかつてのパクチーが感じていた、
「深いところ、海の底」
そこは誰の言葉も届かない、光も届かない、自分一人だけがいる場所。

なんだか、グクの部屋にいるグクの、心のある場所とリンクしているようで、自分でも驚いてしまった。


何でも出来る子の苦しみ

この黄金マンネ、本当に!やらせれば何でも出来てしまう。
その飲み込みの早さと、アウトプットのレベルの高さは、すでにキャリアのあった先輩メンバーをも感嘆させる、羨望させるもので、「黄金マンネ」とはリーダーがつけた二つ名である。

実はパクチー、子供の頃からやらせたことは何でも出来る、神童と呼ばれた子供であった(自慢するつもりじゃないんだけど…今何者でもないので、本当に…苦笑)。

グクは、16歳でデビューして、大人ばかりの世界で、大人として、かつプロとして振舞うことを求められる、社会人として働き始めるのである。
「あなたはこれをしなさい」と言われることは、いつでもプロがするべき最善のことを提示されていて、「してもしなくてもいい」のではなくて「必ずしなければならない」。そこには無駄はないし、学校で級友たちとするような、試行錯誤や時間をかけて失敗したり、脱線したり、ふざけたり、する余地はない。いつでも正しい「答え」だけがそこにあるのである。

そして求められることに応え続け、かつ「どう努力しても応えられない」ということがあまり起きずにいると、自分の回りが「人から求められてやってきたこと」のみに囲まれてしまって、本当に自分がどうしたいのか、どうしたかったのか、自分が何を好きなのか、分からなくなってしまうのである。
(グクが研究生時、アイドルでなくダンサーに転向しようと考えたのは、ダンスがこれまで彼がやってきたことに比べると、上達が難しかったからではないか。すんなり出来ないことに、やりがいを感じたのではないか?と思われる。)

表向きは、何も困ったことは起こらない。
周囲も、求めたことを求めていた以上に返してくれる、大変に素晴らしいことである、と評価する。

自分の本音、が生まれるところ、に、向き合ってこなかった自分。
自分の本音、が生まれるところ、を気にしない周囲たち。

外側ばかりが華々しく、素晴らしい技術や表現や賞賛が山のように積もっていても、自分の内面は空虚であるように感じる。そこは砂漠のように荒れて、何も育っていない。
「あなたは何がしたいの?」
周囲が求めることに応え続けていると、どんなことを周囲が求めているのか分かってしまう。考える前に周囲が求めそうなことを自分からしてしまう。自分は本当にそれをしたかったのか?自分がそうしたったのか?考えても分からないくらいに、体が考え抜きに動いている…。

「自分がない」
「自分がないのに何も困ったことが起きない」
だけど、本当の豊かさは内面の世界にあることをグクはよく知っている。だって自分にたくさんの豊かさを分け与えてくれた兄さんたちは、年長のメンバーたちは、その内面の豊かさゆえにグクの思春期以降の情緒を育てることが出来たのだから。

「自分の全ては兄さんたちにもらったもの」
じゃあ、兄さんたちにもらったものと、自分自身がもともと持っているものの境目はなんだろう…。
そこで、自分には兄さんたちのような自分だけの世界を育てる機会と時間を持ってこなかったことに気づく。

そう。この部屋は、
「音楽」の持つ豊かな力を命綱に、
子供の時代なく大人になったプロフェッショナルの部屋なのだ。


とはいえ、めちゃめちゃ美しい

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じゃあ、内面の世界がなかったらいけないの?

そんなことはありません!!
あろうはずが、ありません!!!
というのが、この写真を見たパクチーの答えです。

完璧な写真…。
これがパクチーの感想です。
彼が過ごした時間は、こんなにも彼を美しく磨き上げたのです。そのことに価値がないわけないではありませんか。
彼の努力、ひたむきさ、忍耐、素直な心は、こんなにパワフルな、完璧な舞台人を作ったのです。この美しさが、抗いがたく強く人を惹きつける魅力がある証拠に、この二つの写真が公開されて後、Big Hit(彼らの事務所)の株価がなんと13%も上がったそうです。株の世界で、1日に10%以上株価が上がるのは、大変珍しいことなのだそうです。


心配しないで、グク…

パクチーは、そこに深海があって、何も育っていないことを知った時、呆然としました。それは、自分は幸せには程遠いと思うような、不安で、心細い状態でした。普段は気を張って全てのことをそつなくこなせても、ふとした時に自分の中が空っぽだと感じる、空虚さや虚しさと日常を行ったり来たりすることが、情緒をより不安定にさせました。

そこで、自分がその時々、その瞬間何を思って、何が良くて、どうしたいのか、一度深呼吸して考えて、それから言葉を発するように、自分で自分の気持ちが分かるように、少しずつ練習しました。とっさに自分が思いつくことや、とっさに出る行動は、「相手がしてほしいだろうこと」であることが多かったからです。

そして、何もない海の底を眺めながら、そこに何かが生まれるのを待ちました。
温かい言葉をかけ、きれいなものを見せ、少しの時間でも光が差すように。自分で自分に関心を持ち続け、その空間を育て続けました。

いつかは、その場所の扉を外に向かって開いて、
そこから外の世界を感じられることを夢見て。
そこにいる自分のまま、他者と接することが出来るようになるのを夢見て。

そしてある時、自分の幸せのイメージが、
「嵐の中、荒波に揉まれる灯台の光を目指すような」ものから、
「陽だまりの中の草原で、裸足で寝転んでいるような」イメージに変わったことに気づきました。
初めは、寝転ぶと足は出てしまうくらいの陽だまりでした。
しかしそれは時間をかけて、見渡す限りの日向の平原になったのでした。

もう自分を不安定にさせる要素はありません。
自分はもう十分幸せだから、せめてどうか自分のまわりの人たちが、心地よく、その人自身が望む状態でいられるように、と心から願えるくらいに。


ということで、自分とグクを重ね合わせて考察するなんて、世の方々からしたら噴飯ものだと、もちろん分かっています!
グクの胸の内が本当はどうかということは、もちろんパクチーには分かりません。
ただ、彼がまだ23歳で、やがて全てを理解するところまで成長し続けるであろうその過程で、ちょっとパクチーが自分のことを振り返ったり思い出したり、彼が自分で「足りない」と思う部分があることを含めて、完璧である、愛おしい存在だよ、って言いたかったんだと思います。


グク、最高に綺麗だよ。





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