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人・土地・歌

前回の続き

沖縄国際アジア音楽祭 musix2010

2010年3月のイベント開催に向けて、再度台湾に渡った。多くの出演者がいたので、行程確認と、技打ちを行うためだ。
ある程度訪問し落ち着いたので、THE WALLのカウンターで飲んでいると、
自転車に乗ったThomasが現れた。彼はSKARAOKEというバンドをやってて、とても気さくでいいやつなのですぐ仲良くなった。
そして、TOTEMもSKARAOKEもみんなで沖縄にも来てくれた。

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沖縄国際アジア音楽祭 musix2010。この年はすごく盛り上がったと思う。
台湾の他にも、韓国、アメリカ、オーストラリアからも主演者がいた。
国際通りを封鎖し、ライブハウスを周遊できる仕組みにして那覇で65,000人、沖縄市で15,000人が訪づれ音楽の島を楽しんでくれた。
関連のホール公演や、NHKやOTVと一緒に企画したステージ、Yahoo music小林氏や、Myspace後藤氏など告知の協力もあったので、音楽ファンにも周知することができ、みんなで分担して、ライブハウスやBARなども含めて街中で音楽事業に関わる人たちが多くいたのが何よりもの成果だった。

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台湾を行き来する生活

沖縄でのイベント開催終了後、僕の仕事は、沖縄音楽海外市場開拓事業を受託とした音楽出版社に移った。2010年4月からは、月の半分を台湾で過ごすことになった。
事業名の通り、台湾市場動向や法務・著作物や版権管理などリサーチして、沖縄の音楽家が海外で活動するためのノウハウを作ること。台湾という山の大きさが、まだわからなかったので、毎日、音楽関係者にアポを取り、ヒアリングして状況の把握をした。そして頭の中で個々の関係性、相関図をまとめた。

角頭音樂 TAIWAN COLOR MUSIC- TCM との出会い

僕の目的を知ったThomasに、『角頭音樂 -TAIWAN COLOR MUSIC- TCM 』という音楽事務所に連れていってもらった。
市街地の国道沿いにある、台湾ならではの建物。急な階段を登ると、歴史がある落ち着いた事務所があった。そこには、飾らない、気さくな人たちがいた。

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貢寮國際海洋音樂祭(英語譯名:Ho-hai-yan Rock Festival)や、Love Love Rock 愛愛搖滾帳篷音樂節などをプロデュースするこの事務所は、海外にも台湾の音楽家を積極的に展開する事業を計画していた。僕が行くと、必ず食べ物が出てくる。果物やお菓子、惣菜。言葉はあまり通じないけど、お腹が空く時間になると、おやつが出てくるので、週に何度も通った。

角頭音樂の人たちも、僕のことを理解してくれようと、できるだけ誘ってくれた。そして、SKARAOKEとALL JAPAN GOITHのSplit Albumをリリースし、沖縄と台湾、両方でリリースライブを行うことになった。


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TCM049 SKARAOKE ╳ All Japan Goith SPLIT CD Pride of Asia 亞洲的驕傲

SKARAOKE Facebook

All Japan Goith(改 SKAしっぺ)Facebook

沖縄音楽海外市場開拓事業

この事業は、インディペンデントの海外進出支援が目的だった。
取り組みの一つに、沖縄を拠点に置く、Spice Musicと角頭音楽を繋ぎ、SPLIT CDを日本と台湾で同時リリースする支援を行なった。だけど、Spice Musicが活動を休業することで、互いの距離も離れていった。

この事業(沖縄音楽海外市場開拓事業)は2年の予定だったが、僕は1年で契約を辞退し、その後、台湾での会社設立準備に動くことになる。

理由はあるがここでは言わない。

MUSIC ISLANDS OKINAWA

ひき続き、音楽の島 MUSIC ISLANDS OKINAWAを観光でも周知することを目標の一つとして立てた。この活動は、今でも続けている。


人・土地・歌

角頭音楽の人たちと話して行くと、考え方の違いに気付かされた。
僕は、常にMarketingやSalesベースで物事を考えていた。
しかし根本的なところでこの人たちは違った。
様々な作品のクオリティとレーベルのコンセプトに感銘を受けた。
そして、今までの僕の考え方が小さく思え、作品に向き合う価値観がとても変わった。

角頭音楽レーベルのコンセプトは、人・土地・歌。多くの原住民の作品をリリースしている。作品は、この土地でその時代の歌を記録するためのもの。
角頭音楽のアルバムは、商業目的に出版する事は主にせず、常にいい作品を世に紹介し続けている。

TCM 003 陳建年‧海洋
この人お巡りさん。2000年第11屆金曲獎を受賞した名盤。

台湾に住んでいる原住民は現在の台湾人口の約2%、台湾政府が原住民として認定しているのは16部族いる。その他にも漢化が進んでいる原住民もいる。原住民は植民地化や同化政策で、自分たちの土地や固有の言葉や文化などが否定されてきた。台湾でも長きにわたり、原住民の民権運動が繰り広げられていた。

原住民運動

音楽家もずっとメッセージを発し続けた。

近年、先住民族の基本的権利を保護し、先住民族の生存と発展を促進し、共存共栄する民族関係を確率するために、原住民族基本法が制定された。
また、2011年頃から、基本文化法の協議会が発足され、部門の設立後、芸術・文学界・関連学者、専門家、関連省庁および委員会の代表者集中的な協議を行うために各地域で『基本文化法案の公聴会』が開催され「基本文化法」の草案を可決、多文化主義を認識し、すべての民族・世代・コミュニティの自己識別を確保し、平等と自由な参加のための多文化環境が整備されていく。

2019年6月 文化基本法の公布。

先住民族の権利に関する宣言

2007年に採択された国連の「先住民族の権利に関する宣言」では、「植民地化とその土地、領域および資源のはく奪の結果として歴史的に不正に扱われてきた」としています。

日本では、北海道のアイヌ族だけが先住民族として認められていますが、沖縄の現状はどうでしょう。

很久沒有敬我了你(ヘンジョウメイヨウジンウォーラニー)

台湾で原住民の音楽が認められ、金曲獎を受賞したのは、歴史的にもすごく大切な意味を持もった。そして、角頭音楽の社長 張 四十三は、長年暖めてきた企画。映画、音楽、舞台『很久沒有敬我了你』をプロデュースした。
これは歴史的な瞬間でした。原住民ミュージカルが中正紀念堂国家音楽堂で実現したのです。

その後、このミュージカルは、台湾各地、海外で数万人規模の巡演を行い、成功をおさめ、作品は映画にもなった。

北京・香港への同行。

そして、他の事業でも角頭音楽の皆様と同行、北京・香港から日本に向けての報道を行った。

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2011.4/30~5/2 北京音楽フェス<STRAWBERRY FESTIVAL>に、初の台湾ステージ登場。

香港海洋音樂祭 2011-10/29.30  香港文化中心露天廣場

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日本市場へのプレゼン

東京国際ミュージック・マーケットTIMMに足を運び、原住民ミュージカルを『很久沒有敬我了你』を現地のオーケストラとコラボする形で日本で開催してくれるところはないか動いた。

しかし、僕の力不足で実現するには至らなかった。

沖縄でTCM TAIWAN WEEK

沖縄で、TAIWAN WEEKができないか?との話になる。
60名にも及ぶ出演者・関係者の受け入れ協力を会場に依頼。共催の申し入れを行った。2013年7月。Sakurazaka ASYLUM2013 TAIWAN STYLU TCM WEEK という形で実現に至った。
陳建年/南王姐妹花/巴奈/湯姆與哈克/保卜/查勞‧巴西瓦里/龍哥/柯泯薰

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その後、花東とのつながりへ

沖縄での公演の後、みんな自由な時間があった。
レンタカーを借りて沖縄を満喫したみんなからは、口を揃えて、花蓮・台東と同じだ。という声が聞こえた。そのあと、花東でも沖縄の話題が広がった。その後、2013年後半、鐡花村の鄭捷任や、HOMIから連絡があり、島嶼音楽季の構想が動き出した。

PASIWALI FESTIVAL

角頭音楽には、その後もお世話になっている。
PASIWALI FESTIVAL(原住民族國際音樂節)には、琉球チムドン楽団を招聘していただいた。今後も、ひき続き沖縄との交流の計画が進んでいる。


ずっとメッセージを発し続けている、巴奈のことも忘れてはいけない。




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