朝の中学校
中学校へ忘れ物を届けに行った。朝の中学校には朝の中学生がたくさんいた。朝の中学生は朝の中学生である友達に会うとおはようと言っていた。そして何か話していた。何を話しているかわからないけれど、話した後に、二人で笑うような話題なようだった。
朝の中学生は朝の部活をしていた。朝の部活に向かう途中の中学生もいたし、遅れそうで焦る中学生もいたし、静かに通路の落ち葉を掃く中学生もいた。
私は水筒を持っていた。朝の中学校で水筒を持っている私はとても不釣り合いなものに思えた。
朝の中学生は家を出た時から、友達に会った時から、中学校の門を入った時から、朝の中学生になるのだから、ここで私が水筒を持っているのはものすごく変に思えた。
水筒を持つ私に気付いた朝の中学生が、要件を聞いてくれた。朝の中学生である娘が呼ばれて出てきた。私は朝の中学生である娘に水筒を渡した。朝の中学生である娘は、すっぴん? と私に聞いた。そうだと答えたら、朝の中学生らしく笑った。
朝の中学生の邪魔をしたなと思ったけれど、水筒は大切なような気がするから届けた。朝の中学生の流れを逆流して学校から帰るのは気持ちが良かった。
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