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水曜日の曲紹介

午前九時半頃、私のスマホに、公衆電話から着信があった。何だろう、怖い、と思ったものの、すぐに相手が誰なのか見当がつき、電話を取った。
「あー、あのさ、イヤホン忘れちゃったの。パッドのイヤホン。四時間目に使うから、イヤホン届けてください」
「パッドのイヤホンって、黒いの?」
テーブルの上を見た。巻かれた黒いイヤホンがあった。
「そう黒。でも、なかったら白のでもいいよ」
「黒があるよ。どこに届けたらいいの?」
「下駄箱でも何でもいいから、暇な時お願いします。四時間目までね」
プー。もうすぐ十円が切れる。
「わかった、持っていく」
「ありがとうー」
ガチャリ。

暇な時って、専業主婦をなめないでください。暇だよ暇だよ、今すぐ持って行きます。私は車の鍵や財布などをかき集め、バッグに入れた。イヤホンはビニール袋に入れた。付箋に学年クラス名前を書き、ビニール袋に貼った。

外は雨だった。雨降りの通学は大変だなあと、今朝、思ったのだった。雨の中運転するのも嫌だなあ。まあいいか。中学校へ、車を走らせた。
イヤホンは事務室に届けた。中学校の敷地の中にいると、自分が不審者のように感じてしまい、ドキドキするのだ。中学校の事務員さんは、事務的ではなく、優しく対応してくれた。ご苦労様と、言われた。

帰り道。
しかし娘も、あんなに悪びれもせずに、よくもまあ、親にものを頼めるものだ。絶対に私が届けるだろうと信じているし、実際私は届けたのだ。なぜだ。どういう世界に住んでいるのだ。

娘の好きな人たちの曲を紹介します。
これを聴いていたら、ああなるよなあ。もちろん、悪い意味ではなく、良い意味で。


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