ACL損傷予防プログラムの科学的基礎

最近読んだ本の中では一番面白く、ACLについてこれほど体系的にまとめられている本は読んだことがなかった。
第2章のメカニズムは特に面白く、その中でも第7節を書いている坂田淳さんの文献はもっと読んでみたいと思った。
第4章の予防も筋力が絡む内容については面白かった。


個人的なメモであって、営利目的ではないので購入しないでください。

第1章 ACL損傷の疫学および重要度

1. 疫学および経済的損失
受傷後のOAに関する記述が多かった。学生なら授業の欠席のために成績が低下したり単位を落とすことにも繋がること、社会人なら労働時間が減って給料が減るだけでなく、その介護をする者の時間損失までも記述されており、予防できるに越したことはないと改めて認識した。
また、手術やリハビリなどにかかる総額は17,000ドル(170万円程度)にものぼるとされ、受傷者の経済的損失がここまでのものとなることは初めて知った。
16〜18歳の受傷が比較的多いそう。

2. スポーツ種目
知っての通り、切り返し、ジャンプ、衝突の多いスポーツで多い。

3. 性差
ラクロスで男性が多いのは、男性はコンタクトが許可されており、女性は許可されていないルールであることが大きい。
コンタクトが認められている競技では比較的男性に多く発生し、基本的にノンコンタクトの競技でジャンプやピボット動作が多い競技には女性に多く発生している。

4. 発生機転
非接触型では減速時、ついで着地時に発生したとする論文があった。
接触型の損傷機転は外反、内反、過伸展の順で多かった。同じ論文。
既知の通り、膝軽度屈曲位、外反位で好発、回旋については一定の見解がある訳ではない。

ここから先は

1,296字 / 34画像

¥ 10,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?