見出し画像

同じようにカカトは上がるけれど、山スキー<AT>とはどう違うの?

テレマークと山スキー<AT>の違いを考えてみると、「滑る」ということではとくに大きな違いはありません。山スキーでは滑られるけれどテレマークでは滑られないといった雪質や斜面状況は無く、強いてあげれば山スキーの方が重い荷物を背負っての滑走に適しています。テレマークの場合も重い荷物を背負って滑られますが、それよりは軽い荷物でその機動力を最大限に活かし野山を駆けめぐる方がテレマークらしいといえます。

遊び方で例をあげると、山スキーは山から山へと山小屋やテントを使った縦走に、テレマークはベースキャンプをつくり、そこから軽い荷物で良さそうな斜面を登っては滑りまた登っては滑るといった遊び方が合っているように思います。

以前、スキー仲間と旭岳ロープウェイの姿見駅から少し歩いたところにベースキャンプを作り遊んだことがありました。まだ若かった(いわゆる奴隷隊員)だったこともあり、そのときの荷物は30キロ近くありました。行きは駅舎からそれほどの高低差ではなかったのでただ重い荷物だとしか感じなかったのですが、いざ帰りの下りとなると楽しんで滑るといったわけにはゆきません。いつもよりスキーにかかる重さが増えた分スキーはグルグルと回るものの、リズムをつくるために上下動などできるわけもなく、ただただ「松の廊下」のようにすり足で前後を切り換えて滑り降りました。
 
テレマークと山スキー<AT>の大きな違いは「歩行と登行」にあります。プラブーツが主流となった現在では以前の革靴の時ほどの感動はありませんが、それでも機械的な山スキーの歩行に比べ、より日常の歩行に近い感覚で歩くことができます。また、テレマークの場合、脚を持ち上げてもスキーがブーツから大きく離れることがないので階段登行をしたりキックターンがいつでもできますが、山スキーの場合、カカトを固定しないままでは脚を持ち上げてのスキー操作があまりうまくゆきません。ただ、深雪では山スキーのようにパラリとスキーがブーツから離れる方がラッセルがしやすいので、テレマークの金具でも山スキーのようにパラリと離れるウォークモードがついたものあります。

テレマークと山スキー、どちらを始めようかと悩んでいるならそれらのスキーが持つ性能ばかりを考えず、まず自分がどんな遊びをしたいのかを考え決められることをおすすめします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?