見出し画像

七百円の何か。

毎年十一月くらいになると、回覧板で、地元の神社のお正月セット要りませんか? という、お知らせが来る。毎年、お札は買うのだけれど、あれは、回覧板で注文していたのか(お正月セットも、お知らせも、買うも、注文も、神事で使う正しい言葉ではないのでしょうね)、それとも、違う封筒が回ってきて、それに幾らか入れると、お札はもらえるんだっけ? 
お札だけは欲しいなと思い、とりあえず、私は、七百円の何かを購入したのだった。

やはり、お札は、違う封筒にお金を入れることで、いただくものだった。
「△さん(私)、七百円のを注文してるけれど、いるのかな」
と、とりまとめをしてくださっている班長の〇さんに聞かれ、
「私、勘違いしちゃったんですよー、どうしようかな。今ならキャンセルできます?」
と、答えた。
「できるよー」
とのこと。私はしばし考えた。
「いや、せっかくだから買ってみます。もしかして、〇さんの手間になるならやめますが、どうですか?」
回覧板の注文で、何か頼む人はいないから。
「いやいや、神社の当番さんがうちまで届けてくれるみたいだからいいよー」
「じゃあ、注文しますー」

それで、十二月の冬至の日に、その七百円の何かと、お札が届いた。
七百円の何か。思っていたのと違う。
私は、お札の強化版(強化版とか本当にゲスイな)かと思っていた。しかし、〇さんによって届けられたものは、違った。
「お札と、あと△さんは、これもね」
「はい、ありがとうございます」

これ、どうやってどうやるんだろう。
竹の棒に、よく神社で見る、白い紙のぴらぴらが付いている。それが三本。あと、竹の棒に白い紙のぴらぴらが付いているのだけれど、他の三本とは違い、左右対称ではない。それから、白い紙のぴらぴらの束。それについての、やり方などの説明書はなし。

まあ、調べよう。そう思って、日々は過ぎた。
25日に、ロフトで買い物していた時、急に、あ、あれのこときちんと調べなきゃ、と思い立ち、実家に電話し、聞いてみた。
母「お母さんわかんないから、お父さんに聞いてみるわ」
私「うん、お願い」
父「なんだべ、わがんねなー」
私「そうだよね、ごめん、ありがとう」
まあ、まだ日もあるし、そのうちネットで調べよう。
ロフトはクリスマスと年末年始でお客さんがたくさんいた。プレゼントを買う人、お年玉袋を買う人、お正月飾りを買う人。

しばらく時間が経った。私はまだロフトにいた。実家から着信あり。
私「どうした?」
父「さっきのだげどよ、ゴヘイが、シデっていうんじゃねえか?」
私「ああ」
あれのことを調べてくれたらしい。
父「ネットでゴヘイがシデで調べでみろ」
私「ゴヘイってどう書くの?」
ゴヘイは御幣で、シデは紙垂と書くと教えてくれた。

親切だな。
それでも、その後も何も調べもせずに過ごす娘なのであった。昨日、また、あ、あれのこときちんと調べなきゃ、と思い立ち、ネットで検索。
父親の努力のおかけで、いろいろわかった。うちには神棚もないから、そっくりそのままやるのは難しいなあ。

きれいに清潔にすることが大事みたいだから、お札を立てている棚を掃除した。父の親切心に感謝し、今までのお札にも感謝した。そんなことをしていたら、きっと、大丈夫、これらを、神様世界的に正しく飾ることが出来なくても、大丈夫、と思えてきた。なんとなく、つながる心があれば、大丈夫。それで、三本セットの方を、一本ずつ、家にある瓶に挿して、家の中のいろんなところに立ててみた。

左右対称じゃない竹は、大晦日に夫が持ち、ふりながら家の中を回り、最後に家族の頭の上でふって、そのまま家の鬼門に挿そうと思う。それは、ネットに書いてあったので、たぶんそれでいいんだと思うのだけれど。
紙垂の束については、考え中。どうしたって神様は喜んでくれるし、許してくれる気がする。

読んでいただき、ありがとうございます。気に入っていただけたらサポートよろしくお願いします。