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人を見て取引を決めることの大切さ

商品の仕入れ、WEBやデザインの外部依頼、店舗建設、内装工事、専門家への依頼等、自分以外の他者に仕事を依頼することが多いですね。その際、出来るだけ失敗するリスクを抑える方法を実体験を交えながらお伝えします。

バイヤー時代の仕入れの失敗が教訓に

私は、サラリーマン時代、大阪船場の衣料品問屋の小売事業部で衣料品バイヤーをしていました。中堅規模の衣料品問屋の新規事業で小売事業に進出し、自社でディスカウントストアを立ち上げ、食品~家電~日用雑貨を揃える店舗の衣料品部門の仕入れを任されました。

仕入れの方法は、「商談」が中心です。衣料品のメーカーに足を運んで、営業担当者からサンプルや絵型(パターン図)見せてもらって、発注書に記載する。これの連続です。1日多い時で5件の商談がありました。仕事的には仕入れだけでなく、売り場づくりや販売促進企画、スタッフのマネジメントもバイヤーの仕事なので多忙な職場でした。

仕入れが成功するかどうかは分かりやすい。売れるか、儲かるかどうかです。売れないもの、儲からないものはダメ。それを短時間の商談で判断するのは結構難しい。でも仕入れが小売業の場合は生命線なので、失敗は避けなければなりません。失敗すれば値下げして原価を割ってでもお金に換えることになります。

こんな失敗がありました。ある日飛び込みで肌着のメーカーさんが来られました。私がいた職場は心斎橋商店街沿いの目立つ店舗だったので飛び込み営業も結構あり、そのメーカーさんが「お手頃な男性用トランクスがあるから一度見てほしい。」というので早速商談スペースに行き、男性用トランクス3枚組(袋入り)を見せてもらいました。

その営業担当者は50代くらいで大阪人ならではの早口で商品説明を行ないました。「これは絶対おすすめです。売れます!」と力説。確かに商品の見た目も悪くなく、サンプルもしっかりしていて、仕入れ原価も安かったので、3セット(60個入りを3つ)注文しました。

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3日後ぐらいに商品が入荷しました。中身を確認すると柄がなんかサンプルとは違います。袋を開けると縫製もしっかりしておらず、生地も薄い。なんか騙された気分になって、すぐに返品してそれから取引は無くなりました。

その時、商談の際の営業担当者への印象が良くなかったこと。こちらが質問する前に畳みかけるように商品説明し、口座を開設したい、そして受注も取りたいという圧力がすごくて発注書を書いたことを後悔しました。

それ以外に、「たれぱんだ」のTシャツの上から「だんご三兄弟」のプリントをした明らかにコピー品という商品を売りつけられたこともあります。当時はたれぱんだが下火になり、だんご三兄弟がブームだったので、たれぱんだのプリントの上からだんご三兄弟のプリントをコピーして販売しようという業者もいました。中からたれぱんだが透けて発覚したわけですが、それも営業担当者に騙された私の責任です(20年前の話なので若い方は「だんご三兄弟」をご存じないでしょうが(笑))。

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このような失敗をした原因は「人をよく見ていなかったこと」です。

商品より人を見ることを重視すると失敗リスクが減る

それから仕入れの商談の際には、出来るだけこちらからメーカーさんに訪問するようにしました。どんな会社で商品を作っているのかを見るためです。

社屋や駐車場が綺麗にされているか、事務所や事務員さんの対応は丁寧か、等(製造工場はほぼ中国だったので見ることは出来ず)。まずは商品を取り扱っている環境が整備されているかを知るだけで、商品の品質や営業担当者の対応も想定できます。駐車場や事務所が雑然と乱れていたら商品の品質や注文した後の対応などに悪影響を及ぼすのでないか、考えながら訪問していました。

取引してきたメーカーさんは、中小企業がほとんどで、営業担当者に会う前に社長にお会いすることも出来ました。社長から業界の話から昨今の衣料品のトレンドなどの話を聞くことで人柄も分かります。

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営業担当者との話では、商品個別の商談の前に必ず30分くらい業界トレンドの話や同業他社の話、そしてプライベートに至るまで様々な話をします。そして本題の商談に移る。この流れを必ずしていました。商品の前に「人」が来るんです。仕入れの失敗から、その取引する会社は信頼に値する企業か、そして営業担当者が信頼できる人で誠実な人か、相性が合うかどうかを仕入れの判断をすることに考えを転換しました。

するとどうでしょう。信頼できると考えた営業担当者から仕入れた商材が売れなくて失敗することがかなり減りました。もちろん仕入れの判断ミスや流行が変わることの値下げロスはありますがそれでも少なくなりました。

いくら良質な商品、儲かる商品でも売る人が信頼できなければ長続きしない

商品の仕入れに限らず、自社で出来ないことを外部にお願いする場合でも同様ですが、お願いする相手が「信頼できる人か」ということが大前提だと思います。

なぜならどんな商品やサービスも「人」が作っているからです。いくらインターネットが発達しても、必ずどこかで人を介して商品やサービスが提供されます。そこには人の心や誠実さがあるかどうかが大切になります。

儲かる商品や良質なサービスを提案されてはじめは付き合ったとしても、なんか信頼できない人であれば長期的にみれば関係が破綻してしまう可能性が高いです。不良品が発生したり、不具合が発生した場合にすぐに対応してくれずお客様に迷惑をかけてしまうことにも繋がります。

逆に信頼できる人であれば、短期的に取引が大きくなくても長期的には、困ったことがあれば助けてくれるなどのメリットが大きい。例えば私の仕入れの話でいうと、長期的に定番商品の仕入れを継続している先に限って、たまに「目玉品」という儲けが大きい商品を提供してくれることがありました。目玉品とは、サンプル品やキャリー品(昨年からの持越し品)を定価の1割程度で卸してくれる商材で、それを半額で売っても4割が儲け。もちろん飛ぶように売れます。でもそんな美味しい商材は一元の取引先には卸してくれません。長い取引の中のお礼の一環として提供してくれました。

人を見るには何度も会うことと失敗することしかない

では人を見る方法をどのように養うかですが(私も試練中)、何度も会うしかないですね。そして仕事以外の様々な点の話を聞いて、誠実か、信頼できる人かを判断する。行けそうであれば、まずは少し取引をしてみる。それで試してみて、その人と長いお付き合いができるのであれば継続すればいいし、どうしてもなんか合わないのであれば無理に引っ張らず、付き合いをやめる。なんか恋愛みたいですけど(笑)。

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信頼できるかどうかは分かりやすいですが、相性が合うかどうかは個人差があります。これは、自分自身がどんな人と一緒に仕事をしたいか、どんな人と仕事をしたくないかを明確にすることが必要です。

これも上手くいったり、失敗したりを繰り返しながら自分なりに掴んでいくしかないですね。でも40歳を過ぎると人間って色々な人がいて面白いなと日々感じます。人の話を聞いて、人の歩んできた人生を知る。今の仕事は仕入れではありませんが、なるほどー!それでこうなったのかー!の連続です。

ということで、本日のまとめとしては商品やサービスの仕入れや外部に仕事をお願いする場合は、先に「人を見ること」

人を見る視点としては、①商品やサービスを取り扱っている環境を見ること、②信頼できる人かどうか、③相性が合うかどうか で判断することをお勧めします。

「人に興味を持つ」ことが出来れば、人を見ることにも繋がり、仕事も円滑に楽しくなりますね。


それではまたお会いしましょう!




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