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1990年代のメタバース 〜「VR産業の冬」はなぜ来てしまったのか〜 ルイス・ローゼンバーグ博士

昨今はどのような分野においても「メタバース」というワードを耳にするようになりました。しかしメタバースは最近生まれたというわけではありません。実は1990年代にも1度メタバース含むVRブームがあったということを知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は黎明期のVR企業「イマージョン」の創設者であるルイス・ローゼンバーグ博士(Louis Rosenberg)の執筆記事を通して第1次VRブームについて掘り下げ、当時のVR産業がなぜ衰退してしまったのか、その歴史を紐解いていきます。本記事は、 ルイス・ローゼンバーグ氏(Louis Rosenberg)の「The Metaverse — of the 1990’s」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。

1990年代のVR産業と当時の展望

メタバースがとにかくもてはやされるようになった今日この頃、私はよく「1990年代のVR企業の経営はどうだったのか」と聞かれます。しかし一方では、1990年代当時からVRに取り組んでいた企業があったという事実に驚く人も少なくありません。

実際のところ、当時はかなりの数のVR関連のスタートアップがありました。そしてこれらの会社というのは、現代よりもはるかに大変な技術的制約が立ちはだかる中で、実に驚くべきようなことをやってのけているのです。

1993年、私は米国カリフォルニア州のパロアルトにある小さなオフィスで「Metaverse circa」のビデオを撮影しました。当時私はVRを主流市場に導入することを目標にImmersion Corpという会社を設立したばかりでした。

私はスタンフォード大学、NASA、そして米空軍のVR研究所で数年働いた自身の経験から、VRやARといったいわゆる没入型のメデイア(immersive media)が手頃な価格で簡単に使えるようになれば、将来必ず普遍的な技術になるだろうと確信をしていました。

当時の私は「VRは10年以内に広く普及するだろう」と信じていました。これは今思うと楽観的な観測かもしれませんが、当時からすれば全然そんなこともなく、しごく真っ当な予想でした。

しかもこのような見通しを持っていたのは私だけではありませんでした。80年代から90年代前半にかけてはVR関連の展示会やカンファレンスが盛んに行われ、VR関連の雑誌なども出版され、非常にクリエイティブで活気のある業界が台頭しました。

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当時のVR産業の発展を止めてしまったものとは
VR企業の「越冬」
状況を一変させた製品の登場
今度こそ「メタバース」は流行るのか


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