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昨日の続き

はたして、イエスキリスト生誕劇で、従妹は何役をしたのだろうと思い、彼女にLINEをした。だいたいいつも、すぐに返信をくれる。
「牛だよ」
牛とは。牛っていつ出てきた? 牛なんていたかなあ。
「牛いた? 実は馬小屋に牛もいた、みたいな牛?」
「マリア様のお遊戯でしょ?」
そう、と私は返した。
「牛で歌ってた。ズボンに穴があいていてやだなって思いながら歌ってたから、よく覚えてる」
私は謝った。
「ズボンをちゃんと準備してあげられなくてごめん」
従妹が年長なら、私はいくつだったのだろう。十三歳か。優しければ、きちんと準備してあげられたはずだ。私は何をしていたのか。
「いい思い出だよ」
それで、従妹が、さくらももこのエッセイを、すごく好きだったことを思った。
「信じられないかもしれないけれど、そういう牛にも喜びをくれるのがイエス様らしいよ」
「ありがたい」
「ズボンに穴が開いてる牛にも」

私は何役だったかと、従妹は聞いた。天使の長だと教えた。
「すごい! 天使に長いたんだ!」
役柄には性格が出るね。
「おにいは宿屋だよ」
と、教えた。
「宿屋顔。旅館の服着て、門の掃除してそう」
その後、くま君のケタケタ笑いスタンプを送り合って、フェードアウトしたのだった。



昨日の記事はこちら↓
https://note.com/bsyuhdl/n/n2d0f169aad09



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